会計の基礎知識

黒字倒産とは?起こる理由や回避するためのポイントを解説

黒字倒産とは?起こる理由や回避するためのポイントを解説

黒字倒産とは、事業で利益が出ていて黒字であるのにもかかわらず、資金繰りや負債等により倒産せざるを得なくなってしまうことです。黒字倒産しないためには、会社の入出金状況を正しく把握したり、余裕を持ったキャッシュフロー計画を立てたりする必要があります。

また、黒字倒産のリスクを事前に検証するには、資金繰り表や貸借対照表のチェックが有効です。

本記事では、黒字倒産が起こる理由や回避するポイント、赤字でも倒産しない会社との違いについて詳しく解説します。

目次

はじめての経理はfreee会計で簡単・安心・確実に

経理未経験でも、freee会計で帳簿や決算書を作成できます。

銀行口座と同期すると、複雑な仕訳を自動化したり、
日々の記帳を行うと、1クリックで決算書を作成できたり。

クラウド会計ソフト市場シェアNo.1のfreee会計なら、初心者の方でも安心して進められます。

黒字倒産とは

黒字倒産とは、帳簿上では利益が出ている(黒字)にもかかわらず、資金繰りが回らず経営続行が困難となり倒産してしまうことです。

BtoBの取引では、買掛金・売掛金を用いて取引されることが多く、売掛金の取引では、すぐに現金を受け取れない場合があります。また、仕入や設備投資等で多くの資金を使い借入があると、現金が手元にない限り支払いはできません。

このように、帳簿上では利益が出ていても実際には売上代金が手元に入ってきておらず、仕入や返済を行うための資金がなくなってしまうことで黒字倒産につながってしまいます。

黒字倒産が起こる理由

黒字倒産が起こってしまう理由として、主に以下の2つのケースが考えられます。

黒字倒産が起こる理由

  • 資金繰りが回らなくなってしまった
  • 多額の負債があり返済が追いつかなかった

資金繰りが回らなくなってしまった

資金繰りとは、売上としての現金の入金や仕入や経費の支払いとしての現金の出金を管理することです。

成長段階であるベンチャー企業のように大きなプロジェクトが動いている状況では、売上が入金されるよりも前に設備投資や借入の返済などに追われてしまい、資金繰りが回らなくなりがちです。売上が立っている場合でも、売掛金を利用した取引をすれば手元への現金はすぐには入りません。

現金がなければ新しい仕入や人件費などの支払いができなくなり、経営が続けられず倒産となってしまいます。

多額の負債があり返済が追いつかなかった

資本金や設備投資など、事業をはじめるには多くの資金が必要であり、融資を受けているなどの場合があります。このような融資をはじめとした負債が多額である場合、事業利益が黒字であっても返済が追いつかなくなる可能性があります。

たとえば、借入による利息負担が大きい場合など、売上の入金が間に合わないことから手元の資金に余裕を持たすことができず、返済ができなくなるかもしれません。

黒字倒産を回避するポイント

黒字倒産を回避するためには、以下のポイントを把握しておきましょう。

黒字倒産を回避するポイント

  • 入出金の状況を把握する
  • 余裕を持ったキャッシュフロー計画を立てる
  • 回収を早めて支払を遅くする
  • 過剰在庫に気をつける
  • 資金調達力を高める
  • M&Aを検討する

それぞれ、以下で解説します。

入出金の状況を把握する

経営を行うにあたって、会社のお金の流れを把握するのは必要不可欠です。入金・出金ともに、いつ、いくら発生するのかを把握しながら経営を進めることで、現金が不足するといった事態を避けることができます。

入出金状況の把握には、資金繰り表を活用しましょう。なお、資金繰り表については後述する「資金繰り表をチェックする」をご確認ください。

余裕を持ったキャッシュフロー計画を立てる

買掛金や売掛金を用いた取引を行っている場合など、実際のお金の流れと帳簿に記載した損益の発生フローは、必ず一致するわけではありません。そのため、キャッシュフローが常にプラスになるよう、売掛金の回収期限を早めに設定したり足りない場合は融資などを利用したりするなどして、資金繰りに余裕を持たせましょう。

キャッシュフロー計画を立てる際は、経常収支と前月・次月繰越金額がどれくらいなのかしっかりと可視化して、入出金がプラスの状態を保てるように管理してください。

回収を早めて支払を遅くする

売上高の回収を早めて仕入代金等の支払を遅くすれば、手元の資金に余裕が生まれます。回収を早めるためには前受けを、支払を遅くするためには後払いや分割払いなどを取引先に提案し、交渉します。

