会計の基礎知識

決算書をさらに早く深く理解できるようにすべきこと

決算書をさらに早く深く理解できるようにすべきこと

決算書は難解で奥が深いので、会計の知識を十分持っていなければ内容の理解には限界が生じてしまい、経営や業務に十分役立てることができません。
この記事では、決算書についての理解を早め、さらに深めるためにできることの例をいくつかご紹介します。

決算書の作成を行いたい方はこちらの記事も併せてご覧ください。
【関連記事】法人決算を一人で完結させるために必要な前提知識

目次

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決算書の理解を深めるためにできること

 会計の知識をある程度持っているかいないかに関わらず、決算書の理解を深めるためにできることの例について、順を追ってご紹介します。

1.決算書に関するセミナーを受講する・会計の入門書を読む

 商工会議所やビジネススクールなどで定期的に開催されている、会計や決算書の読み解きに関するセミナーに参加することができます。
内容のレベルは、会計に関する知識が全く無い人向けのものから、すでに会計業務に就いている人向けのものまで様々です。
参加費用は数千円~数万円程度が相場となっています。

 セミナーは平日の開催が多く、一日を通して行われます。平日に休みが取れない、丸一日職場を空けることはできないという人の場合は、決算書に関する市販の入門書を活用するのも効果的です。
決算書に関する基礎知識やおおまかな骨組み、分析の視点や構成する書類(貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書)の見方をある程度理解することができるでしょう。

2.決算書の仕組みを理解し、分析の練習をしてみる

 セミナーや本で基礎的な知識を付けたなら、さらに深い理解を付けます。
WEBなどで公開されている企業の決算書を試しに分析して、決算書の活用法を実体験してみることもできます。練習問題を繰り返し解いていくと苦手意識が薄くなるように、実際の決算書を使って分析を練習してみることで、リアリティのある学習ができます。
決算書を構成しているのは財務諸表とも呼ばれるもので、貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書などです。それぞれ役割や表している内容が異なります。

 たとえば貸借対照表は、決算時の企業の財政状態を表したもので、安全性・効率性が、損益計算書は、会計期間の企業の経営状況を表したもので、収益性・成長性などの財務分析が可能となります。
貸借対照表において特に大きなポイントとなる指標と、その計算方法を紹介します。

1.自己資本比率

 企業の総資産のうち、返済の必要の無い自己資本はどのくらいの比率なのかという企業の安定性を表す指標です。
この比率は、40%以上なら優良とされています。
「自己資本比率=自己資本(純資産)÷総資産(資産の総合計)×100(%)」

2.当座比率

 企業の総資産のうち、現金化しやすい資産がどれくらいの比率なのかを表す指標です。企業の支払い能力を知ることができます。
この比率は、100%以上あることが理想とされています。
「当座比率=当座資産÷流動負債×100(%)」

 損益計算書は、当期の企業の経営成績が「収益」「費用」「利益」という3つの面から把握できる財務書類です。
つまり、「当期にどれくらいの収益が上がり」「そのためにどれくらいの費用がかかり」「残っている利益はどのくらいあるのか」を表しています。
損益計算書において特に重要な科目は、次に取り上げる「5つの利益」です。

    1. 売上総利益
      粗利(あらり)とも呼ばれるもので、売上高から売上原価を引いたものです。
      「売上総利益=売上高-売上原価」
    2. 営業利益
      売上総利益から、企業の本業に要した費用(販売費及び一般管理費)を引いたものです。
      「営業利益=売上総利益-販売費及び一般管理費」
    3. 経常利益
      営業利益に、配当や利息などの営業外収益を足し、営業外費用を引いたものです。
      「経常利益=営業利益+営業外収益-営業外費用」
    4. 税引前当期純利益
      経常利益に臨時に発生する利益を加え、特別損失を引いたものです。
      「税引前当期純利益=経常利益+特別利益-特別損失」
    5. 当期純利益
      税引前当期純利益から、各種税金を引いて最終的に残ったものが当期純利益です。
      「当期順利益=税引前当期順利益-法人税等」

 キャッシュフロー計算書は、その名の通り現金の流れを計算してまとめたものです。会計期間の資金の増減が営業活動、投資活動、財務活動ごとに区分して表示され、企業の資金繰りの様子が分かるようになっています。

3.財務諸表や経済ニュースを習慣的に読む

 他の企業の決算書で分析練習をした後は、自社の決算書を読んで理解してみましょう。
先に挙げた財務諸表を分析し、自社の財政状況や経営成績を読み取れるようになることを目標とします。
財政上の危険や問題点、収益の偏りなどに気が付けるようになれば決算書を理解するという点においては合格と言えるでしょう。

 さらに深い部分を知るには、日々知識を取り入れることが必要になります。
経済に関係するニュースや、経済新聞を読む習慣を付けるのも良いことです。難しい会計用語や経済用語は出来る限り調べ、見聞きしていることの内容をしっかりと理解できるよう努力します。
今ひとつニュアンスが掴めないように思える用語や表現も、習慣的に見聞きすることで理解できるようになる場合もあるでしょう。

決算の発表時期

 決算書が分かるようになってくると、他社の決算情報も気になってくるかもしれません。決算の発表時期というのは、企業ごとに異なります。

 決算内容の発表方法のひとつに、「決算短信」というものがあります。
決算短信とは、企業の決算発表の内容をまとめた書類のことです。決算後、1~2カ月後に証券取引所やメディアに発表されます。またIRの一環として、多くの企業が自社のホームページで決算短信を掲載しています。

 「有価証券報告書」という形式もあります。
これは金融商品取引法に基づき、上場会社が事業年度ごとに作成する会社内容の開示資料です。上場会社は各事業年度終了後3カ月以内に、財務局長および上場証券取引所に有価証券報告書を提出することが義務付けられています。
有価証券報告書は、財務局や金融庁ホームページ(EDINET)、各証券取引所で閲覧することができます。

決算情報を得られる資料・ウェブサイト

 決算情報は、どこで入手できるのでしょうか?
日本経済新聞はそのひとつです。現在では電子版での購読も可能です。決算短信や、その他企業人として知っておくべき重要な経済情報を把握することができます。

 東証のWEBサイトでは、「適時開示情報閲覧サービス」を設置しています。
国内金融商品取引所(東京証券取引所、名古屋証券取引所、福岡証券取引所、札幌証券取引所)の上場会社および日本証券業協会が指定するグリーンシート銘柄(フェニックス銘柄を含む)が開示した決算情報を閲覧可能です。

 これとは別に、東京証券取引所に上場している会社については、過去5年分の決算情報および基本情報等の情報を「東証上場会社情報サービス」にて提供しています。

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まとめ

 今持っている知識に合わせてセミナーに参加したり、実際の決算書を使って分析の練習をしたり、経済関連のニュースに日頃から触れて慣れることで決算書への理解が早く深まります。

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