北海道十勝の鹿追(しかおい)町でソーセージを作っている、合同会社鹿追ソーセージファクトリーの正保 康則(しょうほう やすのり)さん、縁(ゆかり)さんご夫妻。縁さんが立ち上げた事業をきっかけに鹿追で出会い、お二人の好きと得意が組み合わさって、多くの人に愛される製品を生み出しています。
鹿追ソーセージファクトリーでは、請求書の発行にfreee請求書を活用。簿記経験がなくても使いやすく、操作が簡単で、インボイス対応のできるところが良い点だといいます。
お二人の出会いから事業の始まり、日々の業務のなかでどのようにfreeeのサービスを活用して請求業務を行っているのかを伺いました。
空き家リフォームをきっかけに出会い、会社設立へ
――お2人が手がける事業の内容を教えてください。
正保 縁さん(以下「縁さん」) : 合同会社鹿追ソーセージファクトリーは康則さんが代表で、ソーセージを始めとした豚肉の加工製造を行っている会社です。今年で設立から5年目になります。
また、私は結婚前に一般社団法人Enという会社を立ち上げていて、宿泊施設「トマルカフェ鹿追」を運営しています。Enは設立から7年目です。
正保 康則さん(以下「康則さん」) : 「鹿追ソーセージファクトリー」という社名は、何をやっている会社なのか分かりやすいというのが一番の理由で、こだわりたかったところです。
――お2人が事業を立ち上げたきっかけは何だったのでしょうか?
縁さん: 私が鹿追に来たのは13年前です。最初は農業研修生として1年間の研修を受け、その後もこの場所に残りたいと思ったので、当時始まったばかりの地域おこし協力隊1期生となりました。
そして、地域おこし協力隊の任期終了後に独立を模索していたとき、ちょうど空き家となっている古民家があることを聞きました。その空き家をリフォームして始めたのが、トマレルカフェ鹿追です。そのとき、リフォームを手伝ってくれたのがたまたまカフェの向いでソーセージを作っていた康則さんだったんです(笑)。それが出会いのきっかけでした。
康則さん : 私は生まれも育ちも鹿追で、当時、夏は調理師、冬はログハウスビルダーとして働いていました。調理師としてソーセージ作りも行っていて、そのソーセージ作りの場所がリフォーム予定の空き家の目の前で。
縁さん: 康則さんがログハウスビルダーもしているということで、「手伝ってもらえませんか?」とお願いしました。築60年以上の古民家で、空き家になって20年くらい経っていたので、大工さんには更地にして新築したほうが安くて早いと言われましたが、古民家の形や柱がすごく立派で、それを残したかったんです。
康則さん : 昼はソーセージを作り、夕方になるとリフォームを手伝っていましたね。そんななかで、当時、独立するかど うか悩んでいたのですが、縁さんに「やってみたら良いんじゃない?」と言われ、会社を立ち上げることにしました。
簿記経験がなくてもわかりやすく、使いやすい。簡単さがfreee導入の決め手
――現在、どのような体制で事業を運営されていますか?
縁さん: Enは、私1人で運営しています。鹿追ソーセージファクトリーは、社長である康則さんと、職人さんが1人、事務員さんが1人、そして私の計4人の体制です。
経理業務にはfreeeを使っています。Enの経理は私がまとめて行っていますが、鹿追ソーセージファクトリーの経理は、消費税がかかる規模の売上で業務も多いので、事務員さんと分担して行なっています。
――請求書発行はどのようにされていますか?
