株式会社プラザクリエイトのFC(フランチャ イズ)本部では、2017年より独立支援のための制度、「のれんFC制度」を進めてきました。 のれん分けによるFC店舗を増やすにあたり、課題だったのが経理などの業務負担。FCオーナーのバックオフィス業務を軽減するため、さまざまな支援を実施。店舗の運営・営業に注力してもらうため、FC店舗へのfreee導入が本部主導のもと進められてきました。
「のれんFC」の1号店が今回取り上げるパレットプラザ麻布十番店。プラザクリエイトグループの旗艦店を元社員にのれん分けし移譲しています。
今回はパレットプラザ麻布十番店の店長 瀬尾悦子様に「のれんFC」によって独立するまでの経緯、店舗経営をするオーナー店長の立場から見たfreee会計の利便性についてお話をうかがいました。
――独立支援制度に手を挙げてオーナーになるまでの経緯を教えてください
カメラ好きが高じてパレットプラザに入店
もともと学生時代から雑誌の写真を眺めるのが好きだ ったのですが、ときどき友人のライブを撮影するカメラマンの手伝いもしていました。カメラ好きが高じて、写真をお客様に届ける仕事をしようと決意。
最初は他のカメラメーカーが経営していた系列のお店で働いていたのですが、撤退が決まってしまいます。写真の仕事を続けたい、という思いから10年ほど前にパレットプラザに入店しました。
アルバイトを始めた麻布十番店でオーナー店長に
株式会社プラザクリエイトにアルバイトとして入店したのは、今オーナーをしている麻布十番店でした。
お店では、お客様の写真を通じて自分の知らない世界を見せてもらえるのがとても楽しかったですね。海外旅行の写真を現像してお渡しするときには、自分もその国に行った気分になれますし、親子の写真はお渡したときにご家族と一緒に喜べる。写真を通した交流がとても印象的で、お客様に喜んで頂けると自分も嬉しかったです。
日々多くの写真に触れるうちに、さらに写真への愛着が深まっていったように思います。
その後、2016年にプラザクリエイトの正社員になり、10店舗ほどまとめて採用・予算管理をするエリアマネージャーの立場に。2017年3月からは独立支援制度「のれんFC」を利用して、オーナー店長になりました。
のれんFCとは、2017年からはじめた独立支援のための制度のこと。エリアマネージャーや店長として経験を積んだ正社員やアルバイトの方々がこの制度を使い、続々とのれん分け・独立しています。現在「のれんFC」は60店舗を数え、本社では今後FC店、とくにのれんFC店を増やす 計画を進めています。
店舗内雑貨や什器のレイアウトに店舗スタッフの個性が光る
「ベテランスタッフに、しっかりとお店を預けたい」。独立支援制度を利用し、オーナーになる
アルバイトとして入社して以降、10年近く店舗業務をしてきたものの「オーナーや事業主になりたい」と思ったことは、今まで一度もありませんでした。FC本部が「のれんFC制度」として正社員やアルバイトの中から独立してFCオーナーになる人を公募するまで、本当に一度も考えたことがなかったんです。
私の気持ちが変わったきっかけはプラザクリエイトの社長との食事会。独立支援制度が始まる前に、偶然食事をする機会があり「10年、20年と長年貢献してくれたスタッフに、店舗運営を任せられる環境を作りたい」というお話を聞いたのです。
それから1年ほどで制度として立ち上がり、「本当にやるんだ」と社長の思いを感じたことと、「自分の人生でなにか新しいことに挑戦するなら、多分このタイミングしかないのかな」という思いからFCオーナーとしての独立を決意しました。
支援制度の説明会で、FC本部から経営・バックオフィスの面も十分にサポートしてもらえるとわかったことも大きいです。チャレンジする気持ちの後押しになったと感じています。
店舗にはたくさんの雑貨が並ぶ。「写真を飾ろう、楽しもう」というコンセプトのもと、2014〜2016年に改装を加え、お洒落な空間で雑貨も売るスタイルの店舗に路線変更した結果だ
――独立後の不安はありませんでしたか?
