――設立の経緯や御社サービスへの想いを教えてください
宿泊予約サービスを提供。満足度の高い旅行体験を実現
Loco Partnersという社名には、「ローカル(地域)のパートナーでありたい」という思いが込められています。私たちが提供しているサービスは一流ホテル・旅館の宿泊予約サービス「Relux」。「つながりをふやす」というミッションのもと、お客様により良い旅行体験をしていただくため、独自の審査委員会が厳選した宿泊施設のみを提供し、日本の魅力を世界中に発信しています。
Reluxコンシェルジュというサービスも弊社特徴のひとつです。「海の見える宿に泊まりたい」「1〜2 泊だけリッチな一人旅を楽しみたい」など、Reluxカスタマーの興味や条件に合わせてご要望に合わせた宿泊プランを専門コンシェルジュが提案。満足度の高い旅行体験を実現することができます。私自身も入社前にReluxコンシェルジュを利用したことがありますが、「西日本で、食べ物がおいしく、海の見える温泉に入りたい」という条件で提案されたのは淡路島。別府などメジャーな温泉地を思い浮かべていたなか知らなかった地域に出会うことができ、とても新鮮な体験ができました。Reluxコンシェルジュを通して、まさに「つながり」がふえる瞬間を体験できたのです。
そういった経験から、私自身もミッション・ビジョンに共感し、今のバックオフィス業務を担当しています。
人間らしい思いやり、心配りを大切にしたい
一般的にITベンチャーはロジックや効率性を大切にします。しかし弊社はそれだけでなく、人のつながりやおもてなしの心といった人間くささを重視しています。ホテルや旅館の方はロジックで考える方よりも、想いに溢れる方が多くいらっしゃいます。旅行は非日常的な行為。普段はできない体験を求めて訪れるお客様へのおもてなしが大事だからこそ、合理性で固められたものよりも人間らしさが出ているホテルや旅館のほうが魅力的に映りますよね。
人間らしさを重視する業界だからこそ、弊社もこの点を重視しています。たとえば弊社には、「お手紙」を送る習慣があります。Reluxを利用していただいたお客様には宿泊時、ホテルや旅館のカウンターで、私たちの想いを込めた手紙をお渡ししています。社内に直筆で手紙を書くための専属チームもあるんです。ロジックで割り切れない、「おもてなし」という部分は、これからも弊社が特に大切にしていきたいと思っています。
これまで多くのお客様にご利用いただいてきたReluxですが、ITのサービスだからこそ、人間らしいおもてなしや心配りを大切にしていきたいと考えています。
――freee導入のきっかけとご利用状況を教えて下さい
債権・債務管理や複数PCでの操作に課題あり。バックオフィス体制構築のためfreeeを導入
私が入社する以前、バックオフィスの体制はほとんど整っておらず、課題が山積みでした。ベンチャーの少ないリソースのなかでバックオフィスに割ける人員は限られていますし、専門的な知識をもった人材が社内にいなかったことが原因です。
バックオフィス体制を構築するにあたり、最初におこなったのは、会計ソフトの刷新です。私たちは全国のホテルや旅館とやり取りをしているため、取引先は約1,000件。それまで使っていた取引先コードのない他社会計ソフトでは債権・債務の管理が大変な作業になっていました。さらに、既存の会計ソフトはインストール型。複数のPCから作業できないことも不便でした。
新たな会計ソフト導入に向けさまざまなサービスを比較検討するにあたり、4つの要件を定めました。
1つ目はクラウド型サービスであること。複数のPCから作業するためです。
2つ目は、金融機関との連携機能が充実していること。毎月1,000件もの取引先とのやり取りはAPIを使い、預金から収支の自動仕訳をしてくれることで時間短縮を図りたいと考えました。
3つ目は取引先コードの概念があること。一度やりとりが発生した相手はデータベースに登録し、取引先コードで呼び出せるほうが便利です。これにより、いちいち相手を手入力せずに済むため、定型業務から解放されます。
4つ目は監査ログが残ること。弊社がKDDIの子会社である関係上、内部統制が必要要件でした。
これらの要件を満たしてくれたのがfreeeだったため、2017年7月、完全に刷新しました。freeeの会計エンタープライズプランで、財務会計の基幹システムとして使っています。
入出金管理が簡単に。債務残高も確認しやすくなった
