会計の基礎知識

費用とは?原価・損金との違いや損益計算書で用いる種類を解説

監修 安田亮 安田亮公認会計士・税理士事務所

費用とは?原価・損金との違いや損益計算書で用いる種類を解説

費用とは、企業が事業活動を行ううえで発生する支出や消費のうち、収益を生み出すために必要なものを指します。会計上、費用は企業の利益を計算する際に売上高から差し引かれる要素であり、財務諸表では損益計算書(P/L)に記載されます。

費用に該当するのは、大きく分けて売上原価・販売費及び一般管理費(販管費)・営業外費用・特別損失・法人税等などです。費用を正しく理解することは、企業の財務状況や経営状態の把握に役立ちます。

本記事では、費用の基本的な考え方や、損益計算書で用いる費用の種類、原価や損金との違いなどを解説します。

目次

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費用とは

費用とは、企業が事業活動を行ううえで発生する支出や消費のうち、収益を生み出すために必要なものを指します。

費用には、事業に直接的に関係する支出だけでなく、経営上欠かせない支出も含まれます。具体的には、以下が費用に該当する支出の例です。

「費用」に該当する支出例

  • 売上を得るために必要な商品・原材料の仕入原価
  • 従業員に支払われる給与
  • 事務所の家賃
  • 借入金の利息
  • 法人税 など

費用は、財務諸表では損益計算書に記載され、損益計算書上では、売上や利益から引き算される部分の総称として用いられます。売上原価・販売費及び一般管理費・営業外費用・特別損失・法人税等が費用にあたります。


出典:中小企業庁「損益計算書とは」

費用と原価の違い

費用は、企業の事業活動に伴う支出全般を指す一方、原価は、企業が商品・サービスを提供するために直接かかったコストのことを指します。売上原価や製造原価が原価に該当し、原価は費用の一部であるといえます。

【関連記事】
売上原価とは?をわかりやすく解説!勘定科目や計算方法も押さえておこう

費用と損金の違い

損金とは、法人税の計算上、課税所得(税金をかける対象となる利益)から控除できる費用のことを指します。つまり、企業が法人税を計算する際に、利益から差し引ける支出(費用・損失)のことです。

損金と費用は近い意味の言葉ですが、以下の「損金算入」「損金不算入」の処理が存在するため、「会計上では費用であっても、税務上では損金にはならない」ものもあります。

損金算入と損金不算入

  • 損金算入:会計上の扱いにかかわらず、税務上では損金として扱うこと
  • 損金不算入:会計上は費用とするものを、税務上は損金として扱わないこと

損金について詳しく知りたい方は、別記事「損金とは?費用・経費との違いから、算入・不算入の事例までわかりやすく解説」をご覧ください。

費用・原価・損金の関係は、以下の通りです。

費用は発生主義で計上する

企業会計では、費用は「発生主義」の考え方に基づいて計上します。

発生主義とは、売上の収入や費用の支出額が確定した時点の日付で帳簿をつける考え方のことです。発生主義に基づく会計では、金銭のやり取りが行われていなくても、取引が確定した時点で経費計上を行います。

たとえば、事業に必要な仕入れを行い、代金の支払いは翌月末払いだった場合は、購入日に費用を計上し、引き落とし日に出金を記録します。

入出金の事実があって初めて取引として認める現金主義とは異なり、費用を計上するタイミングは必ずしも支出のタイミングとは一致しません。

発生主義について詳しく知りたい方は、別記事「発生主義とは?現金主義・実現主義との違いや適用場面をわかりやすく解説」をご覧ください。

損益計算書で用いる費用の種類

損益計算書は、企業のある一定期間の収益と費用を記載した財務諸表で、収益・費用・利益の3つの要素で構成されています。

損益計算書で用いる費用の種類は、以下の5つです。


費用の種類概要
売上原価商品・サービスの仕入れや製造で必要になった費用
販売費及び
一般管理費
・事業を行う上で生じた販売業務や一般管理業務にかかる費用
・広告宣伝費や地代家賃など売上原価に含まれないほぼ全ての費用が該当する
営業外費用 ・本来の営業活動以外にかかった費用
・支払利息・社債利息・有価証券の売却損・雑支出などが該当する
特別損失 ・通常は発生しない偶発的な損失
・災害損失・固定資産売却損・固定資産除却損・前期損益修正損などが該当する
法人税等 ・法人税、住民税、事業税

損益計算書では、以下の各計算で5つの利益が算出されます。

各費用から算出される利益

  • 売上高 - 売上原価 = 売上総利益
  • 売上総利益 - 販売費及び一般管理費 = 営業利益
  • 営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用 = 経常利益
  • 経常利益 + 特別利益 - 特別損失 = 税引前当期純利益
  • 税引前当期純利益 - 法人税等 = 当期純利益

損益計算書の各利益やその算出方法については、別記事「損益計算書とは?項目別の見方やチェックポイントを解説」をご覧ください。

まとめ

費用は、損益計算書上で使用される項目で、原価・給与・家賃など企業の事業活動に伴うあらゆる支出を表します。

損益計算書では、売上原価・販売費及び一般管理費・営業外費用・特別損失・法人税等が費用にあたります。

「原価」は、仕入れや製造にかかった費用を直接把握できる支出であり、費用の一部です。また、「損金」は、法人税法の目的にあわせて費用に一定の調整を加えたもので、損金算入・損金不算入があるために費用とは一致しないこともあります。

費用は損益計算書の重要な要素であり、費用を理解することが企業業績の把握にもつながります。ぜひ費用の考え方を理解して、資金繰りや経営の見直しに役立ていきましょう。

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よくある質問

そもそも費用とは?

費用とは、損益計算書上で使用される項目で、原価・給与・家賃など企業の事業活動に伴うあらゆる支出のことです。損益計算書では、売上原価・販売費及び一般管理費・営業外費用・特別損失・法人税等が費用に該当します。

詳しくは「費用とは」をご覧ください。

費用と原価・損金の違いは?

「原価」は商品や製品の仕入れや製造にかかった費用を直接把握できる支出のことで、費用の一部であるといえます。

また、「損金」は法人税法の目的にあわせて一定の調整を加えたもので、費用に近い意味の言葉ですが、損金算入・損金不算入があるため、損金 = 費用とならないこともあります。

詳しくは「費用と原価の違い」「費用と損金の違い」をご覧ください。

監修 安田 亮(やすだ りょう)

1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。

監修者 安田亮

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