インタビュー対象者プロフィール
toBeマーケティング株式会社
取締役CFO 猪砂 昌之さん
2018年4月よりtoBeマーケティングに参画。
CFOとして財務経理や経営KPI管理を管轄するほか、IPO準備に向けて管理部の責任者として人事労務などバックオフィス全般の内部統制整備を担う。
前職では会計系コンサルティングファームで国内外の財務・会計領域の業務改善・組織改革コンサルティング、および基幹システム導入プロジェクトのマネジメントに携わる。
toBeマーケティング株式会社
経営企画室リーダー 高井啓介さん
2016年よりtoBeマーケティングに参画し 、たった一人で管理部を立ち上げる。
立ち上げ当初は人事労務や経理財務なども担っていたが、専門性の高いメンバーの採用によって徐々に業務権限を移譲し、現在は経営企画・経営KPI管理・法務・IPO準備を主業務としている。
新卒採用で入社した会社で業務改善コンサルティングの新規事業立ち上げに参画し、営業から経理まで一通りの業務を経験している。
toBeマーケティング株式会社
経営管理本部 関口彩さん
製薬会社の経理担当、会計事務所スタッフを経て、2017年3月よりtoBeマーケティングの財務経理・人事労務担当として参画。
会計事務所時代には、アパレル企業に常駐して経理のみならず人事労務業務も任された経験を持つ。
過去勤めた2社ではインストール型の会計ソフトを利用しており、freeeはtoBeマーケティング入社を機に初めて使った。
創業時からfreeeを活用。最小リソースで上場を見据える管理部門体制
猪砂 管理部のメンバーは私たち含めて7人です。最初に高井が一人で管理部を立ち上げて、そこから徐々にメンバーを増やして現在の体制になりました。
高井 私が入社した当初はバックオフィス自体が本当になかったですね……。一人で全部やらなけれ ばならないので、9つくらいの職種を兼務していて。社内で圧倒的に多い残業時間になってたんですけど、やることが多すぎてなかなか満足のいくレベルまでできずに悩んでいました。
特にネックになってた業務が財務経理まわりでした。当社は創業当初からクラウド会計ソフト freee会計(以下、freee会計)を活用していて、当時あまり会計知識がなかった私でも簡単にできるので、通常業務はなんとかできていたんですよね。でも年次決算とか節目の処理となると、やはり専門知識や経験を持つ人の力が欲しいと思って、財務会計周りに強い人材の採用を役員陣にお願いしていました。そうしてまず入ってきたのが、関口です。
関口 3月に入社して、これまでの会計経緯もよくわからないままいきなり決算業務に入りました(笑)。freee会計を使うのも全くの初めてで、最初はfreee会計独特の「仕訳を切らない」処理方法に衝撃を受けました。最初のうちはfreee会計で正しく会計処理されているかを確認するために総勘定元帳をプリントアウトしてペンで仕訳の消し込みをしていましたね。でも税理士さんのアドバイスやチャットで問い合わせのおかげで、2, 3ヶ月くらい経ったらfreee会計の機能は一通り理解できるようになりました。業務のスピード感を考えると、もうfreee会計以外のソフトには戻れないなと思いますね。
高井 関口は財務経理だけでなく人事労務業務の流れも分かっているメンバーなので心強いですね。さらに、IPO準備のプロセスを具体的に描いて推進していける人も欲しいと思っていたところに、猪砂が新たにメンバーとして加わりました。
猪砂 上場準備を最小のリソースで進めるために、freeeをはじめとする便利なシステムを社内に導入して業務の効率化を進めています。当社でfreeeを使っている様子を見て、現場で使う人たちにとってユーザーフレンドリーでいいなと思いました。カスタマイズをせず、標準機能の範囲で損益や資金繰りなど見たいレポートをすぐさま正確に出してくれるのもありがたいです。freeeは頻繁に機能のアップデートしているのにも驚きます。当社でもまだまだ使えていない便利な機能があるかと思うので、もっと活用していきたいなと思っています。
Salesforce × freeeで実現する超効率的な売上管理
高井 当社の業務で使っているITツールは、ほぼクラウドで統一しています。サーバーは一切持っていません。上場準備を少人数で進めるためには 、クラウドのフル活用が不可欠ですね。
猪砂 新たにシステムを導入する際には「Sales Cloudをハブにして繋げられるか」を判断基準にしています。Salesforceをハブにすると、業務が断然楽になりますね。freee for Salesforceを利用して、freeeとSalesforceも連携しています。
高井 当社のサービス提供における全てのプロセスを、Sales Cloudをフロントにして管理しています。商談発生から始まって、受注、納品、検収、請求、売上計上、入金まで、全部です。
新規商談の登録と見積作成、注文作成は、Salesforce内で完結します。受注が決まったら、クラウドサインを利用して契約書等を取り交わします。検収も同様に、クラウドサインで取り交わしています。
