会計の基礎知識

経理のDXはなぜ必要?メリットや進め方を解説

監修 米澤 潤平 税理士・社会保険労務士・中小企業診断士

経理のDXはなぜ必要?メリットや進め方を解説

新型コロナ感染拡大以降のリモートワークの推進や、労働力人口の減少傾向を受け、企業の経理業務におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の必要性はこれまで以上に高まっています。経理業務のDXを進めることは業務の自動化と効率化を叶えるだけでなく、遠隔地からの業務遂行を可能にするなど、経理業務担当者の新たな働き方を実現することにつながります。

この記事では、経理業務のDXがなぜ必要なのか、そのメリットと具体的な進め方について解説します。

目次

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経理業務のDXとは

経理業務でのDX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用して会計と財務のプロセスを根本から変革する取り組みを指します。

経理業務のDXを行う具体的な手段としては、大きく以下の2つが挙げられます。

経理業務のDXの2つの手段

  1. ペーパーレス化の推進
  2. 経理システムの導入

これらの施策により、従来の手作業に依存した業務処理から脱することで、ヒューマンエラーの減少や従業員の作業時間の短縮、コスト削減などが可能になります。単なる業務効率化にとどまらず、最終的には経営効率の改善への貢献も期待できるでしょう。

経理業務のDXを進める必要性

経理業務は日次や月次で行わなければならない定型業務が多くあります。これらの業務では日々の取引や資金管理に関する膨大なデータを扱うため、手入力によるアナログ作業では時間がかかり、従業員の負担が大きくなりがちです。

IT・デジタルの技術によって経理業務の自動化や効率化を図ることで、従業員の作業時間は大幅に削減されます。これにより従業員の負担が軽減されるのはもちろん、新たに捻出された時間で、従業員はコア業務により多くの時間を当てられるようになります。従業員のパフォーマンスを最大化し、企業の生産性や組織力を高めるためにも、経理業務のDX化は重要な取り組みといえるのです。

また、昨今では改正電子帳簿保存法やインボイス制度への対応などが求められているように、経理業務は法改正の影響を受けやすいといえます。法改正により業務内容や業務フローを見直さなければならない場面でも、体系化された経理システムが導入されていれば、迅速に適応することができるでしょう。

経理のDXを図るメリット

経理のDXは単なる業務の自動化ではなく、さまざまなビジネス課題の解消や企業の競争力向上につながります。具体的には、以下のようなメリットがあります。

経理のDXを進めるメリット

  • 業務の属人化の解消
  • コストの削減
  • 企業ガバナンスの強化
  • 多様な働き方の実現

ここでは、それぞれのメリットについて解説します。

業務の属人化を解消できる

経理業務は専門的な知識が必要なことから、実務の担当者が限られてしまいます。そのため、特定の個人に業務が集中し、属人化が起こる可能性があります。

属人化は、その従業員が退職したり、長期休暇を取得したりした場合に業務が滞るなどのリスクがあります。前述のとおり専門知識が必要な職種であることから、経理業務を担う新たな人材の育成には時間がかかります。その間、慢性的な人手不足に悩まされるケースも少なくありません。

こういった経理部門の課題は、経理業務のDXにより解決することが可能です。業務プロセスをデジタル化し、フローを可視化することで、経験の浅い経理担当者でも迅速かつ的確に業務を処理できるようになります。

コストを削減できる

経理業務のDXは、企業のコスト削減に大きく貢献します。

経理システムやツールの導入に伴って初期投資(イニシャルコスト)は少なからず発生するものの、これらのデジタルツールは経理業務の処理スピードを大幅に向上させます。従来、手作業で時間を要していた業務がデジタル化により迅速に処理できるようになることで、必要とされる労働時間が削減され、結果として人件費の節約につながるでしょう。

さらに、経理業務のデジタル化は、紙ベースの文書管理費用の減少も期待できます。

文書の印刷、保管、管理にかかるコストは、特に大量の書類を扱う経理部門では無視できない支出です。デジタル化によりこれらの物理的な文書の電子管理が可能になるため、印刷コストや保管スペース確保にかかる経費の削減が実現します。

企業ガバナンスの強化につながる

経理業務のDXは、企業ガバナンスの強化にも寄与します。

業務の属人化や人手不足は、不正会計や改ざん、決算遅延などのリスクを高める可能性があります。近年、企業ガバナンスの重要性が高まるなか、経理業務のルールやプロセスを明確にし、管理を強化していくことが企業に一層求められています。

経理システムやツールの導入は、これらの課題に対処する有効な手段といえます。デジタルツールを活用することで、業務プロセスを可視化し、決められたルールに則った正確な対応ができるようになります。これにより、業務内容の透明性や正確性を保つことができます。

さらに、経理システムを用いることで、書類の訂正や削除などの操作履歴が記録され、必要に応じたデータの追跡や監査がしやすくなります。これは、不正行為の予防や早期発見、対応策の迅速な実施に役立つといえるでしょう。

働き方の多様化を実現できる

DXの推進は、働き方の多様化を促進し、企業の柔軟性を高めることにも寄与します。

従来、社内の経費精算や企業間取引の情報は紙ベースで処理されていたため、従業員は出社しなければ業務を行えない状況にありました。しかし、コロナ禍の外出制限が記憶に新しいように、企業は今後、パンデミックや自然災害の発生によって出社が困難になるケースに備えるなど、働き方の多様化が求められるでしょう。そのためには、従業員が自宅でも通常と変わらずに業務を行える体制を整えておくことが重要です。

