財務経理部で統括を務めるのは、25年もの間、経理の仕事に携わってきたという山本直一氏。経理のプロとも言える山本氏が口にしたのは、「経理という仕事は最終 的に必要なくなるのではないか」という意外な言葉でした。その考えに至った背景はどのようなものなのでしょうか。freee導入によって見えてきた経理の未来について、話を伺いました。
――設立の経緯や御社サービスへの想いを教えてください
人材サービスとコンサルティングのノウハウを合わせた会社
パソナテキーラは、人材サービス業を行っているパソナグループと、SalesforceのコンサルティングパートナーだったTquila(テキーラ)というヨーロッパ系企業との合弁会社として誕生しました。
世界中の企業が導入している顧客管理・営業支援システム「Salesforce」は、もちろん多くの日本企業でも取り入れられています。しかし、Salesforceは運用するのがなかなか難しく、導入したがうまく使いこなせていないという企業も多かった。そこでパソナテキーラで提供しているのが、Salesforceのコンサルティング。導入から実際に運用担当する管理者の派遣まで。すべてをご提供できる体制をご用意しています。クライアントそれぞれの課題に最適な導入方法を提案できるのはもちろん、社内でシステムが定着するよう運用サポートも行えることから、Salesforceの最適な活用を実現することが可能です。
ほかにも、新任担当者の研修を行うサービスや、連携システムの開発サポートなど、Salesforce活用に関わるさまざまなサービスを提供しています。現在、行政機関や大手企業をはじめ、多くのお客様にご利用・ご活用していただいています。
テクノロジーの力で「Create Happiness」を実現していく
パソナテキーラが掲げているビジョンは「Create Happiness」。テクノロジーの力を活用しお客様のビジネスの効率化を実現することで、新たな価値を創造、誰もが快適に働ける社会づくりに貢献していきます。
創業5年を迎えたパソナテキーラでは、これまで提供してきたSalesforceに関するコンサルティング事業や人材派遣サービス、クラウドシステム開発サポートに加え、「Create Happiness」のマインドに基づいた独自サービスの開発を目指し始めています。
長年、人材派遣業界においてリーディングカンパニーであり続けるパソナグループ。そのマインドを受け継ぐパソナテキーラだからこそ、これからも「人を活かす」サ ービスを提供し続けたいと思っています。
――freee導入のきっかけとご利用状況を教えて下さい
「90%の確度で良いので試算表を出してほしい」
経営判断の迅速化ねらい、freee導入を決意
パソナテキーラが手がけているコンサルタント登録型派遣の事業は、月ごとの数字が流動的。試算表を鑑みたうえ、経営戦略を変化させていく必要があります。
ここで問題になってきたのは、弊社の会計処理についてです。
もともと弊社の財務経理業務は、外部の税理士事務所に起票から試算まで委託している状態でした。外部に依頼しているため、月ごとの試算表が出てくるまで3、4週間も経過。経営陣からは、「正確でなくてもいい。90%程度の確度で良いので早く数値を出してほしい」と再三言われている状況でした。
そこで経営判断を迅速に下すため、私たち自身でも、仕方なくエクセルに手入力し月ごとの試算表を作っていたのです。
これははっきり言って二度手間でした。手入力を行っていたので、当然漏れもあったり照合がうまくいかなかったり。実際の数字と大きく乖離してしまうことも多々ありました。
たとえば、自分たちの試算では黒字だったのに、実際に税理士事務所から提出されたのは赤字の報告だったということも起こり得るわけです。これは経営的に大きなリスクになってしまいます。
ヒューマンエラーをなくし、会計処理を内製化。自分たちでいち早く正確な試算が出せるよう、導入を決めたのがクラウド会計ソフト、freeeでした。
社員一人ひとりが数字に触れられることに意義がある
freee導入以前は、試算表作成に2週間はかかっていました。月半ばとなってようやく試算表が出せていたのです。freeeを導入してからは、月が明けて第5営業日までに試算表を提出することができるようになりました。社員の意識改革が進み経費精算や勤務表などの提出がもっと早くなれば、この期間はもっと短縮できるはずです。
これは副次的な効果だったのですが、クラウドサービスならではの特徴として、いつでもどこでも数字の確認ができることがとても助かっています。クラウドサービスを導入することで、「財務経理に関する情報が社内に対してオープンになってしまうのでは」という不安の声も聞かれます。しかし、個人的にはむしろその方が会社にとって望ましい状況なのではないかと考えています。
会計に関する数値を秘匿にせずオープンにしておくこと。自分たちの会社がどんな数字を生み出しているか、一人ひとりが知っておくことは大切だと思うんです。もちろん個人の給与情報など、共有すべきでない情報もあります。しかし、会計数値の全体像を全員が把握しておくことは、ビジネスにとってプラスにはたらくのではないでしょうか。
――今後の展望について教えて下さい
テクノロジーの発展で経理という役職は必要なくなるかもしれない
私はいままで25年間、財務経理の仕事に携わってきました。バックオフィスとして、経理として、理想の働き方だと思っているのは「会社へ行かずに海辺でお酒を飲みながら仕事をすること」です。
というのも、財務経理に関する仕事は本来、会計データさえあれば時間や場所にとらわれずに行えるもの。出社の必要すらないと考えています。銀行へ行かずとも、リモートで入金管理ができます。さらに従業員への確認作業や、経営陣の報告業務も、ネットワークを通して完結できると考えています。freeeの掲げるビジョンはまさにバックオフィスの理想と言えます。さらに今後、テクノロジーがさらなる発展を遂げれば、経理という役職を置く必要すらなくなるかもしれません
事実、パソナテキーラでも財務経理の仕事に携わっているのは私を含めてたったのふたり。近い将来には、私が最終チェックをするだけで実質ひとりで業務を回せるよう、テクノロジーの力を借りながら、バックオフィスの体制を整えていくつもりです。
このように、財務経理に割く人的リソースを削減できれば、これまで帳簿とばかり向き合っていた人がほかの分野で価値を発揮し、事業の中核を担っていくこともありえるのではないでしょうか。そんな社会に一歩でも近付けるよう、freeeをはじめとするクラウドサービスが、より進化していくのはとてもよろこばしいことだと思っています。