その次が請求ですね。Salesforce上に入力した請求予定日や請求先住所などの情報は、freee for Salesforceによってfreeeにも自動連携されます。その情報をもとに、freee側で請求書を出力しています。売上と売掛金が確定したら、Salessforce上で仕訳処理します。売掛金が入金されたらリアルタイムでfreeeに反映され、さらにその情報はSalesforceにも連携されるようになっているので、Salesforce上でも入金されたことを確認できます。
猪砂 つまり、Salesforce上でお客様とのやりとりの全て、最初から最後までを見える化できるというわけです。特にfreee for Salesforceの導入でfreeeとSalesfroceを密に連携できるようになった効果は大きかったですね。
関口 freee for Salesforce導入前は、freeeとSalesforceの両方で同じ内容の入金処理を手動入力しなくてはいけなかったんです。お客様数が多いので、毎月の入金処理業務の負担は大きくて……。そこを自動化できるようになってからは、入金処理にかかる時間がほぼ半分に減りました。
高井 現場業務の観点で見ると、クラウドサインの導入効果も大きいですね。電子契約で内容確認も署名捺印も完了するので、それまで契約にかかっていたさまざまなコストを削減できました。双方の社内稟議で1〜2週間かかっていた契約がたった2,3分で済んだり、印紙代や郵送代が全てタダになったりして、お客様にとってもメリットが大きいだろうと思います。クラウドサインのSalesforce版がAppExchengeに追加されているようなのので、当社でも導入できそうか検討中です。クラウドサインとSalesforceの連携ができたら、さらに効率化が進むでしょうね。
freeeの財務会計情報は、予実管理や原価計算にも応用
猪砂 経営KPI管理をするためには、適切な予実管理がかかせません。当社では、財務会計実績を全て網羅するfreee会計と、原価や勤怠を管理するTeamSpirit(Salesforceと連携)の2つを活用して予実管理を実施しています。
高井 具体的には、freeeの財務会計実績とTeamSpiritの工数をダウンロードし、独自のExcelシ ートに貼り付けて半自動計算をする仕組みを作っています。この方法だと一方の数値が変更したら再ダウンロードしなければならないといった不便な点もあります。でも、イレギュラーな対応が必要になった場合にExcelであればすぐに修正しやすくて、柔軟性が大きいことのほうが当社にとってはメリットが大きいんです。
猪砂 TeamSpiritを導入した理由も、IPO準備です。監査法人から工数管理や原価計算をきちんとやるようにアドバイスを受けて、さまざまな方法を検討した結果、TeamSipritの導入に至りました。freeeの財務会計情報も掛け合わせることで、当社にとって最適な予実管理体制もできるようになりました。
経理担当者もSalesforceアカウントを持てば、業務スピードや正確性は格段に上がる
高井 私たち管理部では、Salesforceで50種類以上のレポートを利用して請求金額や入金進捗、業績全般などを常に確認できるようにしています。項目別にダッシュボードをつくっていて、その中に関連するレポートを一覧で表示しているんです。
関口 納品完了と検収書受領を各部門の部長が一次チェックした後、管理部門がさらにチェックして請求書を発行するんです。ですから、検収書の進捗や請求の抜け漏れ、入金進捗などの確認で、Salesforceのダッシュボード機能とレポートは特によく使っていますね。
高 井 上場を目指す企業でも、当社のように成長フェーズがまだ若い段階にいる場合だと「注文書や検収書がなくても実務に影響はないだろう」と現場の意識が甘いケースも多いのではないでしょうか。だからこそ、私たち管理部が高い意識を持って一つひとつの契約をきちんと締結するよう働きかけなければならないと考えています。
猪砂 Salesforceはfreeeと違って、デフォルトでは用途別のレポートがないんですよね。だから、売上管理や分析をするためには自分たちで最適なレポートを作成する必要があります。Salesforceレポートの使いこなせるかどうかは、企業にとって大きく活用の差が出るポイントではないかと思います。
関口 加えて、経理担当者が個人でSalesforceアカウントを持っているかどうかも、企業の業務効率化においては大きく差がつくポイントではないかと思います。Salesforceには売上の妥当性を示す注文書や契約書などの証憑が蓄積されています。会計の根拠となる証憑をありかを把握し、監査法人から求められたらすぐに出せる状態にするするためにも、経理担当者にもSalesforceアカウントを割り当てたほうが良いのではないでしょうか。
実務のシーンでも、契約状況の確認にかかる時間が確実に削減できているので、 Salesforceアカウントを私のような経理担当者も持ててよかったと思います。最初のうちは操作に慣れる必要がありますが、今ではSalesforceアカウントを持っていなかったらどうやって請求などの業務をすればよいのか……と疑問に思ってしまうくらい、freee for Salesforceの便利さを実感しています。
上場を目指す企業でクラウドツールを活用するメリットとは?
