中小企業の資金繰り・資金調達に関する調査|資金調達の目途が立っていない事業者は約6割

中小企業の資金繰り・資金調達に関する調査

スモールビジネスを行う事業者と金融・財務サービスをつなぐfreee finance lab株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役:小村 充広)では、中小企業を対象に「資金繰りと資金調達に関するアンケート調査」を実施しました。

過去1年間に資金繰りが悪かった理由や良かった理由をはじめ、資金調達した金額と使途、今後の資金調達の目途などから中小企業の現状を探りました。また、資金繰り・資金調達について税理士・公認会計士からアドバイスを受けたいことを調査。中小企業が自社で解消できずにいる悩みが浮き彫りになりました。

【アンケート調査サマリ】
  • 事業者の構成:従業員数1~5人(193社)、6~20人(22社)、21~50人(4社)、51~100人(2社)
  • 過去1年間で資金繰り状況が悪かった理由の1位は「売上の減少」(39.6%)、良かった理由の1位は「売上拡大に成功」(28.0%)
  • 過去1年間で資金調達した事業者は35.3%。調達金額は「1000万円以上~3000万円未満」(28.2%)が最多
  • 過去1年間に調達した資金の使途は「手元資金の確保」(33件)が最多
  • 今後1年間に「資金調達が必要」と答えた事業者が42.1%。そのうち、「資金調達の目途が立っていない」と回答した事業者は59.1%
  • 資金繰りについて税理士・公認会計士からアドバイスを受けたいことの1位は「資金繰り計画の作り方」(64件)
  • 資金調達について税理士・公認会計士からアドバイスを受けたいことの1位は「自社に適した資金調達先の選び方」(94件)

中小企業の資金繰りに大きく影響する要素は「売上の拡大・減少」

過去1年間の資金繰り状況

<回答数:221>

過去1年間の資金繰り状況について質問したところ、「良い・非常に良い」と答えたのは全体の34.4%、「悪い・非常に悪い」という回答は約19.4%となりました。

資金繰り状況が悪かった理由の上位は「売上減少」と「経費の増加」

資金繰り状況が「悪い・非常に悪い」理由

<回答数:53>

資金繰り状況が「悪い・非常に悪い」と回答した事業者に対し、その理由(影響の大きいものを3つまで)を回答してもらったところ、1位が「売上が減少した」(40%)、次に「経費が増加した」(13.2%)、「資金調達ができなかった」(13.2%)、「資金繰り計画を立てていなかった」(11.3%)と続きます。

「投資対効果が悪かった」(5.7%)や人件費・仕入・原材料費の増加といったコスト増、売掛金回収の遅延を理由に挙げる事業者もありました。

資金繰り状況が良かった理由の上位は「売上拡大」と「資金繰り計画」

資金繰り状況が「良い・非常に良い」理由

<回答数:125>

資金繰り状況が「良い・非常に良い」と回答した事業者が挙げている理由(影響の大きいものを3つまで)では、1位が「売上拡大に成功した」(28.0%)、2位は「資金繰り計画をしっかり立てていた」(17.6%)、3位「借入できた」(16.0%)という結果でした。

また、「投資対効果が良かった」(8.0%)や経費・人件費・仕入・原材料費の削減が理由に挙げられるなど、資金繰り状況が悪かった事業者とは逆の成果が見られました。

このほか、「売掛金の回収スピードが上がった」「低金利の借入に乗り換えた」「返済額の減額・据え置きのリスケジュールができた」など、資金繰り改善に向けた取り組みがなされていることがうかがえます。

資金調達した金額と使途は従業員数によって違いが見られる

過去1年間で資金調達しましたか?

<回答数:221>

過去1年間の資金調達の有無に対する問いでは、「資金調達した」という回答が35.3%でした。

資金調達した金額は従業員規模によって異なる

過去1年間に資金調達した金額(全体)

<回答数:78>

過去1年間に資金調達した事業者に合計金額を聞いたところ、最多は「1000万円~3000万円未満」(28.2%)でした。さらに内訳を見ると、従業員規模によって調達金額に違いが見られました。

過去1年間に資金調達した金額(従業員数別)

従業員数1~5人の事業者では500万円未満が全体の半数に近い45.0%であるのに対し、6~20人の事業者は500万円未満が20.0%。どちらも最多は1000万円~3000万円未満ですが、従業員規模によって調達している金額に差があることがわかります。

資金使途の上位は「手元資金の確保」と「賃金・経費の支払い」

調達した資金の使途

過去1年間に調達した資金の使途(該当するものすべて)に対する回答を見ると、全体でもっとも多かったのは「手元資金の確保」(33件)、次に「賃金・経費の支払い」(29件)、「仕入・外注費の支払い」(28件)となっています。

従業員数別に見ると、1~5人の事業者では「賃金・経費の支払い」(24件)が最多で、6~20人の事業者は「手元資金の確保」(10件)が1位です。

freee finance lab株式会社が行った「スモールビジネスの資金繰りに関する調査」によると、資金調達手段の1位は「日本政策金融公庫」(59.4%)、2位に「銀行融資(ビジネスローン含む)」(34.4%)、3位が「助成金」(33.3%)。次に「銀行カードローン」「ファクタリング」が続きます。

詳細は以下をご覧ください。

freee finance lab株式会社|スモールビジネスの資金繰りに関する調査
https://corp.freee.co.jp/news/finance-survey-10034.html

今後1年間に「資金調達が必要」と答えた事業者が4割超え

今後1年間に資金調達が必要だとお考えですか?

