380人分の人事労務を0.7人月で回し、社員とのコミュニケーションに集中する

freee株式会社 メンバーサクセスチーム 労務担当 橋本 菜穂

課題
給与計算から振込までラクにミスなく

人事にはさまざまな役割があります。採用に組織開発。なかでも重要なのが労務管理です。新入社員の受け入れや研修、給与に関する仕事まで、急成長する会社の屋台骨を支える重要な仕事と言えます。

freee株式会社で労務を担当する橋本菜穂は2016年に入社。しかし、入社当時は人事労務ほぼ未経験の状態でした。現在は「freee人事労務」を使いこなし、社員約380名分の定型業務をほぼ一人、0.7人月で回しています。業務時間の残り3割の時間をどのように使うのか。人事労務にとって理想の働き方とは何か。橋本の労務に対する思いを掘り下げます。

――労務としてどんな仕事をしているのか教えてください

毎月50人増。急速拡大中の組織を労務の立ち場で支える


freee株式会社 メンバーサクセスチーム 労務担当 橋本 菜穂

橋本 菜穂
freee株式会社 メンバーサクセスチーム 労務担当
石鹸・入浴用品の小売店舗で副店長をつとめ、人材育成や販売、売り上げ戦略を担当したあと、IT企業へ転職。労務や社長秘書などを兼務する。freee株式会社には2016年1月に入社。急成長するfreeeを影で支える

橋本 freee株式会社には労務が3名所属しています。私は現在、給与関係の定型業務と中途入社の受け入れをメインで担当し、単発業務として健康診断、ストレスチェック、インフルエンザ予防注射、年末調整を担当しています。


弊社はいま、急速拡大している最中。毎月50人弱もの方が入社しています。そのため、内定者とのスケジュール調整、受け入れ研修の内容アップデート、保険証の準備と対応だけでもかなりの工数が必要です。 組織が大きくなると、総務関係の問い合わせ先がわからないケースも多くなり、中途入社の方から問い合わせを受けることも多いです。入社時にはじめて知った社内の人、ということで、さまざまな新入社員からご相談いただける立ち場となっています。


人事労務の仕事は社員の生活やライフイベントに深く関わる大事な仕事です。たとえば、「結婚したから名字を変えたい」「旧姓で働きたい」「プライベートで育児や介護に関するイベントが発生した場合どうしたら良いのか」といった女性社員からの問い合わせが多いです。

男性社員の相談にももちろん応えています。弊社では2017年、3名の男性メンバーが育児休暇を取得しました。「何日休めるのか」「子どもの保険証はいつ発行できるのか」というプライベートの質問から、「現場へのフォローをどうしたらいいのか」という仕事上の相談までさまざまです。


私が心がけていることはコミュニケーション。対面でやり取りし相談者の不安を取り除くこと、できる限り「ノー」を言わないこと、ちょっとしたことでも相談者に状況を知らせて安心させること、この3つを心がけています。


freee株式会社 メンバーサクセスチーム 労務担当 橋本 菜穂


――freee人事労務の利用状況を教えてください

約240人分の年末調整が延べ24時間で完了した

ユーザの一人として、freee人事労務は定型業務の負担を削減してくれるツールだと実感しています。時間短縮を実感できた業務のひとつが年末調整です。前職では、全て紙に出力、社員全員に控除等申告書を配ったうえ保管していたため、時間も場所も取られてしまっていました。


現在は紙に印刷せず、freee人事労務を使いWeb上で情報管理しています。社員は控除に必要な情報をフォームから送るだけですし、保管場所を気にする必要もありません。入社初年度、当時在籍していた約240人分を一人で処理しましたが、前職で1週間かかっていた年末調整がたったの24時間に短縮できました。


他の定型業務も同様です。現在、さまざまな雇用形態の社員が毎月50名弱入社していますので、入社予定の社員には、入社前にfreeeのアカウントを発行しているんですね。事前に銀行口座、定期券代や扶養家族情報を入力して頂くわけです。freee人事労務導入前、エクセルファイルを入社予定者に送り記入して頂き、それをコピペしていました。いまでは人事マスタに新入社員が直接入力することで、労務工数の大幅な削減に繋がっています。


