ITの力で「圧倒的に分かりやすく、自由な不動産マーケットの創造」を目指す株式会社Housmart様(以下、ハウスマート)は、2014年の創業時からバックオフィス業務にfreeeを導入。
ハウスマート様には「フロントオフィスとバックオフィスを切り分ける必要はない」という考えがあり、実際にバックオフィスの方が営業を兼務されているとか。そこにはどんな理由があるのか、COOの三瓶士継さんに話を伺いました。
――設立の経緯や御社サービスへの想いを教えてください
高校生のころから不動産と会社経営に憧れていた
三瓶 士継 氏(以下、三瓶氏) : 私は高校生のころから「将来、経営に携わりたい」という強い思いを持っていました。そこで大学卒業後、起業に向けての修行を積むためスタートアップ企業に入社しました。そこで叩き込まれたのが「行動しなければ意味がない」「まずはやってみることがすべて」という精神。修行なんて言っている場合ではないと気付いたんです。現在弊社の代表である針山 昌幸に頭を下げ、一緒に起業してもらったというのが株式会社ハウスマートのはじまりです。
私が不動産業界に興味を持ったのは、高校生のころに読んだ『金持ち父さん 貧乏父さん』という本がきっかけ。そこでは不動産投資について多く語られていて、純粋に興味を引かれた僕は、すぐに宅地建物取引士の資格を取りました。
それから、地元の福島からはじめて東京に出てきたとき、立ち並ぶビルの圧倒的スケールを見て自分の想像もできない世界にどうしようもなくワクワクしたことも原体験になっていると思います。東京にあるたくさんのビルを実際に売り買いしている人がいるんだと考えると、無性に心を揺さぶられたことを今でも思い出します。
ITの力で不動産業界を分かりやすく自由なものにしていきたい
三瓶氏 : ハウスマートのビジョンは「圧倒的に分かりやすく、自由な不動産マーケットの創造」。このビジョンを達成するため、弊社では中古マンション購入・売却仲介サービス「カウル」、マンションデータベース「カウルライブラリ」、マンション情報メディア「マンションジャーナル」という3つのサービスを提供しています。
カウルは、物件を購入したいお客様に向けて、情報提供と仲介業務をセットで提供しているサービスです。一般的な不動産情報サービスは物件の情報を掲載しているだけで、実際の仲介にはまったくタッチしないことがほとんど。契約は別の不動産業者が行っています。ですので、問い合わせをしたとしても、物件ごとに異なる業者とやりとりをしなければならない面倒が発生するわけです。
一方、カウルでは、情報提供と仲介業務をワンストップでお客様にご提供しています。複数の物件にお問い合わせをいただいたときにも、すべて同じ担当者が対応することができるのが弊社の強みです。物件売却についても同様のサービスを提供しています。
これまで不動産の売買をするためには、店舗に足繁く通いながら、内覧をするというのが当たり前でした。しかしカウ ルは店舗をもたないオンラインサービスです。気軽に相談できて、契約手続きまで店舗に一度も来店することなく売買をすることも可能です。弊社のビジョンである「圧倒的に分かりやすく自由な不動産マーケット」を体現していると言えます。不動産売買におけるお客様の負担を大きく減らすことで、不動産マーケットはより自由なものになっていくはずです。
そして、カウルライブラリーは、首都圏を中心に、5.5万棟におよぶマンションの「建物情報」を公開しているサービスです。 カウルライブラリーで公開している建物情報は「何階建ての建物か」「築年数はどれくらいか」「どんな外観か」「最寄り駅はどこか」といった基本的なものはもちろん、かつてそのマンションの部屋が「いくらで売り出されていたか」「貸しに出されていたか」といった売買や賃貸の事例まで含まれています。 不動産業界はもともと透明性が低い業界。売買や賃貸の事例をデータとして公開すること自体、とても画期的と言えます。日本では、不動産に関する情報はREINS(レインズ)などのシステムにすべて集約され、不動産業者以外は自由にアクセスすることすらできません。
