ニュージーランドの首都ウェリントンを拠点とするコーヒーロースターCoffee Supreme。2017年、アジア第一号店が、奥渋谷(渋谷区神山町)に開店しました。コーヒーを通じたコミュニケーションや体験を提供することがコンセプトの、日本では珍しいコーヒー店です。その誘致に動いたのが、代表である松本浩樹さん。開店当初からfreeeユーザーでしたが、税理士さんとの連携がうまくいかず、機能を使いきれていなかったと言います。freeeに強い税理士さんに変えることで、「メリットしかなかった」と話す松本さんに、会計作業の変化について伺いました。
商品はコーヒーじゃなく人。地域のハブ的存在を目指したコーヒー屋
–––先ほどから、お店の前を通る方々が何人も挨拶していきますね(笑)。
お客さんや商店街の人たちですね。うちは、コーヒー好きじゃなくても、誰でも寄れる、地域のハブ的存在になるお店を目指しています。朝は、おじいちゃん、おばあちゃんが「どう?」と声をかけてくれますし、午後は、小学生が「水ちょうだ〜い」って寄って行きます。小学生の溜まり場ですね(笑)。
–––それは素敵ですね。 ニュージーランドのコーヒー店を日本で開業する経緯を教えてください。
子供が生まれるタイミングで、妻の実家があるニュージーランドに行ったんです。当時は、まだ会社員だったので、育休をとって。そのとき、よく通っていたのがCoffee Supremeでした。店内は、子供からお年寄りまでがわしゃわしゃいて、みんなすごくラフで、パジャマ姿だったり。そこで、コミュニティが生まれて、すごくいい雰囲気だったんです。日本のスペシャルティコーヒー屋さんは構えて入るお店が多いし、コーヒーの知識がないと入りづらいところもある。コーヒーは本来、誰もが楽しめる空間であるべきだと思っていたので、ぜひ、日本でオープンしたいと思ったんです。
–––そこからどうされたんですか?
知り合いがCoffee SupremeのCEOと仲良しだったので、紹介してもらい、英語ができないのに「日本でやろう!」とオファーを続けました。すぐに返事はもらえず、何度もプレゼンをして、OKがもらえるまで3年かかりました。日本の会社も辞めていたので、貯金も底をつきかけていましたね。
–––どうして3年も粘ることができたんでしょうか?
流行りのコーヒーショップを持って行きたいというだけでは諦めていたと思います。それよりも、Coffee Supremeを通して人とつながりたい、また、働き方を含めてカルチャーを日本に持って行きたかったんです。
–––働き方というのは?
ニュージーランドのチームは、デザイン会社に勤めながら、プロスケーターのかたわらCoffee Supremeで働いている人ばかりです。日本だと副業はダメという会社も多く、それが嫌でした。いろんなライフスタイルを持ちながらこの店に集まってくる、そういう働き方を日本でやりたかった。うちのスタッフも、その思いに共感して集まってくれたので、二足のわらじをはいている人が多いですね。
–––人がすごく好きなんですね。
そうですね。何をやるにも結局は「人」です。Coffee Supremeは日本もニュージーランドも同じで、商品はコーヒーではなく「人」だという思いがあります。その「人」をつなげるものがコーヒーであるだけで、美味しいコーヒーを出すことは大前提ですが、「人」が大切というのは変わりません。
freee以外の会計ソフトは使いたくない!
–––freee会計の導入はいつになりますか?
開業時なので、2017年です。
–––開業の際、すでに選んでくださっていたんですね。選んだ理由はなんでしょうか?
選ぶ条件としては、僕がApple信者なので、まずは、Macで使えること。そして、インターフェイスが使いやすく、デザイン性があるものが良かったんです。そこでたまたまた見つけたのがfreee会計でした。データの保存に煩わしさを感じていたので、クラウド上でやれるというのも良かったですね。
–––記帳作業は、ご自身でやるつもりだったんですか?
