群馬県高崎市にオフィスを構えるフォーストリングスジャパン合同会社は、スタートアップのブランディングやサイト構築、集客、接客サポートや国内外の販売代行を担う物販事業を行っています。
売り上げが直近3年間で8倍増と、コロナ禍での物販ニーズに応え、急成長中の同社。2017年の創業時よりfreee会計を導入し、2023年10月にはfreee勤怠管理Plusも利用開始するなど、 現在、6つのfreeeプロダクトを活用しています。代表の佐藤昌彦さんに、freee導入の経緯や活用方法を伺いました。
クリエイティビティを発揮するためにfreeeが必要だった
――まず、御社の事業内容について教えてください。
佐藤昌彦さん(以下、佐藤) : 起業支援や新規事業立ち上げの事業創造を行っています。形式に則ったコンサルティング事業とは異なり、当社が自ら行っている物販事業のノウハウを生かしたブランディングや集客、セールス、リピート戦略といった具体的なご提案が可能です。自由な発想で、お客様のスタートアップを多角的に支援しています。
海外スタッフも含めて、社員は全部で15名。最近は「海外テストマーケティング事業」に力を入れています。当社には、欧米やアジアだけでなく、アフリカから南極までグローバルに日本の商品を届けられる販売・物流ネットワークがあるんです。
越境ECでグローバルに販売しようとすると、国や地域ごとに言葉や通貨、関税等の手続きの違いなどクリアすべき問題が多くあります。まずは自社でこうした課題に取り組む前に、安心して世界中のお客様に商品をお届けできる当社の販売ネットワークを利用して販売し試してみたいという方が急増しています。
当社の販売・物流網は、販売者(生産者)と卸業者、小売が垂直に並ぶものではなく、小売業者同士が協力していく水平的なマーケティング展開を得意としています。そのため、日本の商品・サービスを海外向けに展開したいと考えているクライアントに好評です。
――創業時からfreeeを導入されているとのことで、どのようなきっかけがあったのか教えてください。
佐藤: 2014年頃まで会計事務所で働いており、その頃からfreeeを知っていました。その事務所では導入に至りませんでしたが、私自身が“新しいもの好き”な性格だったので、「『free』にeをひとつ付け足したネーミングがいいな」とか「コンセプトやデザインに惹かれるな」と気になっていたんです。
いざ自分が起業するというタイミングで、いろんな方に相談をしていました。経営していく上で会計業務が大変であることは、会計事務所での経験からも理解できていたんですが、経理専門の社員やパートさんを雇うのは「もったいない」と思う気持ちがあって。全員がクリエイティブな組織を作っていきたかったので、社員全員が本業に関われる環境にしたいと考えていました。
しかし、事業を理解して、それを受け入れてくれる社労士さんや税理士さんとはなかなか出会えません。そんな時、受け入れてくれたのが、地元の荒井会計事務所さんでした。事務所に伺ったら、担当者さんがfreeeのTシャツを着て登場したんです(笑)。もともとfreeeのようなツールを活用したかったので運命を感じて、契約しました。
2度の税務調査を是認 で終えられたのはfreeeのおかげ
――実際にfreeeを導入して助かった・良かったと感じたのはどんなことでしたか?
佐藤: もうなくてはならない存在なので、助けられてばっかりですね。今まで税務調査を2回実施しているのですが、「帳簿や必要書類がよく整理できています」と褒められました。バックオフィス専任の社員がいないのに、それが果たせたのは、freeeを使っていたからでしょう。
――素晴らしいですね!
佐藤: freeeならほぼ自動で管理できるので、改ざんや間違いのしようがないんですよね。当社では、通販で数百円のご注文を含めた全取引ををfreeeと同期していますし、出退勤に関してもfreeeの勤怠管理を使っていたので、社内外の取引も一元化できていました。
おかげで、税務署の方と仲良くなって「freeeって使いやすいでしょ?」なんてレクチャーしたくらいです。もちろん始まる前はドキドキしましたし、不備がないか心配しましたが、freeeおかげで無事終了し、2度とも是認という結果を手に入れることができました。
――バックオフィス専任の社員がいないとのことですが、普段はどのように経理業務を行っているのでしょうか?