猪砂 上場準備の際、企業には決算開示の早期化が求められます。四半期ごとの決められたスケジュールに沿って、正確かつ早く情報を開示するのに、クラウドツールの活用は欠かせません。freeeを使って銀行やクレジットカード会社と自動連携させれば入出金をリアルタイムで正確に反映できるなど、管理部の限られたリソースでもうまく業務を回せていると思います。事業規模が大きくなるにつれてお客様の数や取引量が多くなっても、クラウドツールを活用した運用体制をとっていれば、管理部の負荷も最小限に抑えられます。
高井 Salesforceやfreeeなどのクラウドツール上に全ての証憑を関連づけて残しておけますし、変更履歴も記録されますから、監査する側にとっても安心するようです。freeeを利用する会社の上場準備に携わるケースは監査法人側もまだあまり多くないようですが、操作方法をご理解いただければ特にこれといった問題はありません。
関口 上場準備にかかる外部とのコミュニケーションコストを削減できることも、クラウドツール活用のメリットだと思います。たとえば当社では、freee会計のアカウントを監査法人と税理士に、freee人事労務のアカウントを社労士にそれぞれ付与しています。同じ画面を通して同じ情報を見ながら打ち合わせや相談ができるので、資料印刷にかかる費用や情 報のやりとりにかかる時間などを減らせています。
あと、監査法人が何を出力したかなどのアクション履歴をこちらで確認できる点も実は助かっています。何のレポートを出力したかによって、次に監査法人から聞かれる質問を推測することもできますからね(笑)。
上場を目指す企業として「管理部門が強い会社」になるために
高井 バックオフィスは売上を生みだす部門ではないので「いかに最小のリソースで上場準備ができるか」を念頭に置いて、いま着々と準備を進めている段階です。上場後も決算開示の正確さとスピードを求められますから、私は引き続き業務改善と効率化を推進しなければならないと考えています。いくら新しいツールを次々と導入したとしても、現場の協力なくしては定着にまでは至りません。「現場がいかに便利さを実感できるか」を大事にして、引き続き業務に邁進したいと思います。
関口 財務会計の面でも人事労務の面でも、今の当社の業務においてfreeeは重要な位置付けになるツールになりました。業務のスピードが格段に上がりましたし、他のツールや金融機関情報などとの連携で正確な情報がある安心感もあります。IPO準備の面だけでなく、日々の業務効率化や生産性アップ観点でもfreeeは最適なツールになると思いますし、引き続き活用していきたいです。
猪砂 上場にあたり企業に求められることは「業績」と「内部管理体制」の2点に集約されると考えています。この2点を具体的に見える化して全社員に示すのが管理部の役割なので、私自身としては管理部が強い会社でありたいと強く思っています。
業績については、freeeやSalesforceなどのクラウドツールの活用によって見える化できます。その情報を適切に分析・利用することで、社員の生産性向上や働きやすい環境づくりを進めていき、その結果として業績アップも実現していければと考えています。一方で内部管理体制については、不正やミスなく早く業務をまわしていくための仕組みづくりをクラウド管理ツールの活用や連携によって進めていきたいです。監査法人への対応は、私たち管理部の責任になります。監査法人に対して迅速かつ的確に対応して安心していただくためには、クラウドツールの活用は必須なのではないでしょうか。
事業紹介
住所:東京都千代田区内幸町1丁目3-2 内幸町東急ビル8F
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2015年6月設立。マーケティングオートメーションとCRMにフォーカスしたコンサルティング・導入/設定支援・施策実行/活用支援のサービスを提供する。Salesforce.comが提供するBtoB特化型マーケティングオートメーションツール「Pardot」の圧倒的な導入実績で業務を急伸させている。