経理の細かいところを見て行きたかったので、コツコツやっていこうと思っていました。数字をいじること自体気持ちが上がらないので、少しでも触りたくなる会計ソフトがいいなと。ただ、開業当初の顧問税理士さんには、何度も、自分たちが使っている会計ソフトに変えてくれと言われましたね。
–––顧問税理士さんの同じ会計ソフトを導入する事業主の方も多いようですが。
「絶対嫌だ」と言ったんです。顧問契約する際も、そこだけは譲れないと。税理士さんには、「変えるつもりがないので、freee会計に慣れてほしい」という話をしました。一応、税理士さんが指定する会計ソフトも見てみたんですが、デザインやインターフェイスが複雑で、自分には合わないなと(笑)絶対に触らなくなると思いました。
–––そこまで想いが強い方も珍しい気がします(笑)。
freeeならやろうと思えるんです。知識がなくても、感覚的にやれるから。なので、3年間は断固拒否をして、3期目の決算が終わったところで、freee会計に強い税理士さん(通称:freee認定アドバイザー※)に変えることにしたんです。
※認定アドバイザーとは、freee認定資格制度に合格し、freeeユーザーの実績がある税理士さんのことです。
本社との信頼関係のためfreeeに不慣れな税理士と契約
–––そもそもなんですが、開業当初にfreee会計に強い税理士さんを選ばなかった理由は?
ニュージーランドにある本社との信頼関係のためでした。アジア初出店でしたし、ニュージーランドから距離もあるので、英語に強い税理士さんを雇ってほしいという要望があったんです。本社の税理士さんと同じ系列会社の税理士さんと契約を結びました。
–––当時は、どのような流れでやりとりされていましたか?
日々の記帳は自分でやり、3ヶ月に1回くらい記帳した内容を見てもらっていました。決算のときは、同じ場所に集まってがっつりやるという感じです。
–––領収書などは、どの段階で見せていましたか?
決算のときに、まとめて全部を渡して、入力内容をひとつひとつ指差し確認していきました。決算期の2ヶ月は、密なやりとりが続き、毎週のように税理士さんと顔を合わせて、電話でも頻繁にやりとりしていましたね。
「自動で経理」機能は使わないでほしい! ひたすら手打ちで帳簿付け
–––それは大変そうですね…。
このときは、freee会計を使っていながらすごくアナログなやり方をしていました。「自動で経理」の機能を使っていなかったんです。銀行口座やクレジットカードを同期することで、自動で帳簿付けをしたら、税理士さんから「訳がわからなくなるし、混乱するからやめてほしい」と言われたんです。「自動機能をどこまで信用していいかわからない」と。
–––えっ! そう言 われたらどうにもできないですね。
だから、銀行の明細などはプリントアウトして、一件ずつ記帳したら、ペンでチェックしながら打ち込んでいました。抜け漏れはないけど、紙は無駄だし、時間はかかるわで、結構大変でした。
–––3期の決算後に税理士さんを変えたとのことですが、そのきっかけはなんだったんでしょうか?
顧問料がとても高かったことです。3年経って、ニュージーランドの本社とも信頼関係ができていたので、日本でのビジネスの規模に合う税理士さんに変えたいと交渉し、許可がでました。
freeeに強い税理士のおかげで会計をとことん効率化!
–––freeeに強い税理士さんはどう探しましたか?
freee会計の税理士紹介サービス(※)を使いました。何社か連絡を入れて、相見積をとり、3社の税理士さんとオンライン面談をしました。その中で一番コミュニケーションがとれそうな方を選びました。
※税理士紹介サービスとは、あなたの事業に合ったfreeeに強い税理士さんをfreeeのコーディネーターが繋げる無料サービスのことです。
–––新しい税理士さんになり、どんな変化がありましたか?
freee会計の使い方に長けているので、効率的に使うためのアドバイスをくれるんです。さきほど話した、銀行口座やクレジットカードを連携して経理を自動化する件もそうです。あと、前の税理士さんのときは、社員やアルバイトの給与もすべて手打ちで記帳していたんです。freee人事労務を使っているのに。それに関しても、freee会計と連携すれば自動でデータが反映されると教えてもらいました。
–––請求書などは、freeeの機能を使って出していますか?