そこでハウスマートでは、カウルライブラリーを通して、ブラックボックスになっている情報を少しずつ透明化させていこうとしています。お客様自身が情報を入手できるようになれば、よりわかりやすい不動産取引が可能になるのではないでしょうか。
――freee導入のきっかけとご利用状況を教えて下さい
フロントオフィスとバックオフィスを分けない。
スタートアップはどれだけお客様に圧倒的な価値を提供できるかがすべて
三瓶氏 : もともとバックオフィスの専任者を立てるつもりはありませんでした。さらに、会社のメンバーをフロントオフィスとバックオフィスに分けるという考え自体ありません。
ハウスマートはスタートアップ企業。だからこそ、お客様にどれだけ圧倒的な価値を提供できるかがすべてです。そのためには、すべてのメンバーがお客様と接することが重要だと思います。そのためバックオフィス業務のためだけにリソースを割くことは好ましくありません。
とはいえ会社を経営していくうえで、会計処理や給与計算といった業務は必要不可欠。それを圧倒的に効率化しようと思い立ったのがfreee会計導入の経緯でした。
弊社では創業当時からずっと、freeeを使い続けています。
freeeを選んだ大きな理由は、クラウドサービスである点と初心者でも簡単に扱える点。僕は当時、会計に関してまったくの素人だったのですが、チャットサポートなどの簡単なサポートだけで簡単に会計処理をすることができました。
freeeから新しいサービスや機能がリリースされるたびに、それを取り入れるようになり、弊社の会計業務も充実してきました。現在は給与計算や労務に関する業務にもfreeeのサービスを導入しており、ハウスマートはfreeeと一緒に成長してきたような感覚があります。
freeeでバックオフ ィス業務を効率化
兼務している営業の仕事に多くのリソースを割けるように
松原 遙香 氏(以下、松原氏) : ハウスマートではフロントオフィスとバックオフィスを切り分けていませんので、私は人事や労務など、バックオフィス業務の担当と並行して、営業の仕事を行っています。
私は新卒で入った会社で営業の仕事をしていました。営業成績も常にトップ。仕事に熱中していました。その後、人事部に配属されたのですが、そこでの仕事がとても大変でした。同じ部署には私しか女性がいなかったこともあり、男性と同じように働けない、体力のなさに悔しい思いをしたこともあります。
結婚を機に、友人が経営している企業に転職。少しゆったりした環境でバックオフィス業務をやらせてもらうことにしたんです。とても働きやすかったのですが、やはり営業への思いは断ち切れず、ハウスマートに入社。
今ではバックオフィスの仕事だけでなく、大好きだった営業の仕事も人事も、垣根なく取り組むこ とができて、とてもうれしいんです。バックオフィス業務はfreeeのおかげでかなり効率化されているので、自分のリソースの多くを営業に割くことができています。
スタートアップだからといって働いているメンバーに不安を感じさせたくない、という思いで日々、バックオフィス業務をこなしています。私自身、労務や人事のスペシャリストではありません。しかし、freeeのシステムのおかげでバックオフィス業務をこなすことができています。
――今後の展望について教えて下さい
freeeと二人三脚で2020年の上場を目指す
三瓶氏 : freeeを使っていて感じるのは、今後のバックオフィス業務に対しての変化です。フロントオフィスもバックオフィスも、その垣根が薄まっていくのではないかと感じています。バックオフィスの人間も営業が何をしているのか、お客様が何に困っているのか知らないとスタートアップとしての価値提供が十分にできるとは思えません。松原のように、バックオフィスと営業を兼務するような働き方は、まさにバックオフィスの理想と言えます。
ハウスマートは、まずは2020年を目処に上場したいと考えています。高い業績を上げてから上場した方がバリューが出るという考え方もありますが、僕たちは上場を、さらなる成長に向けた加速装置だと捉えているんです。もちろん、freeeの上場パッケージもすでに導入済みです。
freeeとは今後も長いお付き合いになると思っているので、同じスタートアップとして見習いながら成長していければ と思っています。