創業時から使える!?スモールビジネスをサポートするfreeeのクレジットカード誕生まで
昨年2017年9月、freeeはライフカード様と共同で、スモールビジネス向け事業用クレジットカード「freeeカード」をリリースしました。創業当時から、「スモールビジネスに携わるすべての人が創造的な活動にフォーカスできるよう」というミッションを掲げてきたfreee。
そのfreeeがクレジットカードを発行することの意味とは?
プロジェクトチームに話を聞いてきました。聞き手はPRチームより辻本が担当します。
メンバー紹介
深谷良治 Fukaya Ryoji
前職は銀行等の買収を専門的に行う金融系ホールディングス会社。従来中小企業の内部にしかなかったナマの会計データをリアルタイムに活用できるfreeeのプロダクトを知り、会計データ×ファイナンスの分野に未来を感じて2016年12月freeeに入社。現在金融プラットフォーム事業部にて事業開発を担当。freeeカード最初の立役者。今年の目標は「太ってきたので...」ということで1年間で1,200kmを走りきること。
佐々木駿 Sasaki Shun
前職は楽天株式会社でECCとして、中小企業向けに売上向上のコンサルティング・広告営業等を担当。ゼロから成長していく中小企業のおもしろさにハマり、もっとお金の流れに関わりたいと考え2016年1月に入社。freeeでは小規模法人向け営業、税理士・公認会計士向け営業、個人事業主向け戦略マーケティングを担当したのち、金融プラットフォーム事業部にて事業開発を担当。深谷とともにfreeeカードローンチまで最初期を担当。プライベートでは中学時代から剣道を続けている。
木本俊光 Kimoto Toshimitsu
前職は外資系広告代理店でIT系ソフトウェア会社を担当。プロジェクトの立ち上げ支援を続けるなかで自身で意思決定できる仕事を求めて転職。複数社からオファーがあったが、その中で「入ったら自分がやりたい・やれること」が100個を超えたfreeeに2016年3月入社。freeeでは税理士・公認会計士向けマーケティングを担当ののち「freee会社設立」のマーケティング兼事業戦略兼PM(プロダクトマネージャー:プロダクトの方向性、機能などの責任者)をし、今年2月からfreeeカード担当。3歳と1歳の姉妹の父親。週に3日は保育園の送り迎えを担当するため時短ハックを試すのにハマっている。
"ナマ"の会計データを持っているfreeeだからこそできること
辻本「本日はよろしくお願いします。freeeカード、リリース後半年経ちましたが、反響はどうですか?」
深谷「リリース以降継続的にお申込みもいただいていて、手応えを感じています」
辻本「リリース当初もけっこう話題になりましたが、その後もTwitter等で取り上げられているのを見かけます。そもそもfreeeがクレジットカード作ろう!となったきっかけって何だったんですか?」
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THE
BRIDGE「会計ソフトのfreeeが事業用の提携クレジットカードの発行を9月より開始、会計情報を元に審査実施」
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TechCrunch「freeeが事業用クレジットカードに参入、スモールビジネスのキャッシュレス化促進へ」
深谷「freee(ここでは「クラウド会計ソフト
freee」のこと。以下、freee)のプロダクトの価値は、情報を自動で取り込むことができること。ただ、そのためには取引情報が電子化されている必要があります。銀行についてはインターネットバンキングがある程度普及しており、キャッシュレスでの取引情報があります。クレジットカードも、とくに法人決済の部分でもっと普及していけば、よりfreeeのプロダクトとしての価値も向上できるのではないかという仮説がありました」
※事業用クレジットカードの利用率は、中小企業・個人事業主において3割に満たない(
2016年12月 ビザ・ワールドワイド)