独立した後も顔なじみのアルバイトが残ってくれた
店舗運営の仕事自体には10年近く現場での経験もありましたし、直前にはエリアマネージャーを務めていたのでそれほど不安はありませんでした。
しかし、経理や労務に関しては知識も経験もなかったので独立前、とても不安でしたね。今まで店舗に勤めてくれているアルバイトの労務管理をしていたのは、本部の労務や経理など、バックオフィススタッフの方々。店舗のオーナーとして自分がスタッフの生活を支えなければいけません。中でも従業員に対する給料支払いは絶対に遅配しないようにしようと強く思っていました。
取引登録や確定申告の方法、資金繰りなど慣れない業務に戸惑いつつも、freeeのサポートや本部の方に相談し、なんとか進めることができました。
1年目では税理士に税務申告などをまるごと依頼する会計的余裕がありませんので、もしfreee会計を使っていなければ簿記の勉強から始めなくてはならず、もっと苦労していたと思います。
なにより心強かったのは店舗スタッフの存在でした。オーナー店長になったタイミングで、顔なじみのアルバイトの方が多く残ってくれていました。私がバックオフィスの仕事をしている間も安心してお店のことを任せることができました。
プラザクリエイト本社の支援、「のれんFC」同期の支え
支えてくれたのは店舗スタッフだけではありません。 プラザクリエイト本社の説明会や、説明会で知り合った人を通じてfreeeをより便利に使う方法を教えてもらいました。 そのときに聞いた、アプリケーション内連携の機能がとても便利でかなりの時間が節約できるようになりました。使い始めた頃はスマートフォンからもよくアクセスしていました。
3月の確定申告も、同時期に独立したオーナーさんたちと「あの書類は届きましたか?」などと横のつながりで情報交換して無事乗り切れました。
店舗ではオリジナルデザインのTシャツも作ることができる。通常のサンプルレイアウト(写真左)と、アルバイトスタッフが創意工夫したレイアウト(写真右)。アルバイトスタッフのアイデアにより、Tシャツの端を縛り、水着とのレイヤードを楽しめるようなレイアウトにしたところ、利用シーンがイメージしやすくなり、売上の増加にもつながった
――オーナーとして店を経営する楽しみを教えてください
初めての経理・労務。freeeを使って8割の負担減
独立から1年経った今は、1人で労務や経理の作業をまわせるようになりました。freeeに触るのは月に8時間から16時間ほど。freeeを使わなければもっと時間がかか っていたかもしれません。2日ぐらいまとまった時間を確保し、仕事に集中して進めることが多いように思います。使い始めた頃に比べると作業時間もだいぶ短くなりました。
6月に住民税、12月に年末調整、年が明けた3月には確定申告に関する業務がありましたが、freeeの誘導もあり、初めてでもこなすことができました。従業員への給与の支払いや年末調整など、1円単位の間違いも許されない手続きもありますが、freeeを使っているので心配することもありません。
そういった心理的なものも含めると、ざっと8割の負担が軽減できていると感じます。
パレットプラザ麻布十番店のアルバイトスタッフ(写真右)はイラストが得意。得意なイラストを活かして店舗のPOP作成やサンプルTシャツの作成も担当した
スタッフの創意工夫でこの地域ならではのお店をつくりたい
freeeで生まれた時間的な余裕は、お客様のため、店舗をより良くすることに使っていきたいと考えています。
独立オーナーの店舗に変わりましたので、直営店舗のときにあった「上からの指示」というものはなくなりました
そのかわり、店舗のレイアウトやサービスの見せ方、地元のお客様のご意見を取り入れるなどといった現場の創意工夫が売上につながります。
たとえば雑貨ですが、独自にこのお店で売れそうなものを自分で調べて、地域にあった商品を仕入れることができるんです。お客様の中にはなるべく麻布十番から出ないで買い物を済ませたいという方が多いので、この街に売っていないものを調べて置くようにはしています。お客様から「こんな商品を置いてほしい」というお声を頂戴することもあります。お客様とのコミュニケーションの中で、直接ご要望をうかがえるのはありがたいことです。
店内でも「絵が得意なスタッフにTシャツのデザインをお願いしよう」というようにスタッフの特技を活かしたり、定期的なミーティングの場を設けたりすることで、スタッフ各々のモチベーションが上がるように意識しています。
店頭に飾られているTシャツは、スタッフのオリジナルデザイン。「直営店ではこんな自由なレイアウトができなかった。スタッフそれぞれの個性を出して働けるような職場にしたい」(店長 瀬尾様)
アルバイト時代からこのお店に携わって10年。私がお店で働き始めた頃お客様に生まれた子は10歳に、当時小学生だった子は大学生に、と時の流れを感じます。お母さんたちとは「大きくなりましたね」みたいな話をするほど長い付き合いのお客様が結構多く、このお店にいるのが本当に楽しいです。
今後もfreeeの力を借りながら「のれんFC店」ならではのアイデアや工夫を実現し、よりよいお店づくりをするために時間を費やしていきたいです。