会計の基礎知識

勘定科目内訳明細書を作成する際の注意点

勘定科目内訳明細書を作成する際の注意点

目次

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勘定科目内訳明細書とは

勘定科目内訳明細書は、貸借対照表や損益計算書の勘定科目の内訳を示した決算書類の一つで、法人税法施行規則第35条で規定されており提出が義務づけられています。決算日の翌日から2カ月以内にその他必要書類と共に税務署に提出しなければいけません。

税務署は勘定科目内訳明細書の内容を確認して、提出した申告書類が正しく作成されているかどうか、おかしな取引はないか、といったことを確認します。

勘定科目内訳明細書には注意点として後述する「16の内訳書」があり、該当するものがあれば作成する必要があります。

会計ソフト利用時の勘定科目内訳明細書の書き方

会計ソフト利用時の勘定科目内訳明細書作成のイメージ

※会計ソフト利用時のイメージ

勘定科目内訳明細書は国税庁のホームページより用紙をダウンロードでき、それを手書きし作成することも可能ですが、企業のほとんどは会計ソフトなどを利用して作成しています。会計ソフトを利用すると、勘定科目内訳明細書は簡単に作成することができます。

仕訳を計上する際に、会計ソフトに「日付」「摘要」「勘定科目」「金額」の数値を正確に入力するのみです。会計ソフトの場合、仕訳を入力すると、総勘定元帳や補助元帳などで内訳ごとの残高を集計することができますので、それをもとにして勘定科目内訳明細書を容易に作成することができます。

勘定科目内訳明細書作成時の注意点

勘定科目内訳明細書作成時には、以下16の内訳書それぞれの注意点を参考に作成すればおおむね問題ありません。

1.預貯金等の内訳書
取引金融機関別・預貯金の種類別に記入します。
名義人が企業の代表者になっているかどうかを確認します。その際、法人名と代表者が異なる場合は摘要欄に「名義人〇〇」と記します。
2.受取手形の内訳書
一つの取引先からの受取手形の総額が100万円以上の場合は、その取引先を個別記入し、その他は一括で記入します。
ただし100万円以上のものが5口未満の場合は、期末残高が大きいものから5口程度記載します。
3.売掛金(未収入金
科目欄に売掛金・未収入金別に記入します。相手先別の期末残高が50万円以上の場合は個別で記入し、その他は一括で記入します。
ただし50万円以上のものが5口未満の場合は、期末残高が大きいものから5口程度記載します。
4.仮払金(前渡金)の内訳書・貸付金及び受取利息の内訳書
相手先別の期末残高が50万円以上の場合は個別で記入します。
役員・株主及びその関係会社においては期末残高が50万円未満であっても個別に記入します。
5.棚卸資産(商品又は製品、半製品、仕掛品、原材料、 貯蔵品)の内訳書
期末棚卸しの方法を記入し、品目ごとの数量、単価、期末現在高をまとめて記入します。
6.有価証券の内訳書
区分には「売買目的有価証券」「満期保有目的等有価証券」または「その他有価証券」の別に、「売買」「満期」「その他」を記入します。
「期中増(減)の明細」の各欄には、期末現在高がないものであっても期中で「売却」、「買入」、「増資払込」、「評価換」などを行った場合には記入します。
7.固定資産(土地、土地の上に存する権利及び建物に限る。)の内訳書
「期中取得(処分)の明細」の各欄には、期末現在高がないものであっても期中において売却、購入または評価換えを行った場合に記入します。
8.支払手形の内訳書
取引先に対する支払手形の総額が100万円以上のものについては個別に記入し、その他のものについては一括して記入します。
ただし100万円以上のものが5口未満の場合は、期末残高が大きいものから5口程度記入します。
9.買掛金(未払金・未払費用)の内訳書
相手先別の期末残高が50万円以上のものについては個別に記入し、その他は一括して記入します。
ただし50万円以上のものが5口未満のときは期末残高が大きいものから5口程度記入します。
10.仮受金(前受金・預り金)の内訳書-源泉所得税預り金の内訳書
仮受金(前受金・預り金)の内訳書は、相手先別の期末残高が50万円以上のものについては個別に記入します。
ただし、役員・株主及び関係会社においては、期末残高が50万円未満であってもすべて個別に記入します。
11.借入金及び支払利子の内訳書
相手先別期末残高が50万円以上のものについては個別に記入します。
ただし、役員、株主及び関係会社においては、期末残高が50万円未満であってもすべて個別に記入します。 なお、期末残高がない場合でも、期中の支払利子の額が3万円以上ある相手先については、記入が必要です。
12.土地の売上高等の内訳書
棚卸資産として保有している土地を売却した場合、または土地等を仲介した場合に、取引金額の大きいものから個別に記入します。
「区分」欄には、売上、仲介手数料の別を記入し、続いて商品の所在地・地目・総面積、売上(仲介)年月、売上先(仲介)の氏名・所在地、売上(仲介)面積、売上金額(仲介手数料)、売上商品の取得年を記入します。
13.売上高等の事業所別内訳書
事業所の名称・所在地・責任者氏名・代表者との関係、事業等の内訳、売上高、期末棚卸高、期末従業員数、使用建物の延面積、源泉所得税納付署を記入します。
「計」欄には、損益計算書の金額と一致するように記入します。
14.役員報酬手当等及び人件費の内訳書
役職名、氏名・住所・代表者との関係、常勤・非常勤の別、役員給与の計・その内訳、退職給与などを記入します。
15.地代家賃等の内訳書-工業所有権等の使用料の内訳書
地代家賃の区分、借地(借家)の物件の用途・所在地、貸主の名称・所在地、支払対象期間、支払賃借料などを記入します。
16.雑益、雑損失等の内訳書
科目、取引内容、相手先の名称・所在地、金額を記入します。
科目別かつ相手先別の金額が10万円以上のものについて記入します。ただし、税金の還付金については、その金額が10万円未満であってもすべて記入します。

まとめ

勘定科目内訳明細書の作成には時間・労力共に必要とするので、決算までの日程に余裕を持って作成することをおすすめします。
申告期限の間際にあわてて作成するのではなく、日常から勘定科目内訳明細書の作成を意識した帳簿管理をしておくとよいでしょう。

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