最新の情報にすぐアクセスできるのもWebで情報管理するメリット。Excelファイルを開いて毎回更新作業をせず、最新情報がすぐに抽出できて助かっています。



人事マスタを一元化。「どれが最新の従業員情報なのかわからない」悩みを解決できた

入社前にfreeeのアカウントを発行することで副次的なメリットも生まれました。いままでは、給与計算用マスタ(Excel)、勤怠用マスタ(Excel)、労務手続きマスタ(Excel)、社労士用マスタ(Excel)、確認用マスタ(Excel)、確認の確認用マスタ(Excel)などマスタが複数存在。更新にも難がある状態でした。freee人事労務を使うことでこれらを統一、Excelの撲滅に成功しました。


人事マスタの統一により、急に社員が増えた企業で起こりがちな「どれが最新の従業員情報なのかわからない」「うちの会社にはどんな人が何人いるのかわからない」といった問題がなくなったのです。


freee株式会社 メンバーサクセスチーム 労務担当 橋本 菜穂


――人事労務としての理想の姿とは?

定型業務の負担を減らしたことで、社員とのコミュニケーションの場が作れた

私は今、freeeの全社員約380名分の労務管理をほぼ一人、0.7人月(時間の7割)で処理しています。私が入社した時点で約150名だったメンバーは今400人強に。私の業務内容自体も増えているのですが、freee人事労務を使って定型業務を圧縮できました。


freee人事労務はまだ発展中のプロダクトであり、まだ機能がなく工数がかかる業務については、時間の軽減・イレギュラー対応の際のアドバイザーとして社労士を付けています。たとえば海外就労されてfreeeに入社する方のときは、扶養手続き用の収入証明の取得などを社労士の方にアウトソースして、その分確保できた時間は、新しい取り組みの業務や単発で起きる業務の時間へと割り当てています。



すべてを労務が吸収するのではなく、現場で解決できる課題は現場で解決すること

freee人事労務で定型業務を削減し生み出せた残り3割の時間は、非定型業務、特に社員とのコミュニケーションの時間に充てています。 今年から始めた取り組みのひとつが「メンバーサクセスアワー」です。労務担当の私とほか2名の同僚が交代で聞き手になり、社員の個人的な悩みなど「何でも話せる場」を週に1回設けています。本当に雑談だけしに来る人もいれば、本人の合意を得てから動かないといけないような、組織を巻き込んだ深刻な相談を受けることもあります。「産業医に話すことでもないけれど誰かにちょっと相談したい」、そんな内容を気軽に話す場として機能しています。


私たちは定型業務の時間を削減することで非定型業務、社員とのコミュニケーションに時間を割けるようになりました。なかなか言語化できない、姿の見えにくい業務ではありますが、社員の相談に乗っていると、労務が本当に解決すべき課題が見えることが多いです。


今、freeeは人が増えている時期。すべてのコミュニケーションを労務が吸収してしまうのではなく、現場で解決できる課題は現場で解決することが本質だと考えています。悩みを抱えた社員自身が現場のマネージャーとコミュニケーションを取るだけでも解決できる問題は多いはず。人事労務はそのための潤滑剤となるべきです。 本当にセンシティブな問題や、自分でどうしていいか分からない問題に関しては人事・労務が困ったときの相談窓口でありたいです。 こうすることで、急成長する組織でマネジメント層と社員との関係性も、より高めていけると考えています。

――今後の展望について教えてください

メンバーが現場に集中できるようサポートしたい


freee株式会社 メンバーサクセスチーム 労務担当 橋本 菜穂


freee株式会社がfreee人事労務をリリースしたのは、2017年3月。まだまだ新しいプロダクトですが、もっとユーザーと距離を近めてやっていくべきだと、社内にいる人間として身が引き締まる思いです。自分自身、1ユーザーとしてフィードバックしより良いプロダクトにしていけたらいいなと思います。最終的には、人事の領域といえばfreee人事労務と一言でいえるプロダクトになってほしいです。


現在、freee人事労務が提供しているサービスは給与計算と労務だけ。今後は人事評価、組織図、採用関係、健康管理、メンタル系が連動して、さらに統合的な人事マスタに育っていけば、より労務の仕事がラクになるはず。


人事労務の本質的な役割は、「メンバーが現場に集中できるようなサポート」に尽きます。業務標準化を通して「背中は任せて」と言えるような体制を作っていきたいです。

freee株式会社