1988年に長野県下伊那郡高森町にて創業した「有限会社中央工芸」。職人の手で作られる塗装治具・治工具を完全オーダーメイドで制作されています。
二代目として2023年10月に事業承継された、代表の中平直起さんにお話を伺いました。
たった2ヵ月でのスピード事業承継は、わからないことだらけだった。
―― まずは事業内容について教えていただけますか?
弊社は金属加工品などを中心に、完全オーダーメイドでお客様からご依頼いただいた製品を作っています。「こういうものを作ってほしい」というオーダーをいただいてお客様に製品を権利ごと買い上げていただき、それがお客様の知的財産にもなります。
全国に30社もないような非常にニッチな業界ですね。
―― お客様が自社では作れないものを受注する形なんですね。中平さまが事業承継されたのはいつ頃ですか?
事業承継したのは2023年9月です。自分は二代目で、先代は現会長の義父になります。
弊社は9月が決算月なのですが、2023年7月に会長から新年度の10月から新体制でやればという感じで言われて急に承継が決まりました。
―― かなり短い期間で承継されたんですね。承継前、会長とはどんなお話をされていたんですか?
弊社は営業担当がいないので、工場長である自分が各企業の窓口の方とお会いさせていただいていました。ただ、肩書きとして“代表”と“工場長”ではアポイントの取れる確率が全然違うんです。
会長にそれを伝えつつ、営業として動いていくためにも後々は代表を代わってほしいという話をしていました。
―― なるほど、そういう流れだったんですね。事業承継でお困りごとなどはありましたか ?
全て困ったといえば困ったんですが、お客様のクチコミで新規顧客を獲得してきていたので、営業のやり方がわからないのが困りましたね。
あとは、経営理念などの引き継ぎがなかったのも大変でした。
―― 自力でがんばる部分が大きかったんですね。
はい。すでに技術は引き継いでいて現場も自分の方でまとめていたので問題なかったんですが、代表としての仕事は特に指導されたわけではないので。
まずはお客様に通知を出して、書類の変更などは総務といっしょに調べながらやっていきました。寝る時間もないぐらいやらないといけないことが多かったです。
―― なるほど。お金の面での不安などはありましたか?
そもそも事務に一切関わっていなかったので、自分が知っておかなきゃいけない部分については承継後に税理士さんに聞きました。
―― 承継後、最初に取り組んだのはどの部分でしたか?
インボイスや電子帳簿保存法対応ですね。やらないとお客様に迷惑が掛かってしまうことやルールや法律など守らなきゃいけないものをまず整備しようと考えていました。
使いやすさと手厚いサポート体制を決め手にfreee会計を 導入。会計作業にかかる時間が1/3に!
―― インボイス・電帳法対応についていろいろ調べられたと思いますが、freee会計を選んでいただいた決め手は何でしたか?
触った感じの使いやすさが決め手になりました。
スマホでレシートを撮ってアップすればAIが処理してくれて、確認だけすればいいというのは非常にラクなので。
―― 他社製品も比較検討されましたか?
はい、他のソフトも無料で試してみたんですが、freeeは担当の方が親身になって話を聞いてくれたのがよかったですね。サポート体制が整っている安心感で選んだところもあります。
―― freee会計を使うようになって、業務は変化しましたか?
会計作業にかかる時間が1/3に減りました。
今まで、会計は総務担当の2人が全て手書きで台帳をつけてダブルチェックをして最終的に代表が見るという体制だったんです。freee会計を入れてからは1回のチェックだけで済むようになり、僕と総務担当1人で回せるようになりました。
―― 作業時間が1/3になったのはすごいですね!
はい、紙ベースをやめて非常にラクになり、検索もしやすくなりました。あと自分と総務の間の情報共有もできてラクですね。オフィスに戻らなくても、その場でサッと確認ができるので非常に使いやすいなと思います。
―― どういう書類の確認が多いんですか?
見積書などですね。
これまでは全て紙ベースで複写式のものだったので、どこにファイリングされているのか全くわからず、何人もでペラペラめくりながら確認する形でした。しかもそれが最終見積りかどうかもわからない状態で。
そういう点でもfreee会計に替えてよかったなと思います。
freee会計で「リアルタイムでの経営の見える化」も実現!
―― freee会計の経営ダッシュボード機能で、資金繰り状況の確認などはされてますか?
はい、銀行口座に連携されていてリアルタイムの資金状況もすぐに見られるので。グラフや対比で目で見てわかりやすいので、欲しい情報が作られているのが非常に便利だなと思います。
以前使っていたソフトだと、僕が簿記を持っていないせいもあって経営状態が全くわかりませんでした。
―― 経営状況がリアルタイムで見えるようになったんですね。
そうですね。今どこに現金があって手形があってというのも、総務に聞かなくても自分ですぐに見えるので、人の手を煩わせないところも非常にいいです。


毎月の給与計算は、freee人事労務で確認作業10〜15分で完了するように。
―― 活用いただけてよかったです!給与計算や労務はどうされていますか?
今はfreee人事労務に全部おまかせしてます。給与はfreee人事労務に入力されたものを総務で確認だけして、締めて完了ですね。
20日に締めて月末に給与振り込みしています。
―― 以前と比べて業務量はいかがですか?
以前は2人でダブルチェックをしていました。今は勤怠の間違いだけ確認すればいいので、1人で10〜15分くらいで終わって滞らないのが非常にいいです。
―― 労務もかなり効率化されたんですね。承継後1年で会計、労務と急激にデジタル化を進められましたが、従業員の方の反応はどうでしたか?
職人たちからは「覚えること多すぎ」と言われているので、まずはこれを習慣化するのが大事かなと思っています。
完全アナログだったものが90%ぐらいペーパーレスになったので。
―― 従業員さんにデジタル化を受け入れてもらうのが大変というお話はよくお聞きするんですが、ここまでどういうふうに進めてこられたんですか?
まずは、代表である僕が質問に答えられるようにしっかり勉強しました。例えば、freee会計を導入したときはweb面談でいろいろ聞いておいて、総務担当から聞かれたときに答えられるようにしておきました。
パソコン自体仕事ではほとんど使ってこなかったので、難しいことだらけでした。なので、この1年でパソコンもだいぶ使えるようになりましたね。
―― すばらしいですね。今後、会社として向かいたい方向や分野などはありますか?
仕事の裾野を広げて、関わるお客様を増やすことを考えていく必要があると思っています。
先代の時代はお付き合いのあるお客様は自動車関係が100%だったんですが、今は電化製品や医療機器関系、半導体、航空機や宇宙産業などでも面白いことができないかなと考えて、新しいお客様を見つけるための情報収集と企業拡大を進めていこうとしているところです。
(インタビュー取材:塚崎恭佳 執筆:鈴木康代)
Company Profile
有限会社 中央工芸
住所:〒399-3101 長野県下伊那郡高森町山吹4917−5
URL:https://chuoukogei.com/
事業内容
塗装治具・治工具の制作