株式会社Gunosyは、2012年に設立し、2013年より情報キュレーションアプリ「グノシー」を展開。2015年に東京証券取引所マザーズに株式を上場し、2017年12月に東京証券取引所市場第一部に市場変更しました。
そして2021年、さらなる業務効率化のために導入されたのが「freee」でした。上場企業が持つニーズに、freeeは応えられているのでしょうか。また、たくさんのシステムが入り組む大企業において、既存のシステムからの連携や移行はどのように行ってきたのでしょ うか。
freee会計導入のプロジェクトリーダーを務める、コーポレート本部 経営管理部の藤本舞さんに、freee導入の背景や経緯、得られたメリットについて話を伺いました。
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上場企業ならではの変革の難しさに、freeeで対応
ーー貴社の事業内容や抱えていた課題について教えてください。
藤本舞さん(以下、藤本) 当社は「情報を世界中の人に最適に届ける」を企業理念とし、情報キュレーションアプリ「グノシー」をはじめとして、複数のメディア運営とアドテク事業を展開しております。
事業を拡大し、従業員も増えていくなかで、それまで構築していたシステムが合わなくなってきました。具体的には、バックオフィス業務において「会計情報の視認性・速報性」「チーム内の工数削減」「会計エビデンスの検索性・保守性」などの点で課題が出てきたんです。
「会計情報の視認性・速報性」は、会計情報をリアルタイムで集約・展開できず、プロダクトオーナーが機動的にコスト抑制や分析ができていない点。「チーム内の工数削減」は、メンバーの決算時残業が常態化している一方で、既存のシステムでさらなる工数削減が望めないこと。「会計エビデンスの検索性・保守性」は、証憑をワークフローシステムかGoogleドライブに保存していたなかで、検索が容易でなく、保守性にも懸念があった点が挙げられます。これらの課題を解消できるソリューションを求めていたんです。
ーーfreee導入前、経理業務はどのように行っていたのでしょうか?
藤本 会計とワークフローのシステムが分かれていて、その間をつなぎこむカスタマイズが難しい状態でした。会計の担当者とワークフローの担当者は別々にいて、バックオフィス業務にリソースを充てられるエンジニアもおらず、つなぎこみはエクセルなどを用いて手動で加工して行うしかなく、非常に多くの工数がかかっていましたね。
ネットバンキングへの自動連携や、CSVデータの出力もできていなかったので、「経理の実務としてちょっと遅れたことをしているよね」という感覚が、チーム内で共有さ れていたと思います。
一方で、そうした課題を解決しようとして、「一つのシステムを変える」「フローを変える」「請求書の発行のやり方を変える」といったことを試みても、J-SOX(内部統制報告制度)に則らなければならないため、一般の中小企業と比べると、上場企業の変革の難しさがあると感じていました。
また、会計とワークフローのシステムを紐づける際には、紙の証憑を用いていました。freeeとは異なり、従前のシステムは画像ファイルを仕訳に添付することができなかったので、紙の原本をアナログで保管して紐づけていたんです。
月次ごとに伝票ファイルをまとめて、一旦キャビネットに置いて、たまってきたら倉庫に入れて……という作業をひたすらやっていましたね。レビューする作業もものすごく大変で、多くの工数を取ってしまっていました。
「freee一択なのではないか」2年越しで導入が実現
ーーいつどのようなきっかけでfreeeの導入を検討し始めましたか?
藤本 2年前から検討を始めていて、freeeさんを含めて10社ほど資料を請求し、約5社のプレゼンを受けました。当時のfreee会計は、ワークフローについて現在はある機能がまだ入っていない状態だったため、経営会議に上げる前に、すぐに移行することは難しいと判断しました。
ただ、freeeさんのシステムをデモで触ら せていただいて、非常に将来性が高いと感じていました。各種API連携、自社管理システムとの連携等も検討していったときに、個人的にはfreee一択なのではないかと思っていたんです。
それから約2年の間に、社内のニーズの変化もありました。各事業部のプロダクトオーナーが、会計数値をより深掘りして見られるような管理会計の要望が増えてきていたんです。
従前の会計システムでは、システムのなかに社内の各部門のメンバーを入れるわけにはいかなかったのですが、freeeさんに移行するとワークフローに連動するので、全従業員が入れるかたちになります。閲覧権限もいろいろと設定ができ、みなさんに必要な会計数値をリアルタイムでお見せすることが可能な点は魅力でした。
ーー実際の導入はいつどのように始まりましたか?
