青色申告の基礎知識

所得控除とは?種類や対象者、計算方法などを解説

所得控除とは?種類や対象者、計算方法などを解説

所得税を算出する際は、自身の状況に応じ各種「所得控除」を受けられます。所得控除は15種類あり、自身が利用できる控除を正確に把握するには、控除の種類と内容を把握しなくてはなりません。

本記事では、正確な所得税を算出するために重要な各所得控除の概要や控除額の計算方法、またそれぞれの所得控除を適用する際の必要書類について解説します。あわせて確定申告書の記入箇所についても紹介しているので、自身が利用できる所得控除を把握し、申請時の参考にしてください。

目次

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所得控除とは?

所得控除とは、所得税算出の際に一定の金額を所得から差し引ける制度です。税金の計算における「所得」は、収入から経費を差し引いた金額をいいます。

所得控除は、所得税の納税負担を軽減するため、納税者の所得に比例して増税する税額を考慮し、適切に減少させることが目的です。

さまざまな種類が存在する所得控除のなかでも、「基礎控除」は理解しておくべき項目です。基礎控除とは、納税者の所得に応じて一定の金額が控除される制度を指します。

合計所得金額が2,400万円以下であれば、48万円が課税対象の所得から控除されます。基礎控除は給与所得者・フリーランス・年金受給者など、収入を得ているすべての人が対象です。

基礎控除の控除額は以下のとおりです。

納税者本人の合計所得金額控除額
2,400万円以下48万円
2,400万円超2,450万円以下32万円
2,450万円超2,500万円以下16万円
2,500万円超0円
出典:国税庁「基礎控除」

給与所得控除

所得控除と混在しやすい控除に「給与所得控除」があります。後述する所得控除は一定の要件に当てはまり、かつ申告した人が差し引かれるのに対して給与所得控除は、給与などの収入額をベースに一定の金額が自動的に控除されます。両者は名称こそ似ているものの、要件や控除のプロセスが異なるため注意が必要です。

給与所得者の場合、多くの所得控除は年末調整で控除できます。しかし、雑損控除・医療費控除・寄附金控除に関しては、確定申告をしなければ適用されません。

【関連記事】
給与所得控除とは?給与所得の計算方法や所得控除との違いついてわかりやすく解説

所得控除の種類

所得控除は基礎控除以外にも、大きく分けて15種類が存在します。

雑損控除

災害、盗難、または横領などによって、納税者本人および納税者と生計を同じくする配偶者、そのほかの親族(1年の総所得金額が48万円以下の人)の資産について損害を受けた場合に受けられる

医療費控除

納税者本人および納税者と生計を同じくする配偶者、そのほかの親族のために医療費を支払った場合、一定額を超えた医療費から計算された金額の所得控除を受けられる

社会保険料控除

納税者本人および納税者と生計を同じくする配偶者、そのほかの親族のために社会保険料を支払った場合に受けられる

小規模企業共済等掛金控除

納税者が、小規模企業共済法が規定する共済契約に基づく掛金などを払った場合に受けられる

生命保険料控除

納税者本人が、生命保険料や介護医療保険料、個人年金保険料を支払った場合に一定の金額で受けられる

地震保険料控除

納税者本人が、地震や津波等で損害を被った場合に備えた地震等の損害保険の保険料や掛金を支払った場合に受けられる

寄附金控除(ふるさと納税)

納税者本人が、国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対して「特定寄附金」を支出した場合に受けられる

障害者控除

納税者本人および控除対象配偶者、扶養親族が所得税法上の障害者にあてはまる場合に受けられる

寡婦控除

納税者本人が所得税法上の寡婦(女性)の場合に受けられる

ひとり親控除(寡夫控除)

