北海道・美深で羊毛から作られる洋服を世界へ。freee対応の会計事務所と連携、海外進出の道筋を作ってくれた

粗清草堂 代表 逸見 吏佳(りか)さん

課題
税理士さん・会計士さんとの業務効率化

廃棄羊毛を活用したいという想いから始まった、粗清草堂(そせいそうどう)。北海道・美深に工房兼ギャラリーを構えつつ、各地の展示会やセレクトショップで製品を販売し、海外進出も行っています。


3人で運営する小さなブランドでありながら、今や世界でも評価されている。そんな展開を支えているのが、freeeの活用と、freee対応の会計事務所の協力だといいます。粗清草堂の製品に込められた想いと、freee活用でどのような変化があったのか、代表の逸見 吏佳(りか)さんに伺いました。


ずっとあたたかく、廃棄ロスは少ない。羊毛から始まる自然のなかでの暮らし

粗清草堂


――粗清草堂さんではどのような事業を行っていますか?

逸見さん(以下、逸見) : 廃棄羊毛を洗って活用したいということから始まり、羊毛をフェルト化して洋服などの製品を作っています。制作した製品は、展示会やセレクトショップへの卸、ギャラリーやネット通販などで販売を行っています。


粗清草堂(そせいそうどう)とは、「素朴な暮らしを通して感謝を学ぶ。自然からお借りした小さな我が家」という意味です。もともとはこの場所の大家さんが隣の母屋につけていた名前だったのですが、ここで工房兼ギャラリーを開くときにぴったりな名前だったので、そのまま頂きました。


粗清草堂


――羊毛の良さとはどのようなところでしょうか?

逸見: 寒い部屋に置いておいてもずっと暖かいのが、他の繊維との違いです。また、羊毛は99%以上ロスがない天然素材です。しかも捨てるときは土に埋めれば自然分解します。製品にならなかった羊毛は、断熱材にもなります。この工房兼ギャラリーの床や壁、屋根にも、断熱材として羊毛を使っているんですよ。


――事業を始めたきっかけをお教えください。

逸見: 最初に羊毛と出会ったのは、娘の幼稚園です。その園では、羊を飼っており、毛刈りして、洗って、それを卒業制作の材料にするというの取り組みがあったのですが、それを楽しんじゃって(笑)。そこから羊毛を好きになっていったように思います。


その時は江別で専業主婦をしていたのですが、そこで羊毛専門店を立ち上げようとしているオーナー夫妻と出会いました。そして、店の立ち上げから関わり、二階で暮らしながら一階で店を運営する形で、雇われ店長として働くことになりました。第二の人生の一歩目ですね。


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店は百坪くらいの広さの一軒家で中庭があったのですが、そこに羊がいたら良いなあと思っていたところ、美深の農場で子羊がたくさん生まれたというニュースを見かけ、見に行ってみようと2003年にはじめて美深を訪れたんです。


そのときに出会ったのが、美深でペンションを営む柳生さんです。当時、柳生さんは江別に持っていた放牧地で夏に羊を放牧していたのですが、秋になると羊が減っちゃうことがあるから、定期的に羊の数をチェックして教えてほしいと頼まれました(笑)。


それから柳生さんとのやり取りが続くうちに、柳生さんがPTA会長を務めていた学校で山村留学を行っていて、いろんなところから子供が集まって、自然の中で子供達を育てているという話に興味が湧き、美深への移住を決め、この場所と出会うことになります。


苦手意識のあった経理業務。伴走してくれる人を求めてfreee対応の会計事務所へ

粗清草堂


――粗清草堂さんはどのような体制で運営をされていますか?

逸見: 私と夫、スタッフの3名体制で、全員が制作に関わっています。仕事の内容は季節ごとに変わります。製品の販売期間は主に冬です。冬は各地の展示会に立ち合い、夏は制作を中心にしながら、日曜日と月曜日にギャラリーをオープンしています。


この近くに放牧場があり、毛刈りをして羊毛を洗い、製品を制作するという一連の流れをひとつの場所でできる体制を取りたいという想いが開業当初からありました。


粗清草堂


そういった暮らしのなかで、生き物も全部含めて、携わる皆がハッピーだったら素敵なものが生まれると考えています。そのためには環境整備が必要です。たとえば、羊小屋や薪小屋を作ったり、壊れたものを直したり、畑の世話をしたりミツバチを育てたり。そういった暮らしの仕事を、夫が中心となって夏に行っています。


もう1名のスタッフは、フェルト化の主な作業を担当しています。私は制作と合わせて、その他の仕事を引き受けています。経理も私の担当です。


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――freeeを利用しはじめたきっかけは何でしたか?