freeeを導入した結果、預金情報との連携、入金管理と自動消込で仕訳は簡単に完了するようになりました。入出金管理がボタンひとつの操作で済むようになり、ストレスを感じることなく業務を進めることができています。
そしてなによりも、タイムリーに債権残高を確認できるのが便利ですね。弊社では債権・債務残高が可視化されたことで、より良い仕組みやルールを作るための土壌が整いました。ベンチャー企業はキャッシュインよりもキャッシュアウトのほうが圧倒的に多いもの。債権回収の効率化は重要な財務戦略のひとつです。freee導入以前は債権残高を調べるために多くの手間がかかってしまい効率的な債権回収ができていませんでしたが、導入後は取引先コードをもとに、簡単に債務残高を確認できています。その結果、「大口債権から当たっていこう」といったように、債 権回収の指示出しに優先順位を付けることも可能になりました。これから素早い債権回収を目指していきたいと考えています。
理想的なバックオフィスとは「効率的」で「再現性が高い」こと
私は会計の本質を、「三次元の企業活動を二次元の財務諸表に落とし込み可視化すること」だと考えています。財務諸表の作成作業は企業活動を人間に置き換えると履歴書を書く作業と似ています。会社の現状を、会計というフィルターを通して定量的な値に変換し、言語を用いて可視化すること。それが役所や取引先に対してのアカウンタビリティ(説明責任)の担保と、より良い仕組みづくりにつながっていくのです。
私が考える理想的なバックオフィスの条件は「効率が良い仕組み」と「再現性が高い仕組み」の2点を備えていること。それを実現するためにもITの活用は欠かせません
経理の仕事には泥臭く単純な定型業務も多いもの。テクノロジーで効率化を図れる箇所はまだまだ数多く残されています。効率化されればコスト削減につながりますし、再現性が高くなれば、専門知識がない人でもボタンひとつで定型業務がこなせるようになります。
理想的なバックオフィスを目指すため、弊社では業務の負荷分散を大切にしています。月末月初に仕事が固まりやすい経理業務だからこそ、freeeを使えば取引が発生するたびにタイムリーに取引を処理できます。経理の部署としては社員数が一人純減のなか、月次決算にかかる作業を1営業日削減することができましたが、それは日々、タイムリーに負荷分散できているからにほかなりません。
――今後の展望について教えてください
定型業務はテクノロジーに任せ、仕組みや基準を考えるクリエイティブな仕事がしたい
私は公認会計士の資格を持っていますが、極端な話、経理業務はAIやディープラーニングといった技術発展の過程で、人間がやらなくても良い仕事だと考えています。システムに任せた方が断然、効率よく仕事できますし、個人の感情や体調といった要素がない分、業務の再現性が高いというメリットがあります。
一方で、仕組みや基準を作るという創造的で本質的な仕事には、経験によって培われる業務上の勘が欠かせません。単純な作業はテクノロジーに任せて、本当に価値のあるクリエイティブな仕事を人間が担う。人間の時間や体力は有限だからこそ、リソースを割く本質的な仕事を見極める必要があります。
今はこの会社で効率的な会計の仕組みを作ることが本当に楽しいです。バックオフィスに関する最先端の情報をキャッチアップしたり、自分が手を動かさないためには何をすれば良いか考えることが醍醐味になっています。その結果、実際に定型業務のために手を動かすことが減っており、仕組み化を実感できています。
freeeは会計の効率化と再現性を向上させることで、理想のバックオフィスづくりに貢献してくれています。実際 に、預金の管理だけでも1営業日分の会計業務を削減できました。
会計システムを整えた後はバックオフィスを外れ、新規事業にも挑戦したい
今後、経理のみならず、法務、総務、労務の体制を整えたら、私はバックオフィスの担当から外れようと考えています。Loco Partnersは社員の挑戦を歓迎してくれる会社です。これまで培ったスキルや経験を活かし、「つながりをふやす」ような、新たなサービスや新規事業に挑戦したいと考えています。
そのためにも効率的で再現性の高いバックオフィス実現は必要不可欠。だからこそ、freeeには大きな期待を寄せています。企業の会計システム効率化と再現性向上のため、freeeにはテクノロジーの力で日本の会計を変えていってほしいです。