freeeを導入したきっかけは?
NPO法人は、その公益性から情報開示が強く要請されており、中でも会計情報の開示は重視されています。しかし、少ない人員・資金で事業を行っている多くの法人にとって、会計業務に費やせる時 間は限られ、気軽に頼れる専門家を見つけることも難しいため、「会計」は大きな悩みの種です。これまで支援してきた実感から、NPO法人を取り巻く会計環境は「会計砂漠」と表現してもいいかと思います。このような「負担感」と実際の会計業務の「負担」が、「高い志」「本業」を圧迫するようなことがあってはもったいない。であれば私の専門性でこの状況を変えていきたいと考え、事務所の中心業務に「NPO法人支援」を据え、現在はfreee認定アドバイザーとして、NPO 法人の会計業務を支援しています。
既存の会計ソフトには、NPO法人に特化したものもあります。ただ、その多くは料金(価格)が高いため、資金的に余裕がないNPO法人が気軽に選べる選択肢ではありません。その点freeeは、本格的な会計ソフトでありながら、料金が手ごろで入力が簡単。自動化機能によって入力の手間も大幅に削減できますので、その点に非常に魅力を感じました。
NPO法人特化の会計事務所としてのやりがい
NPO法人の方って優秀な方が多いのですが、反面とってもピュアなんですね。少し変な話、専門家としては当たり前の質問に答えても、異常なくらい感謝されるんです(笑)
以前、教育関係の活動をされているNPO法人の方が勘定科目でお悩みだったので、その相談にのったことがありました。正直な所、そこまで難しい相談ではなかったのですが、後日メールでビックリマークが大量についた感謝のメールをいただいたことがあります。文面からも感謝の気持ちが非常に伝わってくる内容で、私自身少しうるっ、としてしまいました。
NPO法人を運営されている方は、本当に社会的に意義があることをされています。教育・医療・福祉・震災ボランティア等、その活動は多岐にわたっており、公的機関がカバーしきれていない制度の枠組みから外れる領域を民間の力でカバーしています。
一方で、本業の活動に関しては非常に優秀ではあるけれども管理業務全般、特に会計業務は苦手、という方が多いと感じています。彼らの素晴らしい活動を、会計の専門家としてサポートすることが出来る、これは何事にも代えがたいやりがいがあります。社会のインフラである会計の専門家としての責務、社会貢献という意味で、NPO法人への会計業務のサポートは今後も続けていきたいと思っています。
freeeとNPO法人の親和性
freeeとNPO法人は非常に親和性が高いと思っています。まずは会計の知識がなくても利用できること、これは非常に大きいです。freeeはあえて簿記の用語を全面に出していないと思いますが、これは会計の知識がないことが多いNPO法人の方に非常に喜ばれています。またクラウドであるため、特定のPCでなければ出来ないということがなく、スキマ時間で会計業務を行うことが出来ます。本業が忙しい方ばかりなので、移動時間等にパパっと帳簿付けが出来るのでオススメです。
上記のようにNPO法人の方にとって使いやすいというメリットに加えて、非常に安価で利用することが出来ます。そのため、人的・資金的にあまり余裕がないNPO法人の方にオススメ出来ますね。
freeeはNPO法人の会計に特化したサービスではありませんが、2016年4月に「freeeNPOキット」と題して、freeeと組み合わせて利用することで、活動計算書といったNPO法人特有の決算書の基礎的な数字を自動で計算出来るコンテンツをfreeeさんと協同製作いたしました。NPOキットを利用することで、NPO法人特有の勘定科目をfreeeに設定することが出来ます。また勘定科目を設定することで、「事業費/管理費」を区分することができ、「活動計算書」や「注記」、「財産目録」などNPO法人特有の開示書類は「freeeNPOキット」に附属されている決算テンプレートを利用することで基礎的な数字は自動で作成することが可能です。
NPO法人とともに成長していく、経営パートナーとして
実はNPO法人に対応している会計事務所って少ないんですよね。一方、NPO法人の方は会計面で総合的に相談したいと思っているにも関わらず、相談出来る相手が少ないというのが現状です。
相談相手としては、必ずしも所長先生である必要はなく、会計の知識がある方であれば問題ないと思っています。そのため、例えば今税理士試験の勉強中の方だったり、これから独立を目指している方等にとっても、NPO法人の支援は非常にオススメです。規模が比較的小さいことが多いので、活動を行う上でのお金の流れをNPO法人の人と一緒に学ぶことが出来ますし、会計人としての見聞も広がると思います。
NPO法人の方は優秀な方が多く、会計事務所としても良い意味で刺激を受けることが多いです 。NPO法人の方は会計事務所を決して下請けとして見ずに、ともに成長していく経営パートナーとして見てくれるため、同じ目線で活動を行うことが出来ます。
完全にNPO法人特化にする必要はなく、まずは1・2社顧問先として支援していただくだけでも、今申し上げたことが実感いただけるのではないかと思います。 一概にはいえないと思うのですが、日々の業務に忙殺されていると、会計事務所として本来やるべき業務、「お客様のために」という視点を忘れてしまいがちです。こういったNPO法人支援を行うことで、自分自身のモチベーション向上にもつながり、社会的な活動に自身の専門知識を使って貢献することも出来るため、本来やるべき「お客様のために」という視点を常に持ち続けることが出来るのではないでしょうか。