監修 税理士・CFP® 宮川真一 税理士法人みらいサクセスパートナーズ
登録免許税を仕訳する際の勘定科目にはさまざまな方法がありますが、発生した時期によって仕訳科目が異なります。また、登録免許税の納付方法にも現金やキャッシュレス(インターネットバンキングやクレジットカード)など複数の方法があります。
本記事では、登録免許税の概要や仕訳する際の勘定科目に加え、登録免許税の納付方法や、登録免許税を半額にする方法などについても解説します。本記事の内容を参考に、登録免許税を正しく管理しましょう。
目次
登録免許税とは
登録免許税とは、会社や不動産、船舶や航空機などの登記・登録を行う際に発生する国税のことです。登記や登録を受ける人は登録免許税の納税義務があり、納税地は納税義務者が受ける登記などを管轄する登記官署等の所在地です。
登録免許税について詳しく知りたい人は、別記事「会社設立にかかる登録免許税とは?費用を半額にできる制度や納税方法について解説」を併せてご覧ください。
会社の商業登記に関する登録免許税の税額とは
会社の商業登記に関する登録免許税の額面は下表のとおりです。
商業登記の種類 | 登録免許税 |
---|---|
株式会社の設立 | 資本金 × 0.007 ※15万円に満たない場合は1件につき15万円 |
合名会社または合資会社の設立 | 1件につき6万円 |
合同会社の設立 | 資本金 × 0.007 ※6万円に満たない場合は1件につき6万円 |
資本金の増加 | 増加した資本金 × 0.007 ※3万円に満たない場合は1件につき3万円 |
合併・組織変更 | 資本金、あるいは増加した資本金 × 0.0015 ※合併で消滅した会社など、直前の資本金が一定の水準を超える金額に相当する部分は × 0.007 ※3万円未満の場合は1件につき3万円 |
分割による株式会社の設立 | 資本金、あるいは増加した資本金 × 0.007 ※3万円未満の場合は1件につき3万円 |
支店の設置 | 支店数 × 6万円 |
本店や支店の移転 | 本店もしくは支店の数 × 3万円 |
取締役や監査役などに関する事項の変更 | 1件につき3万円 ※資本金1億円以下の会社は1万円 |
職務代行者の選任 | 1件につき3万円 |
登記事項の変更・消滅・廃止 | 1件につき3万円 |
更正・抹消 | 1件につき2万円 |
出典:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」
たとえば設立時の登録免許税は資本金の0.7%ですが、下限が決められており、株式会社の場合は最低でも15万円はかかります。
株式会社は資本金が2,142万円以下、合同会社は857万円以下であれば下限の条件に該当するため、最低限の登録免許税で済みます。
登録免許税の勘定科目と仕訳方法
登録免許税の勘定科目と仕訳方法について、会社設立時と営業開始後それぞれのパターン別に解説します。
会社設立時の登録免許税は「創立費」
会社設立時に払う登録免許税は「創立費」として計上します。ただし、創立費は費用ではなく、償却が可能な繰延資産(くりのべしさん)です。会計上は償却期間が5年ですが、税務上は任意償却のため、税務基準に従えば任意の金額を「創立費償却」として計上できます。
また上述の表に記載した通り、会社設立の登録免許税は、資本金の0.7%に相当します。ただし株式会社の場合は、資本金の0.7%が15万円に満たない場合は、最低金額の15万円となります。
・登記時の仕訳
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
創立費(資産) | 150,000円 | 現金 | 150,000円 |
・決算時の仕訳
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
創立費償却(費用) | 150,000円 | 創立費(資産) | 150,000円 |
なお、経営が赤字の際は資産としておき、利益が出たら償却することも可能です。
会社設立時の費用について深く知りたい人は、別記事「会社設立時の費用は経費になる?事業開始までの仕訳方法もあわせて解説」も併せてご覧ください。
営業開始後の登録免許税は「租税公課」
営業開始後の登録免許税は「租税公課」として計上します。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
租税公課 | 30,000円 | 現金 | 30,000円 |
租税公課とは、国や地方に納める税金と、地方公共団体からの賦課金に使用する勘定科目です。なお、租税公課は消費税の仕訳をする必要はありません。
登録免許税の納付方法
登録免許税の納付方法は大きく次の3つです。
- 現金で納付する方法
- 収入印紙で納付する方法
- キャッシュレスで納付する方法
それぞれの支払い方法について、詳しく解説します。
現金で納付する方法
登録免許税を現金で納付する場合、以下の流れで手続きを進めます。
現金で納付時の流れ
- 法務局が指定する銀行口座に振り込む
- 領収書と領収書の控えを登録免許税納付用台紙に貼り付けて納付する
この際に使用する台紙の規定はないため、A4のコピー用紙でも問題ありません。
収入印紙で納付する方法
