freeeをハブに数々のビジネスの会計システムをまとめあげ、イノベーティブな世界を創造するーーパーソルイノベーションの挑戦

パーソルイノベーション株式会社 ビジネス推進部 鹿目 隆宏 氏・高橋 海斗 氏

課題
エクセル・紙管理からの脱却経理の一元化でグループ企業を管理

世界中に600を超える拠点を持ち、5万人以上の従業員数を誇るパーソルグループ。その中において、グループの発展・変革に資する次世代事業を、スタートアップに近いスピード感を持って開発し、グループビジョンである「はたらいて、笑おう。」の実現を目指すのがパーソルイノベーション株式会社です。


4つの子会社を擁し、個性や多様性が尊重される社会の中で、雇用形態や場所・時間に捉われることなく、すべての働く人たちが最大限に価値を発揮できる環境や仕組みを提供する。


そんなパーソルイノベーションのビジネス推進部で、総務・会計業務全般を取り仕切る鹿目隆宏氏と高橋海斗氏に、freee会計導入の経緯からニューノーマル時代に求められる会計システムの未来図まで、幅広くお話を伺いました。


世の中の最先端をサービス化し、人の可能性を拡げる

――御社の手掛けているサービスの内容について、具体的にお聞かせください。

ビジネス推進部 鹿目隆宏氏(以下、鹿目):弊社は「世の中の最先端をサービス化し、人の可能性を拡げる」ことをドメインとして、次々と新規事業を生み出していく会社です。2021年4月現在、4の子会社とパーソルイノベーション内でも複数のサービスを展開しており、人材系サービスだけでなく、モバイルPOSレジ「POS+(ポスタス)」、宿泊業向けのDXソリューション「Dot Homes」、オープンイノベーションプラットフォーム「AUBA」、DX組織の構築を支援する「TECH PLAY」、など、多岐に渡ります。


――多岐に渡るサービスを通して、パーソルイノベーション全体としては、世の中のどのような課題を解決することを目標とされているのでしょうか。

ビジネス推進部 鹿目隆宏氏

鹿目:働き方の変革が激しい現在、既存のビジネスやプラットフォームだけでは生き残れない時代が到来しました。そこで、私たちが企業と個人、あるいは企業と企業をつなぐための架け橋になったり、さらには、新しいはたらき方をデザインしていくような役割を担いたいと考えています。


たとえば、最近では副業が注目されていますが、企業における外部人材の活用はまだまだこれからです。そこで、隠れた人材が自らをアピールできるような副業市場の活性化を狙ったマッチングビジネスを展開する。


あるいは、アルバイト・パートを多く雇用する業種においては、シフト管理に時間がかかることで本来業務や育成に手が回らないという課題を抱える企業が少なくありません。その課題に対し、シフト管理のアプリケーションを開発し販売する。


テクノロジーに限らず、パーソルグループの持つノウハウや知恵、文化や思想をフルに生かして、世の中に届けていくことを目的に事業を行なっています。


――その中で、お二人が所属しているビジネス推進部の役割は何でしょうか?

鹿目:ビジネス推進部は、総務・会計業務全般を進めていく部門で、もろもろの課題改善をミッションとしています。弊社は2018年12月に法人化され、2019年4月から事業を開始しましたが、まったく未整備だった1期目はオフィスの土台づくりをはじめ、企業としての環境を整備していくところから始まりましたね。


現在ようやく3期目を迎え、いかに実務を効率化していくか、生産性を高めるためにどのようにイノベートすればいいかを企画立案し、事業部に対して展開し始めた段階です。


ビジネス推進部 高橋海斗氏

ビジネス推進部 高橋 海斗 氏(以下、高橋):鹿目はそのようなイノベートの旗振り役であり、私を含めた3人のスタッフが、その下支えをしています。


鹿目:現在、会計管理のオペレーションは内製化していますが、本来の私たちの業務は、成果物の品質チェックを行い、業務ミスが起こらない方法を試行し改善することがメインです。ですから今後は、アウトソーシングのための体制を整えていく必要がある。


たとえば、会計業務だけを切り離して業務委託することができれば、より作業の効率化が図れます。そのようなことが可能なレベルまで業務を組み立てることを、将来的なビジョンとして掲げています。



優れたUI/UXと拡張性、複合的な判断で新設法人にfreee導入を決定

――2019年9月よりfreee会計を導入されていますが、当時お持ちだった課題にはどのようなものがありましたか?

鹿目:freeeを導入したのは、1期目でした。当時はまだ会社全体が混沌としていたため、当然実績管理や財務会計をつなぐ部分もまったく未整備な状態でした。Excelでもろもろの業務を行っていましたが、数字の抜け漏れがかなり多かったんです。


ビジネス推進部でまとめた経理情報は、パーソルホールディングスの経理部に連携します。経理部では、吸い上げた経理情報を会計システムにインポートするだけ。つまり、我々が数字を間違えると、当社の有価証明報告書自体が誤ったものになってしまう。これは非常に問題で、早急にシステムを導入しなければ、という話になりました。



――その結果、さまざまな会計システムのなかで、freee会計を導入した決め手になったポイントは?

