長野県長野市に事務所を構える税理士法人青葉会計。その代表社員を務める平井幸光さんに、主として「繁忙期にfreee習熟プログラムを受講した理由」についてお話を伺いました。
長野県には約900件の会計事務所があり、freeeを使っているのはそのうちの30件ほど。クラウド型の会計サービスを求める経営者にとって、freee認定アドバイザーは希少価値が高く、平井さんはfreeeを使うことで他事務所との差別化に成功。"付加価値の高い記帳代行"の提供を目指す青葉会計の取り組みをご紹介します。
業務効率を飛躍的に高めたfreee
――貴事務所の成り立ちについて教えてください。
平井幸光さん(以下、平井): 私はもともと個人事務所として一人で税理士業務をやってきたのですが、仲の良い先生に「一緒にやらないか」と誘っていただき、その先生の事務所に入りました。その後、同じ事務所で働いていた同僚の税理士に声をかけ、その同僚と二人で平成30年10月1日に税理士法人青葉会計として法人化しました。
――貴事務所の強みを教えてください。
平井: 当事務所は金融機関からお客様をご紹介いただくことが多い関係もあり、経営改善計画など、中小企業の立て直しをお手伝いできる点がストロングポイントだと思っています。ひと言で表すなら財務コンサルティングに強みがある、ということです。
――freeeを知ったきっかけと、その時のfreeeの印象を教えてください。
平井: freeeを知ったのはかなり早く、12年前だったと記憶しています。自動で仕訳をするソフトやサービスが他にはなかったので、freeeが普及するとすごいことになると思いました。一方で、会計の知識があると逆に使いにくかったので、会計事務所には広まっていかないんじゃないかとも思いました。その予感は見事に外れ、現在に至っているわけですが。
――なぜfreeeを導入しようと思ったのですか?
平井: freeeを使うお客様が増えてきたので、自分もやっておいたほうがいいと思った からです。
――freeeを導入する前に、何か課題はありましたか?
平井: freeeはいち早くクラウド化したサービスなので、お客様のところに行かないとわからない問題が容易に解決できるようになりました。
インストール型のソフトでは、ほんのちょっと直したいだけなのに、いちいちお客様の元へ行かなければなりません。これは非効率的だと思っていたので、freeeに変更したことで移動時間を削減でき、業務の効率が大きく高まったと思います。
繫忙期にプログラムに参加した理由
――平井さんは繁忙期にもかかわらず、弊社がfreee導入をご支援する「freee習熟プログラム」を受けています。なぜそのタイミングで受けたのでしょうか?
平井: なるべく早くやったほうがいいと思ったからです。私は良さそうなものがあると、すぐに試すタイプなので。そして実際に参加してみると、freeeのプログラム自体が事務所の業務効率化などにも役立ちそうだと思いました。
――プログラム中に病気になられ、頓挫しかけたと伺いました。
平井: はい、2022年11月に子供が罹患したものが私にうつりました。のどの痛みなどがあり、具合がだいぶ悪くなりました。ただ、始めたものは終わらせなければならないと思い、最後までプログラムを受けることにしたのです。
――繁忙期にfreee習熟プログラムを受けて良かった点と大変だった点を教えてください。
平井: 良かったのはfreeeについて体系的に学べた点です。お客様ごとにどんな書類が必要か、といったことを示すシートがありまして、それらの使い方を教えてもらったこともありがたかったですし、要点をまとめた動画なども役に立ちました。
大変だったのは宿題です。プログラムの中で課題を出され、いつまでにやっておかなければいけないというものがありました。宿題をやらないと次のプログラムの意味がなくなってしまうので、そこは苦労したところです。
――東京・大崎にあるfreeeの本社にも行かれたとお聞きしました。
平井: 横浜にお客様がいらっしゃいまして、そこを訪問したついでに大崎まで足を伸ばしました。Webで面談するよりも、直接お会いして話したほうがいいと思ったのです。
地方でfreeeを使えることのアドバンテージ
――顧問先へのfreeeの導入はどのくらい進んでいますか?
平井: freeeの導入先は現在、10件です。freeeが定着するスピードはお客様によってまちまちです。ほんの少し教えただけでできてしまうお客様もいれば、こちらがある程度作り込まないとできないお客様もいます。その差は、freeeに対する考え方の深さの違いによるものだと思います。
「あくまでも収支で考えるんですよ」とお伝えしても、収支の意味が分からない方もいらっしゃいますし、中途半端に簿記を学んでいるとなおさら分からなくなってしまいます。知識が何もない方のほうが、むしろやりやすいと思います。
――今現在、freeeへの乗り換えは、自計化の先と記帳代行の先ではどちらが多いですか?
平井: 多いのは自計化です。記帳代行のお客様は一部の記帳を請け負っている先が1件あるだけで、他の9件は自計化です。記帳代行のほうは、今後やるとすればインターネットバンキングと同期してもらい、「あとはこちらでやります」と言えるお客様か、あるいは仕訳のデータと写真を紐づけられるお客様だと思います。
最初に徹底的に教えて差し上げれば、記帳代行もそのあとはスムーズに行くんじゃないかと思っています。記帳代行についても、遠からず本格的にサービスを始める方針です。
――freeeのスタッフの応対はいかがですか?
平井: 当事務所の担当の方が、自動登録ルールの設定や取引テンプレートの作り方などについて丁寧に教えてくださいました。私自身も知らないこともあったのでとても感謝しています。
――長野県という地域でfreeeを使えることにチャンスを感じていますか?
平井: 長野県には約900人の税理士がいて、そのうちfreeeの認定アドバイザーの数は30件未満だと聞いています。freeeを使える税 理士には希少価値があり、クラウド型のサービスを求める経営者にとっては圧倒的に有利です。
――今後の目標を教えてください。
平井: 記帳代行は付加価値の低いサービスだとよく言われますが、そんなことはないと思っています。確かに経営改善計画や収益力向上計画など、国から補助金をもらえるサービスもあり、1回やるごとに数十万円から百万円程度いただけます。
それはそれで付加価値の高い業務なのかもしれません。ただ、私が思う理想的な会計事務所は、毎月きちんと稼げる記帳代行を他の事務所の倍のスピードで行い、みんなで早く帰宅できる事務所です。私たちの記帳代行を付加価値の高い業務だと言っていただけるように、業務の質とスピードを高めていきたいと思っています。
そのためには従来からあるソフトではなく、freeeのようなものが必要になります。今後もfreeeを活用しながら記帳代行の質とスピードを上げていきたいと思います。
freeeを使うことで、付加価値の高い記帳代行を目指している青葉会計。アーリーアダプターを自認する平井さんの指揮のもと、得意とする財務コンサルティングに加え、freeeによる記帳代行で他事務所との差別化に成功しています。
繁忙期にもかかわらずfreee習熟プログラムに参加したことで、より良いサービスをいち早く打ち出せる体制を構築。freeeを使った二倍速での記帳代行で、他事務所との差別化をますます確かなものにしていきます。