<回答数:221>

今後1年間に資金調達が必要になるかという問いには、「必要」と回答した事業者が4割を超えました。

資金調達の目途が立っていない事業者が約6割

資金調達の目処は立ってますか?

<回答数:93>

資金調達が必要と回答した事業者に資金調達の目途について質問したところ、「目途が立っていない」という答えが約6割という結果でした。

資金調達の目途が立たない理由

資金調達の目処が立たない理由

目途が立たない理由(影響が大きいものを3つまで)についての回答では、「業績が短い」(43.3%)がもっとも多く、次に「決算書・試算表の内容が悪い」(14.4%)、「銀行からの評価が低い」(13.3%)となっています。

中小企業経営者が抱える「資金繰りと資金調達」の悩み

資金繰りと資金調達について、税理士・公認会計士からアドバイスを受けたいこと(3つまで)を質問したところ、中小企業経営者が抱える悩みが浮き彫りになりました。

資金繰りでアドバイスを受けたいこと1位は「資金繰り計画の作り方」

「資金繰り」について税理士・公認会計士からアドバイスを受けたいこと

資金繰りについてアドバイスを受けたいことの最多回答は、「資金繰り計画の作り方」(64件)でした。次に「資金繰りが悪化したときの対処方法」(38件)、「資金繰りの管理方法」が続きます。

自由記述では、以下のような回答も見られました。

  • 「どのくらいの期間で返済するのが理想か教えてほしい」
  • 「何にコスト比重をかけるべきか、上手な損益計画の作り方を知りたい」
  • 「人件費の割合についての考え方を教えてほしい」
  • 「手元資金はどのくらい持っておくべきか」
  • 「資金繰りを改善するための計画の立て方を助言してほしい」
  • 「取引先の経営悪化などで売上減少するときに、資金繰りを悪化させないためのプロセスを教えてほしい」
  • 「新規事業の展開では収支にタイムラグが生じるが、資金繰りを乗り切る方法を知りたい」

資金調達でアドバイスを受けたいこと1位は「自社に適した資金調達先の選び方」

「資金調達」について税理士・公認会計士からアドバイスを受けたいこと

資金調達について税理士・公認会計士からアドバイスを受けたいことでは、1位に「自社に適した資金調達先の選び方」(94件)、続いて「自社に適した借り方(金額・金利・返済方法)」(69件)、「融資が受けやすくなる方法」(67件)という結果でした。

自由記述では、以下のような回答も見られました。

  • 「赤字でも借りられる企業と借りられない企業があるが、どこに違いがあるのか」
  • 「銀行に提出する事業計画書でもっとも重視される箇所はどこか」
  • 「新規事業で資金調達しやすくなる方法を知りたい」
  • 「事業フェーズによる資金調達すべきベストタイミングを知りたい」
  • 「金融機関とは日頃からどのような付き合いをすると資金調達しやすくなるのか」
  • 「資金調達が必要になったときに困らないようにするには、どんな準備をしておくべきか」
  • 「資金調達先の候補がいくつかあるとき、何を基準に比較すればよいのか」

中小企業の悩みに答える「税理士・公認会計士アンケート」を実施

今回の調査では、資金繰り状況には売上の拡大・減少が影響するだけでなく、資金繰り計画や改善への取り組みの有無が結果に影響を及ぼすことがわかりました。また、資金調達の必要がある事業者のうち、調達の目途が立っていない割合は約6割におよびます。

そこで、freee finance labでは今回の調査結果を受けて、税理士・公認会計士へのアンケート調査を実施しました。「資金繰りが悪化する企業の特徴」をはじめ、「資金繰り悪化が予想されるときの対策」や「赤字でも融資を受けやすい企業の特徴」など、経営に役立つアドバイスを多数いただきました。

こちらもぜひご覧ください。

税理士・公認会計士によるQ&A|赤字でも銀行融資を受けるには?資金調達先の選び方は?

税理士・公認会計士によるQ&A|赤字でも銀行融資を受けるには?資金調達先の選び方は?

スモールビジネスの資金繰り・資金調達をサポートするための金融サービスを提供しているfreee finance lab株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役:小村 充広)では、中小企業を対象とした「資金繰り・資金調達に関する調査」を実施しました。同時に、事業者から寄せられた質問をもとに、税理士・公認会計士へのアンケート調査を行いました。

記事はこちら
調査概要
実施期間:2020年6月17日~6月23日
調査方法:メールでアンケートフォームを送信
対象:クラウド会計ソフトfreee会計利用事業者221社

資金調達手段の利用可能性を診断できる「freee資金調達」

資金調達手段の利用可能性を診断できる「freee資金調達」

即日利用可能な複数の資金調達手段を、金額や利率・手数料、調達までの所要期間など調達可能性とともに見比べ、オンラインで申込できるサービスです。登録時間はわずか10分、一度情報を入力すれば自動診断を継続的に確認できます。