2020年10月に設立された株式会社Colereは、”信頼で結ばれた組織を創る”ことをミッションに掲げ、30名ほどのメンバーが世界8カ国に散らばり、リモートワークで働いていることが特徴的なスタートアップです。職場やチームが手軽に自分たちの強みや改善ポイントを把握出来る組織サーベイ seenをはじめ、職場の管理職やマネジャーを支援するツールを開発して提供しています。
事業はそのほか、SDGs未来都市でもある長崎県壱岐市でコワーキングスペースを地域コミュニティの皆さんと運営しています。さらに 、創業事業の企業向けの戦略人事コンサルティングなど、販売管理の重要性が高まってきています。
創業時からfreee製品を導入しているとのことで、今回、freee販売のデモ版の試用にご協力いただきました。そして、代表の讃岐谷真之さんに、freee製品を導入した経緯や効果、デモ版のfreee販売を使った感想について伺いました。
freeeなしでは、この働き方を実現できていなかった
――御社の事業内容と讃岐谷さんのプロフィールを教えてください。
讃岐谷真之さん(以下、讃岐谷): Colereは、「すべての人に働きがいを / work to live happier」というビジョンの実現を目指して創業した企業です。自分たちが心から働きたいと思える組織や職場を創り、働くことでより幸せに、よりやりがいを感じられる社会を作りたい、というシンプルな想いから出来ました。そのために「信頼で結ばれた組織を創る」をミッションに掲げています。
事業は主に3つ。1つ目は、テクノロジーを活用して組織を良くするプロダクトを開発しています。2022年10月に組織サーベイ seen のβ版をクローズでリリースしました。
2つ目は、中小企業から大企業まで幅広く提供している戦略人事のコンサルティング事業。東証一部のグローバルメーカー、100年の歴史ある地方の優良企業、日本を代表するスタートアップなど、戦略と組織を繋げるお手伝いをしています。
3つ目は、働き方の多様性を促進し、地方に関係人口を増やすワーケーション事業です。社内のメンバーは約8カ国、計30名ほどがリモートワークで一緒に働いており、work in life というコンセプトを掲げ創業時からリモートで仕事をしています。「共通の想いさえあれば、住んでいる場所や働く時間が違っていても一緒に仕事ができる」と、私たちは信じています。
続いて、私のプロフィールは、もともと新卒でリクルートに入り、人事や営業、社長室などの経営管理部門で働いてきたというキャリアです。長期にわたり持続的な成長を遂げる企業では、企業文化は戦略より勝り、またこれからの時代はテクノロジーで世の中を良くすることが出来ることを在籍中に学びました。
その経験をもとに、自分でも世の中を変える革新的なプロダクトやサービスを作りたい想いを持ち、生活の拠点をシドニーに移すこともきっかけとなり、Colereを起業したという経緯です。
――創業時からfreee会計やfreee人事労務を、2021年にはfreee受発注を導入されています。freee製品を選んだ決め手を教えてください。
讃岐谷: フルリモートで、世界中にメンバーがいる当社の働き方や会社組織の作り方は、freeeなしでは実現できていなかったと思っています。
当社は、それぞれの事業の中に小さなプロジェクトがたくさん走っていて、そこに関わるメンバーは住んでいる地域が異なり、フルタイムだけではなくパートタイムの人も多いです。それでも分散的に、これまでになかったような組織の作り方やワークスタイルを実践しながら、ミッションの実現に向けて進んでいくには、freeeが必須でした。
もしfreeeではなく、オンプレミスの会計ソフトやExcel、ス プレッドシートなどで管理していたら、ミーティングで「そもそもこのデータ、正しいんだっけ?」「このデータって古くない?」と、ファクトを疑うところから始めなければなりません。そして、そもそものデータの作り方、情報の定義の仕方などに話の脱線が行ってしまいますよね。freeeで集約されていれば、そういった問題は起きません。
また、freee製品を導入した決め手は、freeeのフィロソフィーへの共感も大きかったです。私たちがプロダクトを選ぶとき、その時点でのプロダクトの評価よりも、企業のフィロソフィーやビジョン・ミッションを重視しています。
なぜなら、企業がどういう想いでプロダクトを開発しているのかが見えれば、その後、どのように成長していくかが見えるからです。freeeはスモールビジネスを支援したいという創業当時からの想いが、強く根付いているのを感じました。
見積作成のプロセスの曖昧さが販売管理における課題
――バックオフィス、特に販売管理について課題はありますか?