納税者本人が「ひとり親」である場合に受けられる

勤労学生控除

納税者本人が、所得税法上の勤労学生(特定の学校の生徒・学生で、勤労による所得があるなど)の場合に受けられる

扶養控除

納税者本人が、所得税法上の控除対象扶養親族となる人がいる場合に受けられる

配偶者控除

納税者本人に所得税法上の控除対象配偶者がいる場合に受けられる

配偶者特別控除

配偶者の所得金額に応じて受けられる

青色申告特別控除

確定申告を青色申告で行なったのみ受けられる

なお、上記はあくまで国内居住者が対象となる所得控除であり、国内居住者でない場合は以下3つの所得控除のみが適用可能です。

国内居住者でなくても適用される所得控除

  • 雑損控除
  • 寄附金控除
  • 基礎控除

雑損控除

雑損控除とは、災害・盗難、横領などによって、納税者本人・納税者と生計を立てている年収48万円以下の配偶者や親族の資産が損害を受けた際、所得から一定の金額の控除を受けられる制度を指します。

資産への損害額が大きく、その年の所得から控除しきれない場合は、繰り越しを行うことで翌年以降の3年間に限り所得から控除できる仕組みです。

また、雑損控除は年末調整で処理できないため、適用を受ける際は確定申告が必要です。確定申告の際には「災害等に関連したやむを得ない支出の金額の領収を証する書類」が必要になります。

雑損控除額は以下2つの方法から算出し、大きい方の金額が控除対象です。

  1. (差引損失額) - (総所得金額等) × 10 %
  2. (差引損失額のうち災害関連支出の金額) - 50,000(円)

差引損失額は以下の計算方法で算出します。

差引損失額
= 損害金額 + 災害等に関連したやむを得ない支出の金額 - 保険金などにより補てんされる金額


出典:国税庁「災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)」

医療費控除

1月1日から12月31日までの期間で、納税者本人または納税者と生計を同じくする配偶者や親族のために、病気やケガなどで一定額以上の医療費を支払った場合に控除が受けられる制度です。

医療費控除の対象には、上述した病気やケガによる医療費や治療費だけではなく、通院のために利用した公共交通機関の料金や、薬局などで購入したセルフメディケーション制度対象の薬なども含まれます。

ただし、医療費控除とセルフメディケーション税制の両方は適用できません。

医療費控除の金額は、200万円を上限として次の式で算出します。

実際に支払った医療費の合計額 - 1の金額 - 2の金額

  1. 保険金などで補てんされる金額
  2. 10万円

保険金などの補填額には、生命保険契約などで支給される入院費給付金だけでなく、公的な健康保険などから支給される高額療養費・家族療養費・出産育児一時金などが含まれます。また、その年の所得金額が200万円未満であれば2は10万円ではなく、総所得金額の5%の額があてはまります。

また医療費控除を申請する際は、以下の書類を用意してください。

医療費控除を申告する際の必要書類

  • 医療費控除の明細書
  • 確定申告書
  • 医療通知書
  • 本人確認書類

出典:国税庁「 医療費を支払ったとき(医療費控除)」

社会保険料控除

社会保険料控除は、1月1日から12月31日までの期間で納税者本人または納税者本人と生計を同じくする配偶者、そのほかの親族の社会保険料を支払ったときに受けられる制度です。

控除の対象には以下のようなものがあります。

社会保険料控除の対象

  • 健康保険・国民年金・厚生年金保険・船員保険の保険料
  • 国民健康保険の保険料および国民健康保険税
  • 高齢者医療にかかる保険料
  • 介護保険料
  • 労働保険料
  • 国民年金基金の掛金
  • 国家公務員共済組合・地方公務員等共済組合・私立学校教職員共済・恩給などの掛金および納金
  • 労働者災害補償保険の保険料
  • 所轄税務署長の承認を受けた地方公共団体の互助会の掛金