佐藤: バックオフィス業務を兼務している社員が2人おり、会計・労務の業務を行って います。2人ともバックオフィス業務は未経験ですが、士業の先生方とやりとりしながら進めてもらっています。それでできるんですから、freeeってすごいですよね。
バックオフィス専任の方が活躍している企業から見ると「そんな人に任せていいのか!」と驚かれるかもしれませんが、私にとっては、これこそが目指した姿です。社員はfreeeを活用することで本業に専念してもらえるし、わからないことは専門家である士業の先生方が対応してくれるので、安心して任せています。お互いに得意なことだけできる環境になりました。
新しいサービスはどんどん取り入れたい
――freee会計以外にも複数のfreeeプロダクトを導入されていますが、それぞれどのようなきっかけで導入を決めたのでしょうか。経緯を教えてください。
佐藤: つい先日、freee勤怠管理Plusを導入したのですが、正直なところ、もっと早く知っておけばと思いました。以前は、freee人事労務を使って勤怠管理していたのですが、海外にいるスタッフの打刻が日本時間になってしまって、それを変更するのに結構苦労していたんです。
freeeにはたくさんのプロダクトがありますが、自社の課題から見合ったものを自ら探し出すのは、ちょっとハードルが高いです。どんどん新しいプロダクトをご提案いただけるとうれしいです。
――freeeからもっとアプローチがあるほうがいいということですか?
佐藤: 新たに素敵なサービスを発見すると、お題をいただいた噺家さんのように「どう使おうかな?」と謎解きするかのように考えるのが好きなんです。freeeさんには、どんどん新しいサービスや製品を出してもらいたい。それらを活用することで、今より業務の無駄が省けるなら、積極的に使いたいですから。
法人向けクレジットカードの「freeeカード Unlimited」はfreee会計と連動して即日反映できるので、助かっています。また、freeeサインも、新たに導入したfreee勤怠管理Plusももともと使いたいと思っていたプロダクトがfreeeに集約できるので、freeeファンの私としてはもっと機能を充実させてほしい、そんな気持ちです。
「経理がいないとダメ」そんな固定概念をなくしたい
――今後の展望をお聞かせください。
佐藤: 現在、世界180以上の国と地域に暮らす1万5000人を超える日本大好きなお客さんとつながっています。このネットワークを物販だけではなく、観光、環境、教育といったグローバルな活動にして、次の次の世代につなげていくことですね。
コロナ禍でインバウンドが止まったことで、逆に越境ECが加速していくのを目の当たりにしました。それほど世界中の人は国を超えて交流したいのかと思い知らされましたね。自分の、孫世代の子供たちに向けて何ができるか? どんな思いを紡いでいけるか? 越境ECマーケティンングは、遠くにいる人 とモノを生産者や販売者の“思い”でつなげることだと思っています。
これは商品を販売する物販にとどまらず、これからより一層取り組まなければならない地域やグローバルな課題解決にも生かせるノウハウです。国内の地域おこしや地球規模の問題などで人と人、世代と世代つなぐ技術として、子どもから事業者まで広く対象とした教育事業に展開していきたいです。
――最後に、freeeの導入を検討されている企業さまに向けて、アドバイスをお願いします。
佐藤: freeeは、専門知識と経験がないスタッフでも使えます。バックオフィス業務の手間を減らし、その人員を本業へ充てたいと考えている企業に、ぜひ使っていただきたい。バックオフィス業務を否定しているわけではなく、専門家にサポートしていただきつつ、このようなシステムを活用すれば、専任スタッフがいなくても運用できることをお伝えしたいです。
日本では、多くの企業が縦割りで、その弊害なのかもしれませんが、バックオフィススタッフがいるべきという固定概念がある気がします。freeeのような使いやすいシステムと、いつでも気軽にコミュニケーションが取れる士業の先生方がいれば、企業の規模に関わらず、全員がクリエイティビティを発揮する仕事に専念できます!
(執筆:つるたちかこ 撮影:小野奈那子 編集:ノオト)