「毎日の勉強を習慣にできない」悩みを解決するため、学ぶ喜びをすべての人へ届けるサービスを提供しています。
そんな同社は上場を見据え、freeeを導入。導入の決め手となったのは、「イケてるSaaS」を使わなければバックオフィスじ ゃない、という強い思いでした。スタディプラス株式会社の取締役CFO 中島 花絵 氏、監査役 造田 洋典に、freee導入までの経緯や利便性をうかがいました。
――設立の経緯や御社サービスへの想いを教えてください
学ぶ喜びをすべての人へ。世界が広がることで目指すものが変わる
中島 もともと弊社の創業者・代表取締役の廣瀬は高校時代、バスケットボール部と勉強との両立ができない悩みがありました。勉強ができる先輩にアドバイスを求めたところ、返ってきた答えは「学習記録をつけるといい」というもの。自分もやってみたところ、勉強が続くようになったそうです。
同じように家計簿も記録するだけでお金が不思議とたまる。勉強版の家計 簿があれば、学習に悩む人を減らせるのではないか。そんな課題意識を重ね、スタディプラス株式会社を創業しました。
スタディプラスでは、「毎日の勉強を習慣にできない」悩みを解決するため、自分で学習を管理できるツールを開発。高校生が自分自身の学習状況を管理でき、学校や学習塾も生徒の学習状況を管理できるアプリ「Studyplus」の開発と運営を行っています。
スタディプラスのミッションは、「学ぶ喜びをすべての人へ」。ひとりでやっていると心が折れてしまうことも多いもの。先生がコーチ的な立場で寄り添ってあげることこそ重要だと考えています。
現在、学習制度が変化しつつある中、スタートアップ界隈にはEdTech(エドテック, 教育に関するテック系企業)が増えてきました。弊社では学びに関するコミュニティやつながりを重視し提供しています。学びの中でつながりが大事だと考えているのです。
いっしょに頑張ってくれる仲間を意識することで自分がどこにいるか把握できるし、世界が広がることで目指すものが変わっていきます。
また、塾と学校向けに、先生と生徒のコミュニケーションツール「Studyplus for School」というサービスも展開しています。
――freee導入のきっかけを教えてください
情報をオープ ンに。社員全員に権限を付与し、PL、BS、資金繰りなど見える状態に
造田 私はドリコムのIPOに関わっていたが、当時のバックオフィスはみんなハード。仕事が終わるといつも終電で、早くて22時に帰れる。そんな毎日でした。書類作成作業などを人力でやっているとどうしてもハードワークが必要になってしまいますが、freeeであれば省力化できるのではないか。それがクラウド会計ソフトを導入しようとしたきっかけです。
中島 システムをfreeeにした決め手は、上場企業向け会計クラウドの実質的な選択肢が他にはなかったから。
freeeの一番の良さは、クラウドの会計ソフトのため、情報をオープンにできる点でした。現在弊社では、50名の社員全員にfreeeのPL、BS、資金繰りなど、すべてのレポートを見せています。社員同士給与がわからないよう、1人部署は本社部門に寄せることで個人の給与は見えないように工夫していますが、基本的にすべての数字をオープンにしています。
そもそも根底に、「すべての情報をできるだけオープンにすべき」という考え方があります。会計の数字はバックオフィスのものではありません。事業部全員で作り上げた数字であり、みんなで分かち合うのが売上。社員みんなに見せるのは当然です。見せないことで生まれるミスコミュニケーションも無駄です。もし会社のPLが良くなかった時には、社員自らが何ができるかを考えてもらうことこそ重要です。
freeeであれば、社員にそれぞれ渡した閲覧専用のアカウントへ、情報をワンクリックでオープンにできるところが気に入っています。
こういう考え方なのは、私がもともと経理畑ではないことにも起因しているのかもしれません。「情報は見せないもの」という常識を疑う。今までできたものをただやるのではなく、新たなものを作り出すのがバックオフィスの付加価値だと考えていますので、何でも積極的に取り組んでいます。
フレックス出社を会社として整備できたのもfreeeのおかげです。freeeはクラウドベースですので、家からも仕事ができるようになったのは大きい。freeeでワークフローを回していますが、月次レポートから購買申請まで辿れる。これは大きなメリットです。
毎月150時間のムダをゼロに。コーポレートカードとSuicaのfreee連携で経費精算撲滅
中島 freee導入以前は、社員1人が経費精算を月3時間かけてやっていました。社 員が50人いれば毎月150時間にも及びます。