鹿目:使い勝手を重視した結果、不必要に大きなサービスは導入しないという判断になりました。できる限り軽く使えるシステムがいいと。そして、拡張性に優れていることも重要だと考えましたね。そして当然、価格面も意識しました。


これらの条件をもとに市場を見渡したとき、自然とfreeeが視野に入ってきました。使い勝手の良さと拡張性の部分。我々のように、いくつものビジネス部門が別々のSaaSを導入しているようなケースでは、いかにAPI連携がスムーズに行えるかが肝だったんです。


操作性においても、作業の入金の消し込みに特化しすぎて、それ以外のフォローがいま一歩なソフトもありました。僕らとしては、受注から最後の集金管理のところまで一元的に波がないようなサービスが欲しかったんです。


そして最後に、UI/UXの面で古臭さを感じさせるソフトは避けたかったですね。操作性や導線、見た目、総合的に判断した結果、freee会計を導入することに決まった、という経緯です。



freeeを導入して以来、会計業務の現在地がひと目でわかるように

――freeeの導入によって、業務効率化は進みましたか?

鹿目:まだ効率化出来る余地はあると考えています。ただ、人件費に関しては、1人月分は削減できている状況ではありますね。少なくとも200〜300万円くらいは、年間コストの削減ができているんじゃないかな、と。API連携をさらに効率的に利用できれば、これからもっと下げていける実感があります。


高橋:個人的には、業務の確認作業がとても簡略化されましたし、確認の証跡が残るところが、freee会計を導入してよかった点です。これまでは、メールやSlackなどで「確認しました」という連絡をいちいち取り合っていたのが、すべてfreeeのソフト内で完結するのがうれしいですよね。一つ一つの事柄に対して、いつでも「現在地がひと目でわかる」ということですから。


鹿目:これまでは、Excel資料を経理部に提出してチェックしてもらって、不明点があると「これはどういうことですか?」といったメールのやりとりが発生していました。それが、いまはfreee内にアンサーがすべて情報として入力されている。その点で、提出後のトランザクションは明らかに減りましたね。



――貴社はグループ会社でもfreeeを活用していらっしゃいます。その観点から、freee会計導入によって、今後どういったメリットが生まれていくと考えられますか?

パーソルイノベーション様

鹿目:当然ですが、業務が統一されることが一番のメリットですね。取り扱うビジネスが異なっていても、会計管理の仕組みが統一されれば工数を分散させずに済むわけで、ガバナンス面でもいい影響が出てくると思います。


現状では、各ビジネスのオペレーション担当者が、各社に点在している状態なんです。ルールが未整備であるがゆえに「その請求書、発行しても本当に問題ないの?」といったジャッジメントの部分まで、我々の目が行き届いていない。それは大きなリスクになってしまいます。


そうした課題を解決するためにも、将来的にはオペレーションを共通の機能=freee会計に集約し、工数とともに不明瞭な取引を削減していきたいと考えています。


イノベーションを活用し、グループ全体の“当たり前”を変えていきたい

――コロナ禍を機にリモートワークが増え、チームメンバーが離れた場所で作業をする機会も多いかと思います。その点でfreeeが生きていることはありますか?

高橋:Excelで管理していた頃は、不明瞭な点があればその都度、担当者にヒアリングを行なっていました。社内にいればパッと声をかけられますが、リモートワークではコミュニケーション一つにも工数がかかります。


その点、freeeを使えばコメントが残せるため、システム上だけでやりとりが完結できるんです。リモートワークに移行しても業務に支障が出なかったのは、freeeを導入したおかげだと思っています。



――ニューノーマルの時代に、freeeをはじめとするサービス全般に期待することがあればお聞かせください。

鹿目:新しい働き方を前に危惧しているのは、情報セキュリティです。今後リモートワークなどにより働き方が多様化していくと、おそらく情報事故が頻発するようになる。特に当社のように子会社を多く束ねる企業にとっては、セキュリティ対策が目下の課題となってくるはずです。


それを踏まえてfreeeを含めたシステム全般に期待することは「いかにセキュリティ対策を万全なものにし、インシデントを最低限に抑えられるか」。今後はUI/UXや使い勝手のよさという側面だけではなく、セキュリティ部分を強化していただくことで、より安心して使い続けることができるのではないかと感じています。



――最後に、ビジネス推進部としての今後の展望を教えてください。

パーソルイノベーション様

担当営業のfreee 松井(画像右)と

高橋:何事においても、スピード感を持って進めていきたいですね。私はもともとスタートアップ出身ということもあり、業務を行う上で、大企業特有の工程の多さにもどかしさを感じることがあります。もちろんそれは仕事の丁寧さにもつながりますし、重要な側面でもあります。しかし、イノベーションを目的とする当社としては、削減できる工数はぎゅっと絞って、スピード重視の仕事をしていきたいですね。


そしてそのやり方を、子会社にも伝播させていきたい。3期目にして、各社ごとにばらつきのあった文化やルールがようやく統一化され始めました。今後は会計だけではなく、総務領域やサーバー構築系も含め、すべてを一つにまとめ、パーソルイノベーションが先頭に立ってよりイノベーティブな仕組みづくりを伝えていければと考えています。


鹿目:大きな目標としては、企業名に「イノベーション」を掲げている限り、前例のないミドル・バック業務のあり方を試行錯誤しながら、これまでになかった価値をどんどん見出していきたい。


それを子会社に展開していくことはもちろん、パーソルグループ全体にまで波及させていく責任もまた感じています。パーソルホールディングスには多くの会社が連なっていますが、いまだ旧態依然な手法を用いている会社が多いのが現実です。


しかし中には、「これまでのやり方を続けていてもいいのか」「もしかすると現状が“当たり前”ではないのかもしれない」と感じているメンバーもいる。


ニューノーマル時代に移行しつつあるいまこそ、これまでの手法を見直し、仕組みを再構築するまたとないチャンスです。そのチャンスを生かしてグループ全体で業務が圧縮できれば、新しいことに挑戦する余地も生まれます。そんな世界を目指し邁進していきたいですね。


(取材:佐藤由衣 構成・編集:波多野友子/ノオト)

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