岐阜県にある西村賀彦税理士事務所では、freee会計とfreee人事労務、そしてfreee申告を導入し、業務効率化と顧問先の経営意思決定サポートの強化を実現しています。代表の西村賀彦さんは、「freee会計に加えてfreee申告も使うことで数字が連動し、特に給与関連の処理は一気に効率化しました」と語ります。
現在の仕組みに至るまでは、複数の会計・税務システムを試行錯誤していたのだそうです。なぜfreee一本化を決めたのか、実際に使ってみてどのような変化があったのか、西村さん に詳しく伺いました。
独立開業の思い
事業会社における苦悩を経て「経営者の意思決定を数字で支援」を使命に
当事務所は、2014年に岐阜県可児市で独立開業しました。企業から依頼を受けて早く正確に税金計算をすることは、税理士としてごく当たり前の仕事です。私どもはそこからさらに、税務・会計といった数値の面から「経営者の意思決定のサポート」にも踏み込んで、企業のビジョン実現を後押しする存在でありたいと思っています。
こうした考えの背景には、私自身が若い頃に事業会社で苦悩した経験があります。特に、祖父が興した陶器製造業を父とともに営んでいた若い頃、取引先の廃業を受けて売上が一気に半減したときが強く影響していますね。父が今後の事業展開をどうしたらいいか必死に考えている一方で、顧問税理士はいつも通り税金計算をしている……私はその光景を見て「会社の大事なお金を扱っている立場として、もっと事業の相談に乗ってくれても良いのでは?」と思ったのです。 「経営者がいち早く意思決定をして、いち早く改善に動き出して、ビジョン実現に向けて前進するための役に立ちたい」との想いが原点にあって税理士を目指し、今もずっとこの想いを掲げて仕事をしていますね。
freee導入前の業務 / freee導入のキッカケ
「給与計算と年調法定調書の連携は困難」との思い込みが消えた
独立開業当初は、どの会計・税務システムが自分に合うのかを試行錯誤していましたね。会計システムは複数社を 使い比べていて、年調法定調書の作成には他社のソフトを使っていました。
当時を振り返ると、日々の記帳業務で、小さな問題をいくつも抱えていました。とりわけ、給与計算システムと会計システムが連動していないために、給与計算システムに入れた情報を月末に会計システムにも入力しなければならない状況は大きくひっかかっていました。私どもの業務負荷もかかりますし、経営者に最新の経営数値をお伝えしづらかったですから……。
「確定申告の業務プロセスは面倒なもの。仕方ない」との思い込みが徐々に固まりそうになる一方で、独立当初に抱いた想いは諦めきれません。引き続き情報収集をしているうちに、freeeの存在を知りました。
freeeの担当者から「freeeを通して中小企業やスモールビジネスの未来に貢献したい」と事業の核となる考え方を伺い、そのメッセージが私が考える税理士像と親和性が高いと感じ、導入を決意しました。先々では年調法定調書作成の移管も見据えて、まずfreee会計とfreee人事労務を実務に導入しました。
freeeは会計知識がない方も入力しやすい仕組みになっているので、顧問先のほうで適宜入力していただけやすくなりました。顧問先が自ら数値を入力していただきやすくなったおかげで、私どもは顧問先の経営サポートに力を注ぎやすくなりました。
翌年度には、予定通りfreee申告を導入しています。十分な使い勝手であるfreee会計とfreee人事労務で業務を構築しているのだから、申告機能もfreeeに一本化することは必然だったと思います。現時点でfreee会計、freee人事労務、freee申告で90%以上の顧問先を対応していま す。
freee導入後の効果
当たり前だと思っていた業務プロセスを根本から見直す機会に
freee申告の導入によって給与関連の処理が一層連動するようになったことで、当事務所にもさまざまな変化がありました。給与支払報告書の作成期間を導入初年度と前年度で比較すると、顧問先は約20件増、かつ産休者1名で従業員数が減った状況にも関わらず、前年度より1週間早く終えることができました。