そこで、経費精算撲滅プロジェクトを立ち上げました。経費精算にかかる時間をゼロにするため、部長以上の社員にコーポレートカードを持たせ、freeeへ連携したモバイルSuica経由で行うことに。freeeにはこれらが自動連携して取り込めますので、交通費経費精算をゼロにできました。
もちろん運用でカバーをする必要もありますが、土日以外の交通費はすべて認めてしまう。さらには多少の過剰利用も少額のため認めてしまう。社員を信頼するスタンスで経費精算にかかる時間をなくしたのです。
経費精算撲滅プロジェクトを行ったことで、小口現金が廃止できる、といううれしい副次効果もありました。以前は会食などの立替払いのため、常時数十万円の小口現金が社内に存在。しかしコーポレートカードを通し社内のキャッシュレス化が進んだことで小口現金の出金がなくなり小口現金を廃止できたのです。不正リスクも減り、内部統制強化につながりました。これらの取り組みにより、先日、freee ビジネス キャッシュレス アワードの大賞も受賞しています。
監査をfreeeのメンバーとして招待。本質的な仕事へ注力してもらえるように
中島 freeeの利用は監査 対応にも影響を及ぼしました。 監査対応の一番面倒な点は、「この仕訳のエビデンスを出してほしい」という要求に応え証憑を出す作業です。しかしfreeeを使い始め、監査法人をメンバーとしてfreeeに招待。世界が変わったのです。
freeeにはそもそものすべての取引に添付ファイルとして証憑が紐付いており、レポートからそのまま自分で遡って見てもらえる。うれしくて感動して、Twitterにつぶやいてしまいました!
EYにfreee のアカウント渡したら、監査提出資料が激減しててめちゃ便利。隠すことがないから享受できるメリット、嬉しい。
— NakajimaHanae@Studyplus (@hanae_nakajima) 2018年10月24日
エビデンスのコピー作業は面倒ですし、紙に出力するのも抵抗がありますよね。資料を準備する手間が省けたことは大きな収穫でした。
そもそも監査とは何をするのかというと、「有価証券報告書に意見を出す」ことが本質的な仕事のはず。「経営者の主張であり、解釈の余地がある」と感じれば、その意図が投資家に伝わるよう努力してもらう必要があります。どういうところに経営的なリスクが潜んでいそうか、などの観点で分析しながらチェックする。細かい証憑のチェックではなく、そういった仕事のほうに、監査の方の時間を遣ってもらいたいのです。
freeeを導入しなければ、ほとんどの時間が日頃のこまかい処理の積み重ねを チェックするための業務に割かれてしまっていた。そう思うとぞっとします。
freeeは積極活用することで価値がどんどん高まる
中島 freeeを徹底活用するために、freeeの総勘定元帳を出力し、貼り付けるだけで部門別損益管理シートができる仕組みを作りました。自分で作ったスプレッドシートを外部に公開し、たくさんの方に使っていただいたりしています。
freeeは積極活用することで価値がどんどん高まる。自分でもそのことをもっと発信していきたいです。
――今後の展望について教えてください
「イケてるSaaS」を組み合わせて使うことがバックオフィスの本質的な仕事
中島 スタディプラスを支えるバックオフィスは、会社のインフラのようなものと捉えています。でも、ただのインフラではなく、「イケてるインフラ」になりたい。
そもそもバックオフィスは時代時代に対応して変わっていくもの。以前のように単純作業をやることがバックオフィスの本質ではありません。
いまのバックオフィスの役割は、優れたSaaSをうまく繋げて使うスキルが求められています。CFOの方であれば、良 いSaaSを見つけ、導入を意思決定することこそが本質的な役割です。freeeもそのような「イケてるSaaS」のひとつ。優れたSaaS同士で自動的にAPI連携し、データのやり取りができるようになっています。
つまり、汗水垂らして手作業で数字と格闘するよりも、優れたSaaSを使うことがバックオフィスの本質的な仕事なのです。
現在は資産を持つことはリスクでしかありません。資産を持てば時代や環境の変化に対応できなくなるリスクが生じますが、SaaSは資産に計上されません。時代によって人の働き方も変わるし、使うツールも変わる。社員にフィットしていくことが大事です。
エンジニアがプログラミング言語をたくみに操るように、バックオフィスにとってはSaaSこそが武器になっていくと考えています。
弊社には、「Dive to Learn- 学習者のためにやろう -」という大切なバリューがありますが、我々自身もSaaSのような新しい価値観を学ばなければなりません。このバリューに恥じない、強いバックオフィスを作っていきたいと考えています。