深谷「未上場の会社の財務データって、加工前のものはfreeeがリリースされた2013年3月以前には決して見ることができなかったんですよね。年に1回の決算書で、整理された情報として出されるだけだった。でもfreeeのようなクラウド会計ソフトには、各社の"ナマ"の会計データがリアルタイムに蓄積されている。これを使って、いわゆる与信の枠を設定することが可能ではないかと考えました。同時に、個人事業主・中小企業のバックオフィスの効率化にもつながります」
辻本「なるほど。与信枠の設定ということなら、融資といったサービスもありえたのでは?」
深谷「もちろん考えました。でも融資って貸出期間が1年間とか、freeeのデータがあったとしても金融機関がお金を出す判断をするにはハードルが高いんです。よりライトな方法はないかなと考えていて、クレジットカードは月毎に残高クリアになるのでカード会社としてもリスクは低いかなと」
辻本「たしかに。カード会社としてはリスクを抑えつつ、スモールビジネスとしても資金繰りをよくできる仕組みということですね」
申し込みをオンライン完結にしてスピーディな審査・利用開始を実現
辻本「具体的にリリースに向けて動き出したのはいつ頃ですか?」
佐々木「リリースの3ヶ月くらい前です。5~6月くらい。もともとクレジットカードとfreeeの親和性について仮説はありましたが、前職で金融関係の内情を知っている深谷さんが入社して一気に加速しましたね」
辻本「2017年7月から事前申し込みの受付を開始しましたよね?検討開始からリリースまで、けっこう短期間で走り抜けた感じですね」
辻本「大変なことはありましたか?」
深谷「情報の受け渡しをどうやってやるかですね」
辻本「クレジットカードの審査情報ですか?」
深谷「そうです。大量の顧客情報、しかも審査に関わるような重要情報をどうやって安全に受け渡して顧客管理のシステムに登録するか。最終的にはfreeeの提供するデータ受け渡しサービスを活用することになったんですが、セキュリティ要件を満たすために苦労しました。事前にテスト用のデータを受け取ってスムーズに登録できるか、リリース直前まで試しましたね...」
辻本「freeeカードは申し込みもオンラインだけですよね」
深谷「はい。そこもライフカードさんと一緒にこだわって、freeeのためにシステムを作っていただきました。普通ビジネス用のクレジットカードって、申し込みとか審査で必ず紙のやりとりが入るんですよね。でも、中小企業の人たちって毎日本業で忙しくしているので、思いついたときに申し込んでも、そのあとのやりとりが難しかったりする。freeeカードはオンラインで情報を入れて申し込んでもらって、審査さえ通れば最速4営業日後にカード本体が届きます。この"オンライン完結"と"スピード感"にはかなりこだわりましたね」
佐々木「あとは特典もけっこう苦労しましたよね」
深谷「そうそう。やっぱり、freeeカードを使ってくれる人に喜んでもらえて役に立つような特典をつけたいと思ったんですが、ポイントだともう楽天ポイントとか他社が提供しているものに勝てないんですよ。それで、改めてfreeeカードが対象とするような創業期、スモールビジネスの方々がほしいような特典は何かと考えました」
佐々木「特典提供に際しては、ご協力各社の方々に、中小企業支援を通した日本の生産性向上といったfreeeが抱いている課題感にも共感いただいています。もともと個人事業主向けチームのときにお付き合いのあったところなどにご協力いただいていて」
辻本「なるほど。リリース後の反応はいかがでしたか」
深谷「メディアにけっこう取り上げていただきましたね。それを見たStripe社の小島様から当社CEOの佐々木に連絡があって、リリース翌日にStripe社主催の法人決済をどう改善していくのかといった発表会に呼ばれて行ったり(笑)。反響は大きかったですね」
クレジットカードがもっと普及してキャッシュレス化が進めば、社会全体のコスト削減になる
辻本「事前申し込み開始のタイミングでは、わたしはまだ入社していなかったのでfreeeの知り合いは少なかったのですが、そのなかでもFacebookやTwitterのタイムラインで話題になっていた記憶があります」
佐々木「freeeカードに関しては、ほとんどマーケ・広告施策は打っておらず、PRだけなんですが、それでも毎月数百件ペースでお