縁さん: 鹿追ソーセージファクトリーでは、大きく分けて2パターンあります。1つは地元のスーパーや道の駅への卸、もう1つは製造委託です。製造委託は、毎月一定量をソーセージやベーコンに加工してくださいという業務委託になります。どちらも月末締めで、freee請求書を使って月初に請求書を発行しています。
また、個人のお客さんが直接買いに来られることがあります。その場合、お客さんに請求書を出すことはないのですが、控えを持っています。 十勝川温泉というホテルで鹿追ソーセージファクトリーの商品を使っていただいていて、そこで商品を気に入ったお客さんが直接買いに来てくださることがあるんです。
――請求書ソフトの導入を検討したきっかけを教えてください。
縁さん: まず、Enを立ち上げるときに会計業務をどうするか悩みました。最初は他社のソフトも使ってみたのですが、簿記の経験がないと分かりづらいと思いました。そのころにちょうどfreeeがリリースされ、試してみたところ見た目もわかりやすくて、使い勝手がよかったので導入を決めました。
その後、鹿追ソーセージファクトリー設立時にfreee会社設立を利用したところ、すごく簡単に手続きができました。そのままの流れで、請求業務にもfreeeを使うようになりました。今は請求書発行を中心にfreeeを利用しています。
freee請求書は最初から分かりやすく、インボイス対応が簡単なのも良かった
――freee請求書を利用するなかで、特に良かった点があれば教えてください。
縁さん: freee請求書は、最初から使い勝手が良いと感じました。作成画面が入力しやすく、見た目も分かりやすいですね。以前はExcelで請求書を作成していたのですが、freee請求書はExcelのようにマクロを組まなくても必要な請求書を呼び出せるのも便利です。見積書・納品書・請求書と段階を踏み、書類変換もできる点も気に入っています。
また、インボイス制度に対応できる点が良かったです。freee請求書は、端数処理など、インボイス制度に対応した税額計算になっていたので、対応していることがすぐに分かりました。
――インボイス制度へはどのように対応されていますか?
縁さん: 「まだ良いんじゃない?」と思っていたのですが、取引先の企業からインボイス対応の請求書を求められることが増え、適格請求書発行事業者の登録を行いました。もともと消費税の課税事業者だったので、登録に抵抗はありませんでした。
登録の際、まずは税理士さんにやり方を確認したのですが、手続きがデジタル化されていて「そんなあっけなく終わっちゃう?」というくらい簡単でした。デジタル処理のネックとして、インボイス制度に対応していないソフトだと手入力では直せないので、対応しているという点は重要です。
0→1と1→100。2人の好きと得意が組み合わさり「過去一おいしい」と評判の商品が生まれた
――特に印象に残っている請求はありますか?
縁さん: 鹿追ソーセージファクトリーの設立は、新型コロナウイルスが流行しはじめた時期と同じくらいで、設立直後に取引先が次々と休業して商品を出す先がなくなり、従業員にも1~2ヶ月休んでもらったことがありました。
そんななか、とあるホテルから注文を頂いたことが、とても印象に残っています。そのホテルではコロナ禍でもお客さんが来ていて、事業をちゃんとやっていれば売れるという姿勢を見せてもらい、勇気をもらいました。
康則さん : その時期を乗り越えられたので、何かあっても何とかなるんじゃないかと思えますね。
縁さん: 無塩せきソーセージも印象に残っています。北海道の様似(さまに)町という場所で、ものすごくこだわって放牧豚を育てているところがあって、そこの豚肉を使いました。”無塩せき”というのは発色剤を使わない特別な作り方で、とても難しい技術なのですが、こだわりの豚肉を使うからには余計な添加物を入れたくなかったんです。
最初は失敗もありましたが、うまくできたときに牧場の方が「今回のソーセージは過去一おいしい」といってくださり、「やった!」と。そこから売上がどんどん伸びて、今は当初の倍以上の売上になっています。
康則さん: 私は、料理にしても建物にしても、そしてソーセージにしても、0→1でものを作ることが好きなんだと思います。最終的にこんなものを作りたいという仕上がりの形をイメージして、そこから逆算して作るということが好きです。
縁さん: 康則さんは職人だなと思います。私はそこを大々的に利用している感じです(笑)。私は0から1を作るより、1を100にするほうが得意なんです。企画とか運営とか。
康則さん: むちゃぶりはすごく多いですね(笑)。難しいなと思うことをよく言われます。ただ、負けん気が刺激されるんですよね。「仕方ないな、分かったよ」と言いつつ、内心では「やってやろうじゃないか」という気持ちにさせられます。