前年度より早く終えられた理由は、freee人事労務とfreee申告の連携にあると考えています。顧問先がfreee人事労務を使って日頃から給与データを計算してくださっているので、私どもではfreee申告と連動させて給与データを取得するだけです。
以前でしたら、顧問先が給与データをこちらに送るのを受身で待たざるを得なかったので、年調業務に予定通り取りかかれないことが多々ありました。さらに、受領したら次に私どもが全従業員分の給与データを転記しなければなりません。従業員数が少ない当事務所にとっては、大きな業務負担となっていました。
freee人事労務とfreee申告を連動させる現在の運用にしてからは、給与データを取得するまでの待ち時間も、給与データを申告ソフトに転記する手間も大幅に削減できたと思います。給与情報を送るよう促す必要もなく、顧問先とスムーズにデータを共有できるので、直接価値を生み出しにくい申告ソフトへの転記作業を一気に効率化でき ました。また、年調法定調書を作成するのに「正確な給与データの数値を使って算出している」という安心感もありますね。
freee申告の導入は、これまで私たちが当たり前だと思っていた業務プロセスを根本から見直し、改善する良い機会になりました。改めて会計も人事労務も申告も、一気にfreeeのサービスに変えてよかったと思います。
そういえば最近、ある従業員から「freeeに変えてから仕事が楽しくなった」と言われました。詳しく聞くと「freeeは他社より入力パターンの選択肢が幅広いので、顧問先に応じて条件別に最適なパターンを考えながら業務を進めることができる。自分が抱える業務量によっては、領収書データ化依頼などを活用する選択肢もある。自分のアイデアでよりよい業務の進め方を選べるのがいいんです」と話してくれました。
今後の展望
経営者が自ら経営数字を知り、考え、次の一手を打てるための支援を
引き続き、顧問先の皆様がすすんで日頃からfreeeを入力していただけるように努めたいと思います。入力を促すためのきっかけとして、顧問先がfreeeをどの程度有効活用できているかがわかる指標「自動化率」を分かりやすく示す機能が、今後freeeに追加されるといいなと思います。全ての仕訳の中で、手入力と自動入力と完全自動化の割合がわかると、さらに嬉しいですね。
自動化率がわかるようにされると、 うまく効率化できている業務や、逆に改善余地がある業務の見える化が促進されるのではないでしょうか。それぞれの数値や変化を見て、事務所内外を巻き込んだ業務効率化をさらに進められればと思います。また、税理士の作業効率を数値で分析できるようになると、顧問先が税理士を選ぶ新しい客観的指標になるのかも……と思います。税理士同士の切磋琢磨にもつながるのではないでしょうか。
freeeを導入してから、より一層早く、具体的に、わかりやすく、経営者のもとに経営数字を伝えやすくなった手応えがあります。経営数字に基づいてきちんと提案をし続けると、経営者の方々も次第に自らfreeeを確認して、最新の経営数字を自ら知ろうと動き出します。そうしたら私どもは、より詳しい分析データを知るためのコツや分析のポイントなどをお伝えして、意思決定をより早くできるよう支援するよう努めています。
経営指標から見えてくる課題や改善点にすぐに気付ければ、すぐ改善できる、改善のためのアクションも早くできる。そしてより会計の大事さが上がってくる……。こうした好循環を、より多くの経営者につくっていきたいです。
プロフィール
西村賀彦税理士事務所
岐阜県可児市広見5丁目6−1 アークヒルズ可児2F西
0574-49-9138
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事業概要
2014年6月に岐阜県可児市で開業。西村氏は祖父が興した陶器製造業の経営やコンビニ本部のSV(スーパーバイザー)での現場経験と、MBA取得実績を持ち合わせている。経営者の意思決定を経営パートナーとしてサポートすることをモットーに、税務申告だけでなく顧問先のビジョン実現に向けたアドバイスも実施する。