開業してまだ日が浅い会計事務所の経営者の中には、思うように顧問先を増やせずに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。現在280件の顧問先を抱える宮﨑雅大税理士事務所様も、顧問先0件からスタートされた事務所の一つです。
代表の宮﨑様に集客方法を伺うと、「いくつも試した結果、最も効果があった集客方法は、士業の集客支援に強い紹介サービスの活用だった」との答えが返ってきました。宮﨑様は紹介サービスをどのように活用して顧問先獲得につなげていったのでしょうか。
顧問先0件からの開業。差別化を図るためにクラウド会計を積極導入
2016年に開業して以来、記帳代行や自計化支援、業務効率改善などのサービスを提供しています。開業当時は今ほどクラウド会計ソフトの利用が進んでいない頃だったので、近隣の同業者との差別化を図るために、最初からfreeeなどのクラウド会計ソフトを導入していました。
以前は会計事務所に勤めていました。会計事務所勤務を経て独立開業する場合、自身が担当する顧問先も引き継ぐケースはよくあるかと思うのですが、私の場合は体調を崩して退職した経緯があったので、何も準備をすることなく開業しました。そのため、開業当初は顧問先0件だったのです。
開業当初は顧問先がいない分、時間は有り余るほどありました。ですからこの時期は、自分の学びや事務所の成長につながりそうなことであれば何でも試していました。
例えば、freeeの操作方法や便利な使い方の習得は、この時期に自分で実際に手を動かしながら進めていきました。そのおかげで、クラウド会計の導入メリットと注意点や、freeeの強み、freeeを効果的に活用するコツを相手に分かりやすく伝えられるようになり、それが事務所の強みにも繋がりました。
自力でできる数々の集客方法を試すも、次第に限界を感じるように
課題である顧問先開拓も進めなければいけません。そこでまず、無料で簡単にホームページを作れるサ ービスを使って、自分の名刺代わりになる事務所ホームページを作成しました。作成から3ヶ月間で2件の問い合わせをいただけたので、無料でも集客できるのだという実感を得られました。
その後、複数の税理士紹介サービスや自分の得意分野をアピールできるシェアリングエコノミーサービスを使い始めました。同業の方からは「紹介サービスを使うのは抵抗がある」という話も耳にしますが、私は考えるより先に行動するタイプの人間なので、「もし成約率が期待するほどでなかったらサービスを解約すればいい」くらいの感覚で試していました。はじめは顧問契約数アップを目的に導入した紹介サービスでしたが、思わぬ成長につながることもありました。その一例が、さまざまな方との面談を通して提案力を高められたことです。勤務していたときには担当する機会が少なかった開業前の方や、法人設立してすぐの方、そしてフリーランスとして活動している方ともお話しできたので、とても良い経験になりました。
ただ、開業から1年を経たずして、自力でできる集客方法に限界を感じるようになりました。きっかけは、ホームページ制作会社からの度重なる営業アプローチです。彼らから「今よりもっときれいなホームページを作りませんか」と提案を受け続けるうちに、自力で作ったホームページが客観的に見て改善要素だらけであることを痛感しました。そこから、自分のことをもっと知ってもらおうと考え、有料でもアピールに繋がるホームページ作成を考えるようになりました。
「成功報酬料なしの案件紹介+問い合わせにつながるホームページ制作」で、集客力アップを目指す
集客力をさらに高めるためにはホームページの改善が必要であることは明白です。しかし、20社近くのホームページ制作会社からアプローチを受けたにもかかわらず、具体的にどう進めればよいのかは決めかねていました。そんな時期に、士業の集客支援サービス「SHARES」の担当者から、士業としてのWEBブランディングを確立し、WEB検索から自分が選ばれるようにするために、ホームページや記事発信をどのように改善すればよいのかについて、提案をいただきました。
SHARESとは
『もっと法律と、士業を、経営者の身近に』というコンセプトで運営されている、中小企業経営者向けの「経営課題を解決するための専門家(士業)相談サービス」です。
見積依頼から相談完了まで、すべてSHARESのシステム内で完結できるWEBサービスです。
税理士や公認会計士などの8分野の士業が登録でき、士業にとっては集客支援サービスという位置づけです。企業からの見積依頼や、SEOに最適化された事務所サイトなどのWeb集客ツール提供など、士業の活動領域を広げるのに役立つ機能を提供されてます。
参照URL:https://www.shares.ai/
第一印象では、過去にアプローチを受けたホームページ制作会社と大差ないと思っていたのですが、話を聞き進めるにつれてその印象は一変しました。