事業が黒字であれば後払いであっても滞りなく行ってくれると信用してもらえるため、受け入れられる可能性が高いと考えられます。

過剰在庫に気をつける

商品の在庫を抱える卸売業では、過剰在庫に注意しましょう。抱えている在庫数が過剰だと売れ残りのリスクが高まり、資金繰りに影響が出ます。また、在庫は経費として計上することができず資産としての計上となるため、その分納税額が上がってしまうことにも注意が必要です。

商品は販売してから現金化されるまでも時間がかかるため、適切な商品在庫数となるように棚卸しを行ったり在庫管理システムを導入するなどして、管理しましょう。

棚卸しについて詳しく知りたい方は、別記事「棚卸しとは?目的・実施タイミングや評価方法までわかりやすく解説」をご覧ください。

資金調達力を高める

手元の現金が不足している場合は、金融機関からの資金調達を行うのもひとつの方法です。融資などの資金調達が必要になった際にすぐ相談できるよう、あらかじめ金融機関と関係性を構築しておきましょう。

また、ひとつの金融機関だけでは借入できる金額や返済期限などに制限ができてしまうため、複数の金融機関と取引を検討しましょう。ただし、複数の金融機関と取引すると、その分口座管理や返済管理が煩雑になってしまう点に注意が必要です。

M&Aを検討する

M&Aとは「Mergers and Acquisitions」の略で、企業の合併・買収を意味します。企業を合併・買収させることで黒字倒産を免れるケースもあり、黒字倒産を回避する最終的な手段となりえます。

M&Aは、資金難を回避して譲渡益が得られるだけではなく、場合によっては事業承継問題を解消できるといったメリットもあります。黒字倒産だけでなく、会社経営におけるひとつの打開策であるといえるでしょう。

黒字倒産が起こるリスクのチェックポイント

以下の書類をチェックすることで、黒字倒産が起こるリスクを事前に知ることができます。

黒字倒産のリスクをチェックする書類

  • 資金繰り表
  • 貸借対照表
  • 損益計算書

資金繰り表から営業収支や経常収支を把握する

営業収支や経常収支


資金繰り表とは、会社のお金の流れを収入や支出など項目ごとに表にしたものです。黒字倒産のリスクにいち早く気づくためには資金繰り表の作成をして、今現在どれほどの資金力があり経営に余裕があるのかを重点的に確認しましょう。たとえば、営業収支がプラスになっていても、経常収支が大幅なマイナスになっていると黒字倒産に陥る可能性が高いといえます。

前述のとおり、一般的に黒字倒産は資金不足によって起こります。資金繰り表作成時点でのお金の回収状況と将来的な支出を比べ、資金不足となる場合はいくら足りないのか正確に確認してください。なお、資金繰り表は毎月作成して、月ごとの資金の増減を確認することが一般的です。

資金繰り表の作成方法やメリットなどについて詳しく知りたい方は、別記事「資金繰り表とは?作成のメリットやエクセルでの作り方をわかりやすく解説」をご覧ください。

貸借対照表(B/S)から財産・債権・債務を把握する

貸借対照表
貸借対照表とは、一定時点において企業がどれくらいの財産・債権・債務を持っているのか示す書類です。「バランスシート(Balance sheet)」とも呼ばれ、B/Sと記載されることもあります。貸借対照表では、資産・負債・純資産が科目ごとに読み取れるため、会社の財政状況を正しく把握できます。

貸借対照表で黒字倒産のリスクをチェックするには、特に純資産の部から読み取れる自己資本比率を確認しましょう。自己比率とは、現状の保有している自己資産がどの程度であるのかを示す指標で、経営の安定性を確認するために用いられます。

なお、自己資本比率は以下の計算式で求めます。

自己資本比率(%)=純資産÷(純資産+負債)×100

財務省の調査によると、2023年7月〜9月の全産業における自己資本比率の平均は43.4%でした。そのため、自己資本比率がこの数値よりも高ければ黒字倒産リスクが低いといえるでしょう。

貸借対照表について詳しく知りたい方は、別記事「貸借対照表とは? 会社の財務状況を簡単に把握!」をご覧ください。


出典:財務省「報道発表 四半期別法人企業統計調査(令和5年7月〜9月期)結果の概要」

損益計算書(P/L)から利益の状況を把握する

損益計算書


損益計算書とは、企業のある一定期間の収益と費用の損益計算をまとめた書類で、現状どれほどの利益があるのか確認できます。「プロフィット・アンド・ロス・ステイトメント(Profit and Loss statement)」とも呼ばれ、P/Lと記載されることもあります。

黒字倒産のリスクがある状況では、売上が増えているのにもかかわらず費用が高くついていることが原因で、営業利益や経常利益が出ていないということがあります。そのため、損益計算書を活用して、収益が費用を上回り利益が出ているのか、チェックしてください。