他の控除が認められる保険料については国税庁のホームページから詳細を確認しましょう。

社会保険料控除額は、その年に実際に支払った金額または給与や公的年金等から差し引かれた金額の全額です。

また、社会保険料控除を申請する際は、以下の書類が必要になることも覚えておいてください。

社会保険料控除を申告する際の必要書類

  • 一定の事項を記載した届出書
  • 適用証明書
  • 保険料の金額を証する書類

出典:国税庁「社会保険料控除」

小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済等掛金控除とは、小規模企業共済法が規定する共済契約に基づき、納税者が掛金を支払った際に受けられる制度を指します。その年の掛金の支払い額、全額が控除の対象です。

控除対象となる掛金は以下の要件に該当する掛金です。

・小規模企業共済法の規定によって独立行政法人中小企業基盤整備機構と結んだ共済契約の掛金
・確定拠出年金法に規定する企業型年金加入者掛金または個人型年金加入者掛金
・地方公共団体が実施する、いわゆる心身障害者扶養共済制度の掛金


出典:国税庁「小規模企業共済等掛金控除」

小規模企業共済等掛金控除を申請する際は、確定申告書の小規模企業共済等掛金控除の欄に記入し、以下の書類を確定申告書に添付します。

小規模企業共済等掛金控除を申告する際の必要書類

  • 掛金の証明書
  • 電磁的記録印刷書面
生命保険料控除

生命保険料控除は、2012年1月1日以後に締結した保険契約等の算出方法と、2011年12月31日以前に締結した保険契約等の算出方法が異なりますのでそれぞれ参考にしてください。

2013年1月1日以後に締結した保険契約等に基づく、新契約の場合における控除額は以下のとおりです。

年間の支払保険料等控除額
2万円以下支払保険料等の全額
2万円超4万円以下支払保険料等 × 1/2 + 10,000(円)
4万円超8万円以下支払保険料等 × 1/4 + 20,000(円)
8万円超4万円(一律)

一方で、2012年12月31日以前に締結した保険契約等に基づく、旧契約の場合は以下が控除額の目安です。


年間の支払保険料等控除額
2万5,000円以下支払保険料等の全額
2万5,000円超5万円以下支払保険料等 × 1/2 + 12,500(円)
5万円超10万円以下支払保険料等 × 1/4 + 25,000(円)
10万円超5万円(一律)

なお生命保険料控除を申請する際は、確定申告書の生命保険料控除の欄に記入するか、以下の書類を確定申告書に添付します。

生命保険料控除を申告する際の必要書類

  • 支払金額や控除を受けられることを証明する書類
  • 電磁的記録印刷書面

出典:国税庁「生命保険料控除」

地震保険料控除

地震保険料控除とは、納税者本人が、地震や津波等の災害に備えて支払った特定の損害保険の保険料や掛金に対し、所得から一定の控除を受けられる制度を指します。この地震保険料控除により、最大5万円の控除を受けることが可能です。

一方で損害保険料控除は、税制改正によって2007年に廃止されました。しかし、2006年以前に結ばれた10年以上の保険期間または共済期間を持つ、満期返戻金等が存在する長期損害保険契約については、2007年以降に契約内容を変更していない場合に限り、この地震保険料控除の適用が可能です。

地震保険料控除額の具体的な算出方法は以下のとおりです。

1.地震保険料

年間の支払保険料等控除額
5万円以下支払金額の全額
5万円超5万円(一律)

2.旧長期損害保険料

年間の支払保険料等控除額
1万円以下支払金額の全額
1万円超2万円以下支払金額 × 1/2 + 5,000(円)
2万円超1万5千円

3. 1・2の両方がある場合

年間の支払保険料等控除額
1・2それぞれで計算した金額の合計額
(最高5万円)

地震保険料控除を申請する際は、確定申告書の地震保険料控除の欄に記入するか、以下の書類を確定申告書に添付します。

地震保険料控除を申告する際の必要書類

  • 支払金額や控除を受けられることを証明する書類
  • 電磁的記録印刷書面

出典:国税庁「地震保険料控除」

寄付金控除(ふるさと納税)

