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3月決算の中小企業の年次決算にかかわるすべての業務をまとめました!①作成編

3月決算の中小企業の年次決算にかかわるすべての業務をまとめました!①作成編

法改正などがある場合、4月から施行されることが多いため、区切りとして3月が決算月という法人は多く存在します。そこで3月決算法人がどんなスケジュールで何を行えば良いか、こちらの記事で紹介していきます。

決算を初めて行う方はこちらの記事も併せてご覧ください。
【関連記事】法人決算を一人で完結させるために必要な前提知識

目次

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1.決算とは

 会社を経営する上では、当然会社の財務状態や経営成績を把握しなければなりません。

 簡単にいってしまうと「決算」とは、一定の期間内での財務状態、経営成績を決算書にまとめ、会社の「現状」を把握する作業となるものです。

 ここでは、3月に行われる年次決算にかかわるすべての業務を中小企業向けにご紹介します。

決算書をしっかり作る意義

 上述したように、決算書を作成する直接的な目的としては会社の財務状態や経営成績の把握が挙げられます。

 もちろん法人税の申告のためでもありますので、ここでは、決算の最も基本的な知識として、決算書をしっかり作る意義について解説します。


■経営分析のため
 会社の経営においては、当然自社の経営成績を把握し、分析へとつなげなければなりません。

 経営成績にかかわるデータは決算書を作成することでより分かりやすくなるため、経営する側にとって大きな意義があることはいうまでもないでしょう。

 また、決算書は、作成した後、取締役会や監査役などのチェックを受け、株主総会で提出・公開されます。これにより株主側も会社の経営状態を把握・分析できるようになるため、この点においても大きな意義があるといえるはずです。


■融資を受けやすくなる
 銀行などで融資を受ける場合、融資をする側は融資を受ける側の経営状態から返済能力などを判断し、融資金額を決定します。

 そのため、決算書はこのような融資を受ける際に不可欠となり、決算書がしっかりと作成されていれば融資を受けやすくなるという点でも大きな意義があるのです。


■存在自体が会社の信用に大きく影響する
 決算書の作成は経理担当にとって大きな負担がかかりますが、その業務は当然どこの会社でも行われています。

 これは単にしっかりとした決算書を作り、公表することが会社の信頼そのものに直結するためであり、逆にいってしまえば、しっかりとした決算書が作られていない会社ほど、その信用は低くなってしまうということからも、その意義の大きさは明確でしょう。


決算書を作成する

 単に決算書といっても、その内容は「貸借対照表」「損益計算書」など、多岐にわたります。これら各々の詳細については後述します。

決算申告をおこなう

 一連の決算にかかわる業務では、決算書を作成するだけでなく、消費税や法人税を算出し納税をするための申告も行わなければなりません。この申告にかかわる業務の基本的な内容についても後述します。

2.決算書作成に必要な書類

「貸借対照表」

 貸借対照表とは、決算日時点で会社が保有しているすべての財産及び債務を把握するために作成する表です。「バランスシート」と呼ばれることもあり、具体的には「現金」「預金」「金融資産」や「買掛金」「短期借入金」「資本金」などの項目から構成されます。

「損益計算書」

 損益計算書では、一定の期間内において会社に対して発生した収益・費用・利益を明確にします。その内容は経営状態を把握する上で重要な判断材料となります。

「株主資本等変動計算書」

 株主資産等変動計算書とは、貸借対照表の中でも、会社にとっての「純資産」だけに着目し、期間内におけるその増減を把握するための書類です。また、記載時には「株主資本」と「株主資本以外の項目」に分けて書類を作成する必要があります。

「キャッシュ・フロー計算書」

 「キャッシュ・フロー」とは資金の流れを意味します。キャッシュ・フロー計算書では、「営業活動」「投資活動」「財務活動」のそれぞれにおける資金の流れを明確にするために作成するものです。

「附属明細書」

 上述した4種類の書類に対する補足説明を記載するのが附属明細書です。附属明細書については、いくつかの種類に分けることができ、代表的なものとしては、有価証券明細表、固定資産等明細表、社債明細表などが挙げられます。

【TIPS!】記載項目は「公開会社を除く会計監査人設置会社ではない株式会社」、あるいは「会計監査人設置会社ではない公開会社」かによって異なるため、確認が必要です。

個別注記表

個別注記表とは決算書を読む際の注記をまとめた書類です。

事業報告書

 事業報告書とは決算終了後に株主や取引先銀行などに配布する事業概要や財務状況をまとめた書類です。この書類により、外部の人達にも会社の経営状態などを知ってもらうことができます。

■事業報告にかかわる附属明細書
 事業報告にも附属明細書を作成することが会社法によって義務付けられています。

【TIPS!】事業報告にかかわる附属明細書の記載事項は、「公開会社」、「会計参与設置会社」、「会計監査人設置会社」のそれぞれで異なるため確認が必要です。

その他計算に必要な帳簿

 決算書の内容をより分かりやすくするために、帳簿の内容を記載する必要が生じる場合もあります。

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3.決算書のtodo・スケジュールまとめ

固定資産や長期前払費用の確認

 続いては決算書作成にあたって把握すべき、各作業の手順について解説します。

【TIPS!】長期前払費用の内訳は多岐にわたることが多いため、エクセルなどでまとめる際には、内訳を細分化するだけでなく、「計上月」や「開始日」「終了日」「月ごとの金額」などを細かく記載しておけば、決算時の負担を軽くできます。

棚卸

 棚卸では、決算日に残っている商品などの在庫数を把握し、金額に換算する作業です。この金額を明確にすることにより、会社としての利益も明確になり、決算書に記載することができるようになります。

