マーケティングのコンサルティング事業をグローバルに展開しているアウンコンサルティング株式会社。決算や経費精算のほかにも、上場企業として必要な監査対応など、多くの業務がありますが、効率化できていない課題を抱えていました。
freeeとkansapoを導入することで 、どのように業務を効率化していったのでしょうか。また、効率化したことで新たにできるようになったこと、今後の展望はどんなことでしょうか。同社執行役員の高橋重行さん、田尻愛さんに伺いました。
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「経理の業務ってこんなに大変なんだな」
――貴社の事業内容と、お二方の業務内容を教えてください。
高橋重行さん(以下、高橋) 当社はSEOやリスティング広告などウェブマーケティングのコンサルを行っている会社です。日本だけでなく海外にも展開しており、現在はフィリピン、タイ、ベトナム、シンガポールに4拠点、国内では東京と沖縄の2拠点で運営しています。
私は管理部門の執行役員で、営業系以外の間接部門全般の責任者です。経理・法務・総務・人事・秘書・システム関連を見ている状況です。
2009年4月入社で、もともとは営業として入社しました。新規営業をメインでやっておりまして、その後に営業管理の仕事をした後、タイに出向しています。日本に戻って来た後は、マーケティングコンサルタントを半年経験してから、2013年12月から管理部門に移りました。
田尻愛さん(以下、田尻) 私は経理のリーダーを務めています。2016年11月の入社当初は沖縄で仕事をしていましたが、現在は福岡に住んでいて、リモートで働いています。
――経理業務にはどんな課題がありましたか?
田尻 私は経理の経験がほぼない状況で入社したのですが、当初は作業の効率化ができておらず、「経理の業務ってこんなに大変なんだな」と思いながら働いていました。
上場企業であり、内部統制や監査対応などで作成する書類の枚数は多かったです。また、会計ソフトと伝票などの証憑が紐づいていませんでした。それらを整理するために採番するなど、とにかく工数がかかっていました。
高橋 経理担当1人ひとりに業務が紐づいていて、属人的な業務が多かったです。産休・育休などのライフイベントがあったときにバックアップが効かないのは、経営側の課題でした。
また、監査法人とのコミュニケーションに時間がかかる課題もありました。例えば、メールのやり取りなどの本来重要ではない業務で、社内の経理担当や監査法人側も時間を要してしまって……。そういった業務が増えるほど残業が増えてしまうので、担当者を増やさなければなりませんでした。
田尻 一時期は資料の受け渡しもメールで行っていたので、メールの件数は四半期決算のたびに100件以上。資料の最新版を探すのも大変で、無駄な時間をかけていました。また、どこかひとつ修正が入ると、ほかの資料にも戻ってやり直さないといけませんでした。
「作業の自動化」と「セルフサービス化」を目指して
――freeeを導入することになった理由は何でしたか?
高橋 まず会計システムをオンプレ型からクラウド型に変えたいと考えていました。以前はオンプレ型だったので、リモートワークには不向きでした。田尻はコロナ禍前からいち早くリモートワークを行っていましたが、毎回会社のサーバーで作業しなくてはいけないので、動作の遅さなどでストレスがかかっていました。
それから、一部の業務を切り出して外注する方法を検討したとき、オンプレ型だと引き受けてくれる会社が少なかったです。
業務改善の方向性としては、「作業の自動化」と「セルフサービス化」の2つだと私は考えています。手作業でやっていたものを自動化し、経理の業務を場所的にも時間的にも一極集中させず、「自分でやれる人はやったほうがいい」という考えです。
例えば、銀行の窓口とATMのようなイメージで、窓口に行くと人が動いて処理しますが、今は振り込みも引き出しもセルフでATMを操作してできますよね。経理でも同じように、セルフサービスでできないかな、と考えていたんです。営業の社員がもし仕訳を理解していなくても、取引を元にスムーズに入力ができて、自動的に仕訳に流れていく仕組みを求めていました。
いくつかのサービスを比較検討したなかで、freeeとkansapoがそれらを満たしてくれると感じ、導入しました。
――導入はどのように進めましたか?
高橋 2019年の8月から業務フローの見直しを始めて、できあがったのが2020年のはじめでした。そのタイミングでfreeeとkansapoの導入を決定しました。経理はすんなりと移行できていたのですが、その他の契約管理や顧客管理も同時に進めていたため、経理以外で時間がかかり、本稼働は2021年6月です。現在、導入1期目です。
――導入時に苦労したのはどんな点でしたか?