納税者本人が国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対して「特定寄附金」を支出した場合に所得控除を受けられる制度です。「特定寄付金」には、国や地方に対する寄付金や公益を目的とした事業を行う法人や団体、特定公益増進法人などが該当します。

また、政治活動や認定NPO法人、公益社団法人等に対する寄附金のうち一定のものについては、所得控除か税額控除を選択できるので覚えておきましょう。なお「ふるさと納税」も寄付金控除の対象です。

寄付金控除額の算出方法は以下を参考にしてください。

以下いずれの低い金額 - 2,000(円) = 寄附金控除額


  • その年に支出した特定寄附金の額の合計額
  • その年の総所得金額等の40%相当額

また上記の計算式の「総所得金額等」とは、以下の項目を指します。

総所得金額等の該当金額

  • 純損失、雑損失、その他各種損失の繰越控除後の総所得金額
  • 特別控除前の分離課税の長期・短期譲渡所得の金額
  • 株式等にかかる譲渡所得の金額
  • 上場株式等にかかる配当所得の金額
  • 先物取引にかかる雑所得の金額
  • 山林所得金額
  • 退職所得金額

また寄付金控除を申請する際は、場合に応じて以下の書類が必要になります。

寄付金控除を申告する際の必要書類

  • 寄附した団体などから交付を受けた寄附金の受領証(領収書)
  • 特定公益増進法人である旨の証明書の写し
  • 特定公益信託である旨の認定書の写し
  • 選挙管理委員会等の確認印のある「寄附金(税額)控除のための書類
  • 特定新規中小会社が発行した株式の取得に要した金額の寄附金控除額の計算明細書
  • 特定(新規)中小会社が発行した株式の取得に要した金額の控除の明細書
  • 都道府県知事等が発行した特定新規中小会社に該当するものであること等の一定の事実の確認書
  • 特定新規中小会社が発行した個人投資家が一定の同族株主等に該当しない旨の確認書
  • 特定新規中小会社から交付を受けた株式異動状況明細書
  • 投資契約書の写し

出典:国税庁「一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)」

障害者控除

納税者本人、または納税者本人と生計を同じくする合計所得金額が48万円以下の配偶者や扶養親族が、所得税法上の障害者にあてはまる場合に受けられる制度です。

障害者控除の対象となる方は、精神障害によって事理を弁識する能力を欠く常況にある方、相談所・福祉センター・精神保健指定医の判定により、知的障害者と判定された方などが該当します。