登録免許税が3万円以下の場合、収入印紙による納付が可能です。次の3ステップで手続きを進めましょう。
収入印紙での納付手順
- 必要な登録免許税額を算出する
- 税額分の収入印紙を購入する
- 登録免許税納付用台紙に収入印紙を貼り付けて納付する
登録免許税額の算出方法は、記事内「会社の商業登記に関する登録免許税の税額とは」を参考にしてください。
キャッシュレスで納付する方法
登録免許税をキャッシュレスで納付する方法としては、インターネットバンキングやクレジットカードなどが挙げられます。
インターネットバンキングが利用できる人は、登記機関から受け取った納付情報に基づき、インターネットバンキングや金融機関のATMで納付しましょう。
また、登記や登録を管轄する省庁が指定した決済ツールであれば、クレジットカードや電子マネー、QRコードなどでも納付が可能です。
会社設立の登録免許税が半額になる「特定創業支援等事業」
「特定創業支援等事業」の支援を受けると、会社設立の登録免許税を半額にできます。「特定創業支援等事業」とは、国や自治体が創業者を支援するサポート事業のことです。2023年(令和5年)6月時点で、1,320件(1,479市区町村)が認定されています。
「特定創業支援等事業」の対象者は以下のとおりです。
- 新規で創業する人
- 創業から5年未満の人
上記の対象者は、支援事業の受講を完了した際にもらえる証明書を法務局に提出することで「特定創業支援等事業」の支援が受けられます。登録免許税を半額にしたい人は、ぜひ有効活用しましょう。
出典:中小企業庁「産業協力強化法に基づく「創業支援等事業計画」の認定をしました(改正法第11回)」
はじめての経理でも、自動化で業務時間を1/2以下にする方法
経理業務は日々の入出金管理のほか、請求書や領収書の作成・保存、仕訳作成まで多岐にわたります。
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※1リードプラス「キーワードからひも解く業界分析シリーズ:クラウド会計ソフト編」(2022年8月)
※2 自社調べ。回答数1097法人。業務時間が1/2以上削減された法人数
数ある会計ソフトの中でも、freee会計が選ばれる理由は大きく3つ。
- AI-OCR機能で自動入力・自動仕訳
- 全国ほぼすべての銀行・160以上の外部サービスと連携
- 充実のサポート体制
それぞれの特徴についてご紹介していきます。
AI-OCR機能で自動入力・自動仕訳
領収書・受取請求書などをスマホのカメラで撮影しfreee会計に取り込めば、読み取り機能(OCR機能)が取引先名や金額などをAI解析し、仕訳に必要な情報を自動で入力。そのまま支払管理・仕訳まで自動で作成できます。
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freee会計は全国ほぼすべての銀行やクレジットカード、決済サービスなどと連携可能。同期していれば自動で利用明細を取り込むので、勘定科目の登録はもちろん、売掛金や買掛金の消し込み、入金仕訳などの記帳が、freee会計の画面だけで行えます。
さらに、地代家賃や役員報酬など定期的に入金・支払金が発生する取引は、登録さえしておけばfreee会計が自動で記帳まで完了します。
充実のサポート体制
freee会計には、経理をするうえでの不安を解消できる充実したサポートコンテンツを用意しています。それでも解決できないお悩みはfreeeの専任スタッフにご相談いただける体制も整っているため、はじめて経理される方でも安心して始めることができます。
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まとめ
登録免許税は会社や不動産、船舶や航空機などの登記・登録が発生した際に課税されます。勘定科目については、会社設立時の登録免許税なら「創立費」、営業開始後は「租税公課」で仕訳しましょう。
なお、新規で創業する人や創業から5年未満の人は「特定創業支援等事業」を受けることで登録免許税を半額にできるため、活用することをおすすめします。
よくある質問
登録免許税とは?
登録免許税とは会社や不動産、船舶や航空機などの登記や登録を行う際に課税される国税のことです。
詳細は記事内「登録免許税とは」をご覧ください。
登録免許税の勘定科目は?
会社設立時の登録免許税は「創立費」、営業開始後の登録免許税は「租税公課」で仕訳します。
詳しくは記事内「登録免許税の勘定科目と仕訳方法」をお読みください。
会社設立時の登録免許税を安くする方法は?
「特定創業支援等事業」の支援を受けると、会社設立の登録免許税を半額にできます。
対象者や申請方法については、記事内「会社設立の登録免許税が半額になる「特定創業支援等事業」」をご覧ください。
監修 税理士・CFP® 宮川真一
岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業、1997年から税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは25年以上に及ぶ。 現在は、税理士法人みらいサクセスパートナーズの代表としてコンサルティング、税務対応を担当。また、事業会社の財務経理を担当し、複数企業の取締役・監査役にも従事。