逸見: もともと経理には苦手意識がありました。以前携わった仕事で、私が経理を担当していたことがあるのですが、向いていないなと。


粗清草堂を事業化したときは、もっと前向きに経理を把握したいという気持ちがあり、freeeのことを知って使いはじめました。ただ、確定申告に不安があり、確定申告はfreeeの認定アドバイザーさんにお願いするようになりました。


一方で日々の記帳は私が行っていたのですが、伴走してくれる人が必要だと感じるようになりました。さまざまな業務があるなかで経理がどうしても後回しになり、たまった業務を一人で絶対やらないといけないというプレッシャーがすごかったんです。


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記帳ができていないと、確定申告も進みません。それで助けを求めたときに引き受けてくれたのが、freee認定アドバイザーの「会社の番頭さん」という札幌の会計事務所です。


当時、freeeに入力済みのデータと紙の書類とが中途半端になっていたのですが、その状態からまるごと引き受けてもらえて、辻褄が合わない部分も的確に解明されて全体像が明らかになり、質問に答えるだけで進んでいく感じでびっくりしました。


やることはfreeeで請求書を発行するだけ。freee認定アドバイザーと協力して、経理をスムーズに

粗清草堂


粗清草堂さんのお話に登場した、記帳が追いつかず困っていたときに引き受けてくれたというfreee認定アドバイザーの会計事務所、合同会社会社の番頭さん。実際にどのように経理業務を進めていったのか、代表者の田島新平さんにもお話しを伺いました。


――粗清草堂さんに説明したときの様子はどうでしたか?

田島さん(以下、田島): とにかく急いでいらっしゃる様子で、ご自身でも入力はしているけれど追いついていないとのことでした。


「ほんとに全部やってもらえるんですか?」「中途半端な入力でぐちゃぐちゃだけど大丈夫ですか?」といった感じでした。実際、取引が入力されているものと未入力のものがあり、口座連携もできているものとできていないものがあるという状態でした。


――そこからどのように対応されましたか?

逸見: 弊社では記帳代行も必ずセットで行っているため、お客様側で必要なことはほとんどありません。領収書の整理・入力もこちらで行うので、領収書は専用のファイルに入れるだけで、日付もバラバラで大丈夫です。お客様にお願いしているのは、領収書などの必要な書類の用意と、請求書の作成・発行のみです。


まずは領収書などの必要な書類を送っていただき、そこから1ヶ月以内にこちらでの処理が完了しました。預金の経理処理については、インターネットバンキングのご契約がある口座については、freeeと口座連携させていただき、契約されていない口座についても追加料金なく、コピーをいただき対応しております。


粗清草堂さんの場合、特に海外との取引や出張があるので、その際の経費を本当に事業で使っているかの証明や、家事按分の基準などは注意が必要な点でした。


――現在はどのようなやり取りをされていますか?

逸見: 月に1回オンラインMTGと、日頃のやり取りにはチャットツールを使い、いつでもご質問に対応できるようにしています。粗清草堂さんにお願いしているのは、領収書などの必要な資料を送っていただくことと、freeeで請求書を作成いただくことです。freee請求書に入力があればこちらで売上などの状況はつねに把握できます。これには驚いておられました。


freeeがなかったら海外進出できなかったかもしれない。小さなブランドに道筋を作ってくれる

粗清草堂


――粗清草堂さんでは請求書発行はどのように行われていますか?

逸見: 展示会やセレクトショップのお店のオーナーや、ギャラリーやネット通販以外での個人の方からのオーダーなどにfreeeで請求書を発行しています。


freee導入前は、複写式の請求書を手書きで作成していましたが、freeeで請求書を作成してメールで送れるようになったことで、紙の請求書を保管しなくて良くなったので楽になりました。また、製品の型番を管理するのに、手書きでは作成枚数が多いと大変だったのですが、freeeではサジェスト機能で簡単に入力できるようになりました。


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――粗清草堂さんにとってfreeeはどのような存在ですか?

逸見: 今、補助金を活用して海外進出も進めているのですが、これはfreeeがなかったらできなかったかもしれません。


2022年春にバンクーバーのファッションショーでランウェイに出たことをきっかけに、世界五大ファッションショーのひとつであるNYのランウェイに出ることができ、今後はフランスでの展示会も計画しています。


そういった展開には補助金が欠かせません。補助金には決算書類が必要で、そのためには確定申告が必要です。freeeのおかげで、海外進出に必要な書類作成や手続きをこなすことができ、小さなブランドでも世界に出ていける道筋を作ってくれていると思います。


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