クラウド上の経理システムやオンラインでの文書管理ツールを導入することで、従業員はどこからでもシステムにアクセスして業務を進められます。これにより、従業員がリモートワークやフレキシブルな勤務形態など、多様な働き方を選択できるようになります。

働き方の多様化はワークライフバランスの改善につながり、従業員満足度や従業員エンゲージメントの向上が期待できます。このような変化は企業の魅力を高め、優秀な人材の確保と維持にもつながるでしょう。

経理DXの進め方

経理業務のDXは、以下のフローで進めることができます。

経理業務のDXの進め方

  1. 定型業務の内容やフローを洗い出し課題を見つける
  2. 業務システムやツールを導入する
  3. 従業員の教育を行う

以下では、それぞれの手順について詳しく解説します。

1.定型業務の内容やフローを洗い出し課題を見つける

経理のDXの第一歩は、定期的に行われている経理業務の内容やフロー、それにかかる工数を詳細に洗い出し、整理することから始まります。これにより現在の業務プロセスの全体像を把握し、非効率な部分や煩雑な手続きを明確にします。

次に、業務システムやツールの導入にあたっての懸念点や、解消したい課題を特定します。これらの情報は、システムやツールの導入が必要かどうかや、どのように選定すべきかなどの重要な判断軸となります。

2.業務システムやツールを導入する

1で把握した自社の業務環境や直面している課題を踏まえ、最適な業務システムやツールを慎重に選定し、導入を進めます。システムやツールを選定する際は、機能性はもちろん、セキュリティ面の安全性、法改正への対応能力、サポート体制の充実度など、多角的な視点での検討が必要です。

また、システムやツールの導入と同時に進めておきたいのが、全社的なペーパーレス化です。せっかくシステムやツールを導入しても、依然として紙ベースのやり取りが中心のままでは、あまり意味がありません。経理のDXにはバックオフィスだけでなく、全社一丸となって取り組む必要があります。

まずは、さまざまな書類をデータでのやり取りに移行できるようにルールを整備し、全従業員<に周知しましょう。ルールを徹底させるには従業員の意識改革を促し、経理業務をデジタル化するメリットを理解してもらうことが重要です。たとえば、慣習的に行っている紙やハンコをベースとした社内承認作業をデジタル化するメリットを関係者に説明し、合意を得るなど、地道な取り組みが求められます。

3.従業員の教育を行う

新たに導入されたシステムやツールを十分に活用するためには、従業員への教育が不可欠です。導入後、従業員がこれらの新しいツールを適切に使いこなせるよう、操作マニュアルやQ&A集を社内展開し、具体的な操作方法のレクチャーを徹底します。

この教育プロセスには、操作方法の説明だけでなく、新システムやツールを用いることで業務効率化や生産性がどのように向上するのかを啓蒙することも含まれます。

従業員が新しいツールの利点を理解し、積極的に活用する意欲を持つことで、経理業務のDX化を成功に導けるでしょう。

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  • 決算業務は正しく、確実に対応できる

それぞれの特徴についてご紹介していきます。

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  • 貸借対照表・損益計算書
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  • 試算表
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PDFやCSVファイルへの出力も可能なため、士業の方への共有や、社内での資料作成にも活用できます。また、領収書1枚・仕訳1件単位でコメント機能を使ってやりとりできるため、士業の方ともスムーズにコミュニケーションがとれます。

まとめ

経理のDX(デジタルトランスフォーメーション)は、企業にとって重要な取り組みです。DXは業務の自動化と効率化を実現し、コスト削減やガバナンスの強化、働き方の多様化を促進することで、企業の競争力を高めます。

経理のDXの成功は、適切なツールの選定と導入、従業員の理解と協力にかかっているといえます。これらのステップを丁寧に実行することで、経理業務の効率化はもちろん、企業全体の生産性向上への寄与が期待できます。加えて、より良い経営判断を下すための迅速かつ正確な財務情報の提供も可能になるでしょう。

経理のDXは、時代に合わせた企業運営に必須の要素として、今後もさらにその重要性が高まることでしょう。

よくある質問

経理のDXとは?

経理のDX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用して経理業務を自動化・効率化することです。具体的には、ペーパーレス化の推進による経理事務の効率化などが挙げられます。ペーパーレス化により、印刷コストの削減といった副次的な効果も期待できます。

詳しくは記事内「経理業務のDXとは」をご覧ください。

経理業務のDXを進めるメリットは?

経理業務のDXを進めることで、業務の自動化と効率化を通じて人件費の削減、エラーの減少、迅速な決算処理を実現します。また、ガバナンスの強化と働き方の多様化を促進し、企業の成長と競争力の向上に寄与します。

詳しくは記事内の「経理のDXを図るメリット」をご覧ください。

監修 米澤 潤平

26歳のときに中小企業診断士、29歳のときに社会保険労務士、39歳のときに税理士資格を取得。コンサルティング会社に勤務する傍らで、税理士事務所を開業し、主に法人・個人からの税務相談や経営相談、決算・申告などのセミナー講師、会計や税務に関する執筆活動を中心に活動している。

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