藤本 実際に導入したのは、2021年6月でした。再度検討を始めたときに、freeeさんも含めた複数社に再度お声がけさせていただきました。私が比較資料を作成し、それを各プロダクトオーナーが集まる経営会議に諮り、最終的にはやはり連携の部分でfreeeさんが優れているということで承認され、意思決定に至りました。
プロジェクトのスタートが2021年4月の後半で、6月1日から本稼働開始と、1.5カ月でスピーディに移行を進めました。当社が5月決算なので、決算期に合わせて移行したかったのです。
8月までの第1四半期決算を締めたばかりですが、四半期決算までの月次、それから四半期も含めて数字についてはずっとモニタリングしていて、問題なく運用ができています。そのことを確認し、旧システムについてはもう正式なクロージングを進めている状態になっています。
監査法人にもfreee導入の知見があり、移行はスムーズに
ーー導入時に行なったことを教えてください。
藤本 一番最初に行ったのは、マスタ関連の設定です。勘定科目や取引先マスタを整えた上で、過去データを移行しました。当社はまだ設立10年目で、過去データもそこまで膨大な量ではなかったので、全てのデータを移行する方法を選択したんです。過去データを移行することで、どういう風に試算表が見えて、勘定科目が見えて、品目タグの使い道があって、といった部分をつかんで、学習していきました。
そのあとにワークフローの設定ですね。もう6月1日分から実際に従業員にはワークフローを入力してもらう必要があったので、社内マニュアルを作成して、従業員データを入れ込みました。
最後にテスト稼働の期間をおよそ2週間設けて、その間に使用感を見てもらい、「何か意見があったらください」と全社オープンで発信し、それが終わって本稼働に入った流れです。テスト稼働期間はとても短かったですが、元々ITリテラシーの高い人材が多い環境ということもあり、大きな混乱もなく稼働を開始することができました。
1カ月ほどで過去データを整理して、2週間テスト稼働し、本稼働に入りました。細かな調整は稼働開始後にできるだけ行っていったのですが、問題なく移行することができ、満足しています。
ーー監査法人との調整も必要だったと思いますが、大変でしたか?
藤本 実は、監査法人との調整は大変ではありませんでした。すでにfreee会計の監査実績があったようで、IT担当の方も「もう知ってるのである程度は大丈夫です」と(笑)。
権限設定の状況や内部統制の変更についてのミーティングは何度かさせていただいたうえで、あとはfreee閲覧用のアカウントをお渡ししてあるので、気になる点は自由に見ていただいています。
最先端のエンジニアに気持ちよく働いてもらえるバックオフィスを
ーーfreeeを導入して良かったのはどんな点ですか?
藤本 やはり業務量が大幅に減りました。経理業務のなかで、たとえばチェック作業では必ずダブルチェックをしていましたので、かなりの工数を割いていたんです。支払い時には、口座情報については一枚一枚の証憑と突き合わせて確認していたのですが、freeeに移行したあとは、システム連携で統制を守った状態である前提で、支払いを簡易的なチェックのみで実行できるのは、大幅な業務削減につながりました。支払い依頼は月に250件ほどありますが、このネットバンキングデータの作成からチェックまでが省略されたのは大きかったです。
経営サイドに関しては、コストが少し増える程度しかデメリットがなく、もともと経理チームにしかなかった会計システムの数字をリアルタイムで見られることがメリットでした。コストの内訳を追って確認できるので、その増減理由を分析したいときなどにわざわざ経理に確認したり、レスポンスを待ったりしなくても、自由に分析ができるようになった点は非常によかったと思います。
個人レベルでは、当社がアプリを運営していて、最先端のエンジニアを採用しているにもかかわらず、事業環境と比較して経理周りのシステム環境が古く、手作業が多いことを課題に感じていました。最先端の環境を期待して入社してくださったのに、「思ったよりもアナログだな」と思われてがっかりされるなど非常に悔しい思いがありました。
バックオフィスの業務が原因で離職してしまうようなことは避けなければなりません。そういった意味でも、freeeに移行したことで日常の業務がスムーズになったのは良かった点です。
ーーfreee導入を検討している企業に対して、伝えたいことはありますか?
藤本 導入する際、取引などの概念にfreeeの独自性があるので、特に経理実務を長年行っているメンバーほど最初はとっつきづらい部分があると思います。しかし、従来のやり方に固執するのではなくて、できるだけシステムのことを理解し、システムに沿うように進めていただくのが運用を成功させるポイントではないでしょうか。システムに合わせて対応することで得られるメリットはとっても大きかったですね。
ーー今後の展望についてお聞かせください。
藤本 まだ導入したばかりで、API連携などの機能を十分に生かしきれていない ので、できればfreeeのAPI周りをどんどん書いてくれる担当のエンジニアが欲しいんですが(笑)。
なかなか専門のリソース割けておらず、私も学習する時間がまだ十分には取れていないので、生産性をより高める余地があると感じています。今後は積極的に、リソースを確保したり学習する時間を作ったりすることで、より生産性の高い利用方法を模索していきたいと考えています。
(取材・執筆:遠藤光太 編集:杉山大祐/ノオト)
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