症状によっては特別障害者と判定され、障害者控除の金額なども変動するので注意しましょう。障害者控除控除額の算出方法は以下のとおりです。

区分控除額
障害者27万円
特別障害者40万円
同居特別障害者
(特別障害者である控除対象配偶者や扶養親族のこと)
75万円

同居特別障害者は、自身・配偶者・生計を一にする親族のいずれかと同居している場合が対象です。

なお障害者控除は、以下を用意することで申告が可能になります。

障碍者控除を申告する際の必要書類

  • 身体障害者手帳
  • 愛の手帳
  • 精神障害者保健福祉手帳
  • 戦傷病者手帳
  • 障がい者控除対象者認定書

出典:国税庁「障害者控除」

寡婦(夫)控除

納税者本人が、所得税法上の寡婦(夫)の場合に控除が受けられる制度です。

寡婦控除は以下の要件のいずれかに該当する場合に適用できます。

寡婦控除の要件

  • 合計所得金額が500万円以下で、夫と離婚した後に婚姻しておらず扶養親族がいること
  • 夫と死別後婚姻していない、または夫の生死が明らかでないこと

出典:国税庁「No.1170 寡婦控除」

寡夫控除は以下の要件のいずれにも該当する場合に適用できます。

寡夫控除の要件

  • 合計所得金額が500万円以下
  • 妻と死別または離婚後婚姻していないまたは、妻の生死が明らかでないこと
  • 生計が同一の子がいること

出典:国税庁「No.1172 寡夫控除」

寡婦(夫)控除の控除額は以下のとおりです。


区分控除額
寡婦(夫)控除27万円

ひとり親控除

納税者本人がひとり親である場合に一定額の控除が受けられる制度で、控除額は35万円です。

ひとり親に該当するかは、原則以下が要件となります。

ひとり親控除の要件

  • 納税者本人と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の人がいない方である(その年の12月31日時点)
  • 納税者本人と生計を同じくする子がいる
  • 納税者本人の合計所得金額が500万円以下である

なお、この場合の子はその年の総所得金額が48万円以下であり、尚且つ他の人と生計を同じくする配偶者を持たず扶養親族になっていない人に限られます。

ひとり親控除の控除額は以下のとおりです。


区分控除額
ひとり親控除35万円
出典:国税庁「ひとり親控除」

【関連記事】
ひとり親控除とは? 改正された寡婦控除との違いについてもまとめて解説

勤労学生控除

納税者本人が、所得税法上の勤労学生に該当し、所得が一定以下の場合に控除が受けられる制度です。

勤労学生控除の要件は以下のとおりです。

勤労学生控除の要件

  • 勤労による所得を得ていること
  • 合計所得金額が75万円以下、かつそれ以外の所得が10万円以下で
  • 特定の学校の学生であること
区分控除額
勤労学生控除27万円

勤労学生には、原則としてその年の12月31日時点で給与所得などの勤労による所得があり、尚且つ合計所得金額が75万円以下で、給与所得以外の所得が10万円以下であること、そして特定の学校に所属する学生、生徒である人が該当します。

勤労学生控除は、大学に通っている場合であれば申請書類は必要ありません。ただし、専門学校・職業訓練高校に通っている場合は、学校長が交付する証明書が必要になります。


出典:国税庁「勤労学生控除」

扶養控除

扶養控除は、納税者本人に所得税法上の控除対象扶養親族となる人がいる場合に、最大63万円の控除が受けられる制度です。

控除対象扶養親族の対象者は、以下のとおりです。

扶養控除の対象者

  • 納税者本人の配偶者以外の親族(その年の12月31日の時点)
  • 都道府県知事から養育を委託された児童
  • 市町村長から養護を委託された老人(かつ納税者と生計が同じ)
  • 年間の合計所得金額が48万円以下
  • 青色申告者の事業専従者としてその年に一度も給与の支払を受けていない
  • 白色申告者の事業専従者ではない

また扶養控除額は、以下となります。


区分控除額
16歳以上の控除対象扶養親族38万円
19歳以上23歳未満の特定扶養親族63万円
同居老親等以外の者(70歳以上の老人扶養親族)48万円
同居老親等(70歳以上の老人扶養親族)58万円

その年12月31日現在の扶養親族の年齢、同居の有無などによって控除額は変動するので覚えておきましょう。扶養控除を申請する際には「扶養控除等申告書」が必要になります


出典:国税庁「扶養控除」

【関連記事】
扶養とは? 所得税の扶養と社会保険(健康保険と厚生年金保険)の扶養の違い

配偶者控除

納税者本人に所得税法上の控除対象配偶者がいる場合、最大38万円の所得控除が受けられる制度です。

控除対象の配偶者と認定されるためには、以下に該当していなければなりません。

配偶者の要件

  • 民法規定による配偶者である
  • 納税者本人と生計が同じである
  • 年間の合計所得金額が48万円以下である
  • 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていない
  • 白色申告者の事業専従者ではない

なお、納税者本人の合計所得金額が1,000万円以上の場合は、配偶者控除は受けられないので注意が必要です。

配偶者控除額は、以下を参考にしてください


合計所得金額
(控除を受ける納税者人)
配偶者の控除額
(一般の控除対象)
配偶者の控除額
(老人控除の対象)
900万円以下38万円48万円
900万円超950万円以下26万円32万円
950万円超1,000万円以下13万円16万円