請求書、発注書、見積書は全部freeeで出しています。銀行口座と同期しておくと、請求書に紐づいた形で入金管理から会計処理まで簡単にできることも今の税理士さんが教えてくれました。
–––アナログから一転、freee会計の機能を使いこなしていますね!
お店の会計で使うAirレジやオンラインショップのshopifyも連携しています。自動でデータが反映されるので、日々の作業と言えば、経費の精算くらいです。卸売りは、その都度、請求書で入れています。同期できない銀行口座やクレジットカードや領収書なども手打ちですが、今は、隙間時間にスマホアプリでぺっぺっとやるだけ。月に1、2回、1時間ほどの作業で済んでいます。
–––それはすごく楽になりましたね。
経理にかける時間が、ひと月で10〜12時間は減ったんじゃないかな。以前は、記帳を始めると、1日、ひどいときは2日かかることもあったんです。でも、それ以上に、メンタルがかなり 楽になりました。これまでは、いつも記帳しなくてはという思いがつきまとっていたので。
経理の効率化に加え、顧問料、5割削減!
–––今の税理士さんとのコミュニケーションはいかがですか?
気になることがあればその都度メールで質問します。すぐに返事がきますし、「必要があればオンラインで話しますよ」と言ってくれます。サポートがちゃんとしていますね。
–––税理士さんには毎月の記帳を見てもらっていますか?
そうですね。毎月、僕の記帳に変な項目はないか、ずれがないかのチェックとPL(損益計算書)とBS(貸借対照表)は見てもらっています。領収書や請求書などは、気になるものがあれば、見せて欲しいと言ってくれるので、そのときは写真を撮って送っていますね。あとは決算をお願いしています。
–––気にされていた顧問料はどうでしょうか?
5割になりました。5割減ですね。今まで話したように経理の効率化もできたし、メンタルも楽になったし、もうメリットしかないです。
コーヒーを通して人、ものと繋がっていきた い
–––経理が効率化され、コスト面も抑えられましたが、何か新しく始めたことはありますか?
お店の経営に時間が取れるようになりましたし、他のお店のコンサルティングなど新しい取り組みができるようになりました。最近は、ニュージーランドのアウトドアブランド「icebreaker」とコラボをして、廃棄予定の豆殻で染めた環境に配慮したTシャツを販売しました。年内には、地方でカフェの運営をする準備も進めています。
–––活動が多岐にわたっていますね!
コーヒーには、境目がないと思っています。一人の時間でも友達と語らう時間でも、会議の時間でもいろんな場面にコーヒーはあるんです。それに、音楽や映画、アートとの相性もいい。コーヒーは人ともカルチャーとも繋がれる。「icebreaker」とのコラボでは、アパレルとも繋がることができた。コーヒーには壁がないんです。
–––一杯のコーヒーから放射線状にいろんなものと繋がってくイメージが湧きました。
コーヒーというと味や丁寧に淹れた一杯にこだわる人が多いと思うんです。でも、それがコーヒーの可能性を狭めている気がしています。コーヒーはもっと身近なものとして存在していいはず。朝ならコーヒーを飲むことでいい1日にしようと感じる、それくらいがちょうどいいかなと思っています。だから僕自身は、開業して5年、一度もお客さんのコーヒーを淹れたことがないんです。僕以外のメンバーは、コーヒーのスペシャリストなので、安心ですしね。
–––えっ! コーヒーを淹れたことがない コーヒー屋さんなんですね(笑)
淹れ始めると、カウンターの中にずっといたくなるだろうなと思って。コーヒー屋ではあるんですけど、僕は常に客観的にいたくて。やっぱり、お客さんの視点でみたり、コミュニティをつくる、空間をつくる、というところを大切にしていきたいんです。
–––この場所を拠点に、活動がどんどん広がりそうですね。
コーヒーを通してタッチポイントをいっぱいつくって、カルチャー自体を盛り上げていきたいなと思っています。
会社プロフィール
Coffee Supreme Japan株式会社
〒150-0047 東京都渋谷区神山町42-3
事業内容:飲食業・販売業・卸売業
HP:https://shopjp.coffeesupreme.com