讃岐谷: Googleドライブの中が整理されていなかったり、いろいろなSaaSツールを使っていてもそれらが統合されていなくてワークフローが美しくなかったり、ジョインしてくれた人の研修が遅れてしまったりすることが課題です。
販売管理に絞って話すと、請求周りの作業はfreeeを使いつつ、顧客管理は別のツールを組み合わせて使っていました。正直なところ、方法が定まらないなかで、クラウドツールを駆使しながら労働集約でなんとかしてい たのが現状です。関わる人が少なければそれでも問題ないのですが、これから関わる人がさらに増えることを考えると、潜在的な課題が多いと感じました。
例えば、提案から見積もりの作成までのプロセスは曖昧です。提案内容をGoogleドキュメントで作って送るときもあれば、Notionで作ってウェブページとして共有することもあり、さらにはSlackコネクトで会話した内容をそのまま使用することも……。
ストック情報とフロー情報が入り混じって、見積書は散らばってしまい、何がどこにあるのかわからなくなってしまうんです。また、資料のある場所がわかっても、最新バージョンがどれなのかわからないことも。特に当社のコンサルティングビジネスは、単価があらかじめ明確に決まっているわけではなく、取引内容に応じて変動します。その分、バックオフィスのメンバーは苦労していました。
――複数の事業を展開していることによる販売管理の難しさはありましたか?
讃岐谷: ビジネスモデルも、現状のプロダクトステージも全く違うなかで、スタートアップとしてはキャッシュマネジメントをきちんとしていく必要があります。
私一人で売上やキャッシュフローの予測をしている分には、自分だけの尺度と経験値でやればいいのですが、それを経営チームとして共有していかなければなりません。過去に決まった売り上げの数字の管理だけではなく未来の予測をしていくことが必要で、適切な販売管理が求められていました。
――freee販売のデモ版を使 ってみた感想を教えていただけますか?
讃岐谷: お世辞を言うつもりではないのですが「当社のために作ってくれたのか」と勘違いするぐらい、“ハマる”プロダクトでした。
まず大切なことは、オールインワンであること。当社ではfreee受発注を2021年の春頃から導入しています。毎月30名以上の方々から請求が届き、freee受発注を経由してfreee会計にデータを取り込んでいるのですが、freee会計とfreee販売を連動させることで、出ていくお金と入ってくるお金をリアルタイムで一元管理できるのは、非常に便利ですね。原価率をきちんと見て管理していかなければいけないフェーズの事業があるなかで、ミスがなくなり、業務効率が上がっている感覚を持ちました。
また、UIが直感的で簡単なのも魅力です。領収書を処理しているような感覚で販売管理をすることができるところがユーザーフレンドリーですね。何か難しい説明やチュートリアルを見ながら覚えなきゃいけないツールではないので、経営チームで共有しやすいのはもちろんのこと、カフェのアルバイトの方もすぐ簡単に操作ができました。
バックオフィス業務を楽にして、一人ひとりの力を最大限引き出す
――今後の展望について教えてください。
讃岐谷: 創業時から「シンプルに、最大の価値を出す」という意味の「Less is more」をコアバリューのひとつにしています。組織が広がって売り上げや社員数が拡大していっても、シンプルかつスピーディーなバックオフィスであり続けたいと思っています。
そのことによって、一人ひとりのプロフェッショナルな部分を最大限引き出すことにつながると思っているからです。本業とは別の「見積もり」や「請求」、「精算」といった間接業務をいかに楽にしてあげられるかが大切です。
freee販売を他のfreee製品と一緒に活用して、自分たちの業務の正確性と生産性を上げられるようチャレンジしていきたいです。
――最後に、freee販売の導入を検討している企業の方々に向けてメッセージをお願いします。
讃岐谷: 私たちのように創業して間もない会社で、組織拡大して成長していきたいと思っている会社は、組織の拡大フェーズに合わせてワークフローを設計していかなければなりません。「餅は餅屋」で、自分たちよりもfreeeさんのほうが絶対にワークフローについて考えている。だから、その人たちの努力の結晶に私たちは乗っかることが極めて合理的で正しい判断ではないかと思っています。
freee販売で設定されているワークフローに従って業務を進めれば、そこは洗練されていて、シンプルです。「自分たちの業務にfreeeをどう合わせるか」ではなくて、「freeeのワークフローに自分たちの業務をどう合わせるか」だけを考えればいいと思える、絶大な信頼感がありました。むしろ導入しない理由がないのではないかなと私は思っています。
(取材・執筆:遠藤光太 編集:ノオト)