また配偶者控除には、「老人控除対象配偶者」と呼ばれる配偶者が存在します。対象は、配偶者がその年12月31日時点で年齢が70歳以上の方です。

上記の条件を満たしており、配偶者が障害者の場合、配偶者控除の他に障害者控除27万円の控除を受けられます。また原則、配偶者控除を申請する際には添付書類が不要です。


出典:国税庁「配偶者控除」

配偶者特別控除

配偶者特別控除とは、配偶者控除対象の基準を満たしておらず、配偶者控除の適用が受けられない場合でも、配偶者の所得金額に応じて一定の所得控除が受けられる制度です。配偶者特別控除を受けるための要件は、以下のとおりです。

配偶者控除の要件

  • 納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下
  • 配偶者が以下すべての要件に該当する

    1.民法上の配偶者である(内縁関係の人対象外)
    2.配偶者(納税者)と生計が同一である
    3.控除を受ける年に青色申告者の事業専従者としての給与を受け取っていない
    4.白色申告者の事業専従者ではない
    5.その年の合計所得金額が48万円超133万円以下である
  • 配偶者が配偶者特別控除を適用していない
  • 配偶者が、給与所得者である納税者本人の源泉控除対象配偶者として、源泉徴収されていない
    (年末調整や確定申告で配偶者特別控除の適用を受けなかった場合を除く)
  • 配偶者が公的年金などの受給者である納税者本人源泉控除対象配偶者として源泉徴収されていない
    (年末調整や確定申告で配偶者特別控除の適用を受けなかった場合等を除く)

配偶者特別控除の控除額は、控除を受ける納税者本人のその年における合計所得金額、配偶者の合計所得金額に応じて以下のようになります。

配偶者の合計
所得金額
900万円以下
(控除対象者の所得金額)
900万円超
950万円以下
(控除対象者の所得金額)
950万円超
1,000万円以下
(控除対象者の所得金額)
48万円超
95万円以下
38万円26万円13万円
95万円超
100万円以下
36万円24万円12万円
100万円超
105万円以下
31万円21万円11万円
105万円超
110万円以下
26万円18万円9万円
110万円超
115万円以下
21万円14万円7万円
115万円超
120万円以下
16万円11万円6万円
120万円超
125万円以下
11万円8万円4万円
125万円超
130万円以下
6万円4万円2万円
130万円超
133万円以下
3万円2万円1万円
出典:国税庁「配偶者時別控除」

青色申告特別控除

確定申告を青色申告で行った場合のみ55万円・65万円・10万円の控除を受けられる制度です。青色申告特別控除を受けるための要件は控除額ごとに以下のようになっています。

55万円の青色申告特別控除の要件

(1)不動産所得または事業所得を生ずべき事業を営んでいる
(2)これらの所得に係る取引を正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳している
(3)(2)の記帳に基づいて作成した貸借対照表および損益計算書を確定申告書に添付し、この控除の適用を受ける金額を記載して、その年の確定申告期限(翌年3月15日)までに当該申告書を提出する

65万円の青色申告特別控除の要件

(1)「55万円の青色申告特別控除」の要件に該当している
(2)次のいずれかに該当している
イ.その年分の事業に係る仕訳帳および総勘定元帳について、電子帳簿保存を行っている
ロ.その年分の所得税の確定申告書、貸借対照表および損益計算書等の提出を、確定申告書の提出期限までにe-Tax(国税電子申告・納税システム)を使用して行っている

10万円の青色申告特別控除

上記「55万円の青色申告特別控除」および「65万円の青色申告特別控除」の要件に該当しない青色申告者が受けられます。

確定申告書の記入方法

所得控除は、確定申告書に記入することで申請可能です。申請する際は、確定申告書内にある「所得から差し引かれる金額」にある項目から、自身が該当するものへ記入する必要があります。

所得控除額は、確定申告書第一表内の以下の記載欄に記載します。


確定申告書の記入方法

確定申告書に記載する所得控除の項目に関する詳細は、記事内「所得控除の種類」を参考にしてください。

なお確定申告書類は、税務署などにある「確定申告書作成コーナー」で作成可能です。自宅で作成する場合は、各種会計ソフトを利用しましょう。

まとめ

所得税を算出する際、一定の金額が所得から差し引かれることを所得控除といいます。この制度を適切に活用することで、税負担を軽減することが可能です。

控除の種類は多岐にわたり、生活に根ざした様々な要件を持っています。基礎控除をはじめ、雑損控除や医療費控除など、さまざまな種類が存在しています。しかし所得控除を有効的に活用するには、各控除が持つ概要・要件・控除可能な額を正確に把握することが欠かせません。

そして申請時には、これらの詳細を適切に税務申告書の所定欄に記載することで控除の適用を受けることが可能となります。

確定申告を簡単に終わらせる方法

確定申告には青色申告と白色申告の2種類があります。どちらを選択するにしても、期限までに正確な内容の書類を作成し申告しなければいけません。

確定申告書を作成する方法は手書きのほかにも、国税庁の「確定申告等作成コーナー」を利用するなどさまざまですが、会計知識がないと記入内容に悩む場面も出てくるでしょう。

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3.〇✕形式の質問に答えると、各種控除や所得税の金額を自動で算出できる!

各種保険やふるさと納税、住宅ローンなどを利用している場合は控除の対象となり、確定申告することで節税につながる場合があります。控除の種類によって控除額や計算方法、条件は異なるため、事前に調べなければなりません。

freee会計なら、質問に答えることで控除額を自動で算出できるので、自身で調べたり、計算したりする手間も省略できます。


freee会計 管理画面の例2

4.確定申告書を自動作成!

freee会計は取引内容や質問の回答をもとに確定申告書を自動で作成できます。自動作成​​した確定申告書に抜け漏れがないことを確認したら、税務署へ郵送もしくは電子申告などで提出して、納税をすれば確定申告は完了です。

また、freee会計はe-tax(電子申告)にも対応しています。e-taxからの申告は24時間可能で、税務署へ行く必要もありません。青色申告であれば控除額が10万円分上乗せされるので、節税効果がさらに高くなります。

e-tax(電子申告)を検討されている方はこちらをご覧ください。

freee会計 管理画面の例3

完成した確定申告書を提出・納税して確定申告が完了!

freee会計を使うとどれくらいお得?

freee会計には、会計初心者の方からも「本当に簡単に終わった!」というたくさんの声をいただいています。

税理士などの専門家に代行依頼をすると、確定申告書類の作成に5万円〜10万円程度かかってしまいます。freee会計なら月額980円(※年払いで契約した場合)から利用でき、自分でも簡単に確定申告書の作成・提出までを完了できます。

余裕をもって確定申告を迎えるためにも、ぜひfreee会計の利用をご検討ください。

よくある質問

所得控除は何種類?

基礎控除以外に15種類あります。なお、給与所得控除はこの所得控除には含みません。

詳しくは記事内「所得控除の種類」をご覧ください。

確定申告が必要な所得控除は?

所得控除の種類」で紹介しているものが確定申告の対象になります。なお給与所得者である場合は年末調整で控除可能です。しかし、雑損控除・医療費控除・寄附金控除に関しては確定申告が必須になるため注意しましょう。

詳しくは記事内「所得控除とは?」をご覧ください。

freee会計で青色申告をカンタンに!

freee会計は〇✕形式の質問で確定申告に必要な書類作成をやさしくサポート!銀行口座やクレジットカード連携で入力作業を自動化し、確定申告にかかる時間や手間を大幅に削減します。