高橋 旧システムに入っている情報が何年も整理されていない状況で、半角・全角がバラバラだったり、使っていないタグが大量にあったりしたのは大変でした。freee導入のタイミングで見直して、本当に必要な部分だけをfreeeに移行しました。
田尻 正直、私もわからないようなタグがいっぱいありましたね……。見直しの作業は大変でしたが、今回整理できたのは結果的には良かったです。
高橋 それから、会計システムのリプレイスは新旧システムを並行稼働させて確認する期間があります。旧システムだけでもギリギリで回っているのに、さらに工数が乗っかってくるのはなかなか大変でした。
私たちは今回、適切に外部の力を借りたのが成功した要因だと思います。アドバイスをいただいたり、作業系の業務を外の会社にお願いしたりして、なるべく経理に負荷がいかないように工夫しました。
支払業務は6〜7割の工数削減を実現
――freeeとkansapoの導入前後で、どんな変化がありましたか?
田尻 ほとんどミスなく月次を締められるようになりました。以前は数値が全て確定したあとに帳票を全部出して、チェックしていました。
現在では、まず月次の数値が確定しそうになったときに、kansapoに同期をして、税区分や残高などのチェックを行っています。そこで気になる部分があれば、freeeに戻って修正しているので、締めの精度が上がっています。一度、仕訳の設定をしてしまえば、コピーして使うこともできます。
また、支払業務も非常に楽になりました。先ほどもお話ししましたが、以前は申請書類が帳簿に紐づいていないということがあって。支払業務では、請求書をひとつずつ転記して銀行振り込みデータを作っていたんです。しかし、freeeを導入してからは現場社員からの申請のタイミングで入力してくれるので、入力に関して私たちが行うのは転記ミス、金額ミスの確認だけです。
以前は支払前の入力で約10時 間、その後の振込データ作成で約10時間と、計20時間ほどかかっていたのが、数時間になりました。支払業務に関しては6〜7割の工数削減ができています。
高橋 監査対応の負荷も大幅に減りました。freeeとkansapoの導入後は、メールではなく、クラウド上に最新版の資料を格納し、連絡し合っています。監査期間は月次の締め作業と重なることもあり、どうしても残業しなければいけないときもありましたが、今はほとんどしていません。
また、直接聞いたわけではありませんが、監査法人側からしても「資料を依頼しなければいけない」「探さなければいけない」「修正が入ったら資料を全て見直さないといけない」などの工数が削減されているはずです。
本来議論しなければいけない、「正しく会計処理が行われているか」の部分に時間が使われているので、監査法人側にもメリットがあったのではないかとも思います。
――業務を効率化できた分、新しくできるようになったことはありますか?
高橋 毎月、月次の精度を高めることができています。以前は、決算や月次のときに出た課題を、改善する余裕がなく、また翌月以降に同じ課題を繰り返していました。しかし、freeeとkansapoを導入してPDCAが回るようになり、毎月良くなっているのを実感 できています。
田尻 以前は、決算整理で論点になりそうな部分はわかっていても、そこまで手が回らなかったんです。例えば、新しい会計処理が出てきた場合に、わからないままでなんとか決算に間に合わせて処理していくのと、学習したうえで「私なりにこう処理してみたのですが、間違いないですか」と進められるのとでは大きな違いがあります。月中の空いている時間などに前もって準備できるようになったのは大きくて、その分、監査法人との連携も良くなりました。
会社の資産を増やすバックオフィスへ
――最後に、バックオフィスについて今後の展望をお聞かせください。
高橋 私はバックオフィスをコストセンターだと思っていません。一方で、直接収益は生み出せないので、プロフィットセンターでもありません。では、バックオフィスの役割は何かと言うと「会社の資産を増やす」「価値を高める」ことだと考えています。
例えば、採用は「会社の資産を増やすこと」です。さらに教育して、スキルを上げることで、「資産を増やす」、「価値を高める」ことにつながります。
業務フローを構築することもそうです。freeeやkansapoを活用し、適切な業務フローを構築することは、会社にとって活用できる資産や価値が増加します。バックオフィス全体として、今後も資産増加、価値向上に寄与し続けていきたいと思っています。
今回、会計システムを入れ替えるにあたって、5年くらいあとに“いい感じ”になることを見据えています。だから、いまが100点満点だ とは思っていません。freeeはアプリ連携が豊富で、会社の状態によって柔軟に組み換えることができるのが良いと思っていて、生かしていきたいです。
今の人数を増やさずに、売上が10倍になるまでは対応できるよう挑戦していきたいと考えています。「作業の自動化」と「セルフサービス化」を進めることで、「あとは売上どんとこい」と言える体制にしていきたいですね。
(取材・執筆:遠藤光太 撮影:藤原慶 編集:ノオト)
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