担当者からの話で、SHARESは「士業とユーザー、金融機関をつなげ る仕組みを開発・提供する」という運営会社の方針のもとに生まれたサービスであることを知ったのです。
さらに、ホームページを改善するだけでなく、他に成功報酬料なしで案件を紹介していただけることも知りました。いずれも士業の活動領域を広げる手段として提供しているサービスであると聞き、運営会社の目指す方向とそれを実現するための具体的な方法に一貫性があって素晴らしいと感じました。
ホームページ改善の提案は、依頼者が見て「この人は信頼できそう。相談したい」と感じるデザインや内容にするためにどこを改善すれば良いか、という観点から話していただけて、非常に納得できる内容でした。最終的には、SEO対策の知見も豊富で、検索上位に表示されやすいホームページを制作できる点が決め手となって、SHARESに登録することにしました。
(※2021年現在、SHARESを運営する株式会社ココペリにて、WEBブランディングやWEBマーケティングに関する基本的な考え方が学べるオンラインセミナーや勉強会を受講できるとのことです)
コストパフォーマンスに優れた集客手法をフル活用して、問い合わせ件数アップ
SHARESを利用してから、新規の問い合わせ件数が増加。ホームページ経由と案件紹介サービス経由の両方を合わせて、最盛期には月5件の見積依頼をいただきました。ご紹介いただく案件の中には、金融機関の担当者がクラウド会計に強い税理士を探しているといったものもありました。こういった案件を自力で開拓するのは難しいので、紹介サービスを利用して良かったです。
SHARESを経由した問い合わせか らの成約率は、他の問い合わせと比較しても高いです。依頼者からの相談内容の多くは当社の業務内容に合っていて、ミスマッチはあまり起きていません。クラウド会計に興味を持つ方からの相談もよくいただきます。そうした方々と面談でお話しするときには、自分が実際に使っている画面を見せながら、会計ソフトの特徴から利用メリットと弱点まで、実務で使っている立場から話すようにしています。
ホームページは、以前と比べて検索結果の上位に表示されやすくなりました。検索キーワードの追加や変更も簡単にできるので、どのキーワードがヒットしやすいのかをこまめに確認して、改善を繰り返しています。今も月2件くらいの見積依頼をいただいているので、SEO対策は十分にとれていると言えるでしょう。
顧問先が増えただけでなく、相手に好印象を与える見積提出の際のメール文の書き方を学べた点も、SHARESを利用して良かったことの一つです。これまで私が送っていた依頼者への回答メール文は淡泊だったのですが、それを見たSHARESの担当者から「依頼者の目線に立ったときに、このメールを送った税理士に相談したいと思えるか」という観点に立ったフィードバックを受けてメール文を変えました。そのおかげで、私のことを知らない新規依頼者にも事務所の特徴や見積の詳しい内訳などが伝わり、返信していただきやすくなっていると感じています。
SHARES経由で受注した顧問先との契約の多くは、今も継続しています。案件紹介の際に低価格を売りにしていないので、契約継続の際にサービスを見直して値上げをお願いしても受け入れてくださりやす いです。こうして振り返ると、顧問先を獲得するために数多くの集客方法を試した中でも、SHARESは最もコストパフォーマンスに優れた方法であると思います。
顧問先が増えた今は、今後の成長を見据えて事務所の体制強化を推進
事務所は現在、法人・個人を合わせた顧問先件数280件、スタッフ10名を抱える規模にまで成長しました。異業種出身のスタッフが多いのですが、彼らは私にない観点で組織運営や利益率改善などの提案をしてくれるので非常に助かっています。
今は事務所の体制強化を進めている段階です。開業したときは私一人の事務所だったので、何もかも自分で判断・実行して問題なかったのですが、スタッフが増えるにつれ、私一人ですべての業務を遂行してきたことによる弊害がいくつか出てくるようになりました。ですから、業務の標準化を進めたり、スタッフとの面談機会を増やしたりして、彼らがより働きやすく、かつ新しい取り組みにチャレンジしやすくなる環境を整備したいと考えています。
Company Profile
宮﨑雅大税理士事務所
神奈川県川崎市中原区木月大町10-23リバーサイド武蔵小杉101
044-863-8469
https://www.shares.ai/site/77f8fb05-4ffd-4d4c-819c-0ef415420a35
2016年開業。主なサービス内容はクラウド会計導入サポート、業務効率改善、経営判断補 助。顧問先業務の全体最適を考え、現状業務に合わせて適切なクラウドツール利用を提案している。また、事務所内でもクラウドツールを積極的に利用し、業務効率を考えた事務所経営を推進中。