損益計算書について詳しく知りたい方は、別記事「損益計算書とは? 項目別の見方やチェックポイント、活用法を解説」をご覧ください。

黒字倒産する会社と赤字でも倒産しない会社との違い

会社が倒産してしまう大きな原因は、黒字倒産・赤字倒産にかかわらず手元にある資金不足です。そのため、赤字であっても仕入れや返済が行える十分な資金があれば、倒産せずに経営を続けられます。

売上が赤字でも倒産しない会社は、経営が続けられるほどに預貯金が確保されていたり、資金調達できる借入先を確保できていたりします。

赤字について詳しく知りたい方は、別記事「赤字とは?赤字決算で免除される税金や赤字経営の脱却方法を解説」をご覧ください。

はじめての経理でも、自動化で業務時間を1/2以下にする方法


 

経理業務は日々の入出金管理のほか、請求書や領収書の作成・保存、仕訳作成まで多岐にわたります。

シェアNo.1のクラウド会計ソフト*1「freee会計」は、面倒な入力作業や仕訳を自動化し、見積書や請求書も簡単に作成できるため、経理業務にかかる時間を半分以下*2に削減できます。また、一度の入力で複数の業務が完了するため、重複作業や転記作業はほぼ発生しません。

※1リードプラス「キーワードからひも解く業界分析シリーズ:クラウド会計ソフト編」(2022年8月)
※2 自社調べ。回答数1097法人。業務時間が1/2以上削減された法人数

数ある会計ソフトの中でも、freee会計が選ばれる理由は大きく3つ。


  • AI-OCR機能で自動入力・自動仕訳
  • 全国ほぼすべての銀行・160以上の外部サービスと連携
  • 充実のサポート体制

それぞれの特徴についてご紹介していきます。

AI-OCR機能で自動入力・自動仕訳

AI-OCR機能で自動入力できるfreee会計


領収書・受取請求書などをスマホのカメラで撮影しfreee会計に取り込めば、読み取り機能(OCR機能)が取引先名や金額などをAI解析し、仕訳に必要な情報を自動で入力。そのまま支払管理・仕訳まで自動で作成できます。

全国ほぼすべての銀行・160以上の外部サービスと連携

freee会計は全国ほぼすべての銀行や外部サービスと連携


freee会計は全国ほぼすべての銀行やクレジットカード、決済サービスなどと連携可能。同期していれば自動で利用明細を取り込むので、勘定科目の登録はもちろん、売掛金や買掛金の消し込み、入金仕訳などの記帳が、freee会計の画面だけで行えます。

さらに、地代家賃や役員報酬など定期的に入金・支払金が発生する取引は、登録さえしておけばfreee会計が自動で記帳まで完了します。

充実のサポート体制

経理の自動化


freee会計には、経理をするうえでの不安を解消できる充実したサポートコンテンツを用意しています。それでも解決できないお悩みはfreeeの専任スタッフにご相談いただける体制も整っているため、はじめて経理される方でも安心して始めることができます。

<コンテンツ例>


まとめ

黒字倒産とは、事業でしっかりと売上を立てて利益があるのにもかかわらず、資金繰りが回らずに支払いや借入の返済ができずに倒産してしまうことです。黒字倒産となる場合の多くの理由が、売掛金の回収遅れや借入による利息負担などによるものとされています。

黒字倒産しないためには、常に会社の入出金状況を把握して、余裕のあるキャッシュフロー計画を立てることが大切です。黒字倒産のリスクをチェックし、余裕のあるキャッシュフロー計画を立てるためには、資金繰り表、貸借対照表、損益計算書などを活用しましょう。

よくある質問

黒字倒産はなぜ起こるのですか?

黒字倒産は、主に資金繰りが回らなくなってしまったことが原因で起こります。また、多額の負債を抱えている場合は、黒字であっても返済が追いつかなくなってしまったら黒字倒産につながる可能性があります。

詳しくは記事内「黒字倒産が起こる理由」をご覧ください。

黒字倒産をしないためにはどうすれば良い?

黒字倒産をしないためには、まず入出金の状況を正しく把握して余裕のあるキャッシュフロー計画を立てる必要があります。ただし、どうしても資金繰りが厳しくなってしまった場合には、M&Aを行うなどの方法で黒字倒産を回避できます。

詳しくは記事内「黒字倒産を回避するポイント」をご覧ください。

無料で30日間お試しできる会計ソフト freee会計

インボイス制度や電子帳簿保存法に完全対応。

記帳作業をほぼすべて自動化して、入力の手間を減らします。
日々の記帳を行うと、1クリックで決算書を作成できます。

初期費用や解約料は0円なので、初めて会計ソフトを利用される方でも、安心して会計ソフトに挑戦できます。