【TIPS!】大量の在庫を抱える中小企業では、短時間で棚卸を行うための人員が確保できないこともあり得ます。その場合は、棚卸を行う業者に外注してしまうのもよいでしょう。

税金などを計算

 税金の計算は決算書の作成作業の中でも特に難しく、時間のかかる作業でもあります。この作業では法人税、住民税、事業税を、それぞれ税引前当期純利益を基準に計算します。

【TIPS!】中小企業の場合、対象となることは稀ですが、資本金が1億円を超える外形標準課税対象の会社は課税方法が異なるため注意が必要です。

決算仕訳の確認

 決算仕訳では売上の形状などにおける「見越」「繰越」「減価償却」に該当するものをリストアップし、処理を行います。

 これらの作業は実際の現金の入出金とは異なるタイミングで行うため、各々の項目で正しい処理をするための的確な判断をしなければなりません。

総勘定元帳の作成

 総勘定元帳では、仕訳帳の内容を勘定項目ごとに分類し記載します。項目は「日付」「摘要」「仕丁」「借方」「貸方」「残高」に分け、それぞれ数値を記入するものです。

【TIPS!】総勘定元張の勘定項目は多岐にわたるため、エクセルで項目ごとに記入欄を作成し、数値を入力していくのがよいでしょう。

試算表の作成

 試算表は総勘定元帳に記載した数字に誤りがないか確認するために作成します。その構成は「合計試算表」「残高試算表」「合計残高試算表」の3種類からなり、各々に該当する数値を総勘定元張から抽出した後で残高を算出し、試算書に記載します。

決算残高の確定

 決算残高の確定は原則としてすべての勘定項目に対して行うものです。この作業では各勘定項目に対して算出された金額と、実際の金額があっていることを確認します。そのため、日常業務や月次業務とその積み重ねによって作成された総勘定元帳や試算表の正確性が、この作業による負担の増減に大きく影響します。

4.決算修正

決算修正の手順

 一度作成し、決定した前年度分の決算書に誤りが見つかった場合、決算修正を行い、正確なものを作り直します。

■棚卸資産に誤差が生じたとき
 深夜営業している量販店などでは、商品を購入できる状態で棚卸を行うこともあるでしょう。

 そのような場合、棚卸資産としてカウントした商品をお客さんが買っていくことにより、算出した棚卸資産に誤りが生じることもあります。

 決算修正の段階では、このような実際の在庫状況との差異分を修正し、計上する必要もあります。

■固定資産や長期間の収益費用処理
 固定資産や長期間の収益費の算出方法は、その他の収益の算出に比べ複雑ではありますが、その修正手順は基本的には上述した「収益の計上漏れ」と同じです。

■生活費の混在の有無
 中小企業の中には、経営者の生活費などが事業経費に混在してしまうこともあります。

生活費の混在による決算修正の基本的な方法は、上述した「費用の計上漏れ」と同じですが、根本的なこととして、生活費が混在しないよう、管理をしっかりと行うことは心掛けるべきでしょう。

5.経理担当1~2人でもラクに年次決算を乗り越えるために

 多くの中小企業にとって経理担当を何人も雇うことは難しく、年次決算が大きな負担となることがほとんどです。

 ここでは、経理担当者が1~2人程度しかいない場合に、年次決算をラクに乗り越えるために押さえておくべきポイントについて解説します。

効率化しやすい業務

 効率化しやすい業務をリストアップしておくことは、作業をスムーズに進める上で不可欠です。その主なポイントとしては以下のようなものが挙げられます。

■ペーパーレス化
 昨今では決算において大きな力を発揮するパソコン向けのソフトも数多く存在し、それらを利用して可能な限りペーパーレス化を図ることは、作業の効率化を図る上で不可欠です。

特に膨大なデータを長期的に管理する上でもパソコンで使える決算ソフトは大きな力を発揮するため、年度末だけでなく、日々の業務を円滑化することによる、年次決算の効率化も図ることができます。

■書類整理
 一方でいくらペーパーレス化を推進しても、書類にした状態でなければ進められない作業もあるでしょう。

 また、決算で扱うデータの量は膨大であることから、一部の作業だけ書類を用いて行ったとしても、膨大な量の書類を管理しなければならなくことがあります。

効率化しにくい業務

 しかしながら、年次決算においては、数値の正確性が常に求められることから、すべての作業において効率化を図ることは大きな危険を伴います。

 特に大きなデータの誤りは粉飾決算などの重大な不正として取られてしまうこともあるため、細心の注意が必要であることはいうまでもありません。そのため、各種金額の計上や確認の作業は効率化を図りづらいといわざるを得ないでしょう。

 以上のことから、年次決算の各作業においては、常にその作業が効率化と慎重さのどちらを優先するべきなのか判断する必要があります。

6. 税理士にも相談することを検討しましょう

 上述したように年次決算における数値の誤りなどは、粉飾決算などの重大な不正を招くこともあるため、大きなリスクを伴うという認識を忘れてはいけません。
 そのため、経理担当者の人数が足りず、作業の正確性に不安を感じるのであれば、年次決算時のみ税理士の助けを借りるのもよいでしょう。

 税理士は、年次決算における決算仕訳や決算報告書の作成に関するアドバイスを行うことも仕事のひとつとしています。
 特に十分な実績がある税理士の場合、決算における間違いやすい箇所なども心得ていることが多く、充実したアドバイスをしてもらえるはずです。

7.決算書作成が終わったら

 無事決算書作成が終わったら、次は法人税の申告が必要となります。詳細はこちらの「3月決算の中小企業の年次決算にかかわるすべての業務をまとめました!②確定申告編」で確認しましょう。

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