経営分析をする際に、黒字と赤字の境界線となる損益分岐点の見極めはとても重要です。そこで今回は、損益分岐点を分析する際のポイントについて解説します。
目次
損益分岐点分析(CVP分析)とは
損益分岐点分析またはCVP分析とは、管理会計上の分析の一つとされています。CVP分析のCVPとは、「コスト(Cost)」「販売量(Volume)」「利益(Profit)」の頭文字となります。
具体的な分析としては、コストを変動費と固定費に区分けしてから売上高から変動費を差し引いて限界利益を算出します。限界利益が算出したら売上高で割ることで限界利益率がでてきます。最後に固定費を限界利益率で割ることで損益分岐点売上高が算出されます。
損益分岐点分析では、損益分岐点売上高を知ることから始まります。赤字となっている会社では、どれほど売上をあげれば黒字転換できるのかがわかります。また黒字となっている会社は、売上がどこまで落ちたら赤字転落してしまうのか目安となります。
赤字となっている会社は、損益分岐点売上高を超えることが当面の目標となります。黒字となっている会社は損益分岐点を分析することで安全余裕率を確認することができます。
安全余裕率とは、損益分岐点売上高に対して実際の売上高がどの程度の余裕があるのかを表すものとなります。
安全余裕率=(実際の売上高-損益分岐点売上高)÷実際の売上高
実際の売上高6,000万円で損益分岐点売上高が5,000万円であった時の安全余裕率は以下の通りです。
(6,000万円-5,000万円)÷6,000万円=17%
損益分岐点分析からわかること
企業の損益分岐点分析をすることで、赤字であれば売上をどこまであげれば黒字となり利益をだすことができるのかわかります。また黒字となっていれば、どこまで売上が減少すると損失がでて赤字に転落してしまうのかわかります。
損益分岐点分析から、損益分岐点売上高を求めることが第一となりますが、会社が赤字となっているのか黒字となっているのかで損益分岐点売上高に対して対応が変わってきます。
赤字となっているのであれば、売上高を増やすことが最優先にはなりますが、固定費や変動費などの経費を減らすことで損益分岐点売上高を下げることができます。損益分岐点売上高を下げることができれば、実際の売上高が変わらなくても損益分岐点を超えることができるかもしれません。
会社が黒字となっていれば、損益分岐点までどの程度の余裕があるのか確認をすることができます。利益があがり資金に余裕があるのであれば、設備投資や従業員の増加をして事業の拡大をすることでき、新規の事業を立ち上げることも可能となります。
損益分岐点の計算のしかた
損益分岐点売上高を算出するには、以下の算出式の通りです。
損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率
固定費は企業が営業活動をしていくために必要な費用となります。事業所の家賃や水道光熱費、従業員の給与や宣伝広告費、旅費交通費、通信費などとなります。基本的に固定費は売上高の増減に関わらずかかる費用となりますが、売上高が損益分岐点売上高を超えずに赤字となっている場合には、見直していく必要があります。
変動費は仕入原価や製造原価となります。変動費率が高く、限界利益率が低いのであれば利益がでづらく損失が発生して赤字になりやすくなってしまいます。
利益をだすために、損益分岐点売上高を超える売上をだしていかなければなりませんが、損益分岐点売上高を下げることで利益がでやすくなります。
損益分岐点の下げ方
企業は損益分岐点を下げることで、黒字になりやすい企業体質とすることができます。損益分岐点を下げるには、固定費を下げる方法と変動費を下げる方法があります。
変動費を下げるには、製造原価や仕入原価、また販売費などの見直しをしていく必要があります。また固定費を減らすには、余剰人員のリストラや不採算事業の撤退、赤字となっている事業所や工場の閉鎖、通常業務やコストの見直しや削減などが必要となります。
損益分岐点を下げるためには経費の削減をすることになりますが、従業員のリストラや事業所での営業費の削減には注意が必要です。あまりにコストの削減をしてしまうと、従業員のモチベーションが下がってしまい、経費は削減できてもそれ以上に売上高が減少してしまう可能性があります。
変動費と固定費のコスト削減は、会社が赤字となっている場合には売上高を増やすことよりも簡単なことかもしれませんが、経費を削減するのも売上高を増やすのも従業員あっての会社となります。
損益分岐点を下げることで売上高を増やすことなく、赤字から黒字に転換できる可能性はありますが、それ以上に従業員のモチベーションを下げないように注意してコスト削減をしていく必要があります。
まとめ
損益分岐点を分析するにあたり、会社が赤字となっているのであれば黒字転換までも売上高の目安になります。会社が黒字であれば、どの程度の余裕があるのかの目安になります。
借入をしている場合には、返済も考慮した損益分岐点にする必要もあります。財務会計では変動費と固定費に分けていないので、自社の何が変動費で、何が固定費にあたるのか把握することも大切です。
黒字であれば、設備投資や従業員の増加などの事業拡大を検討することができます。損益分岐点をしっかりと分析して、黒字体質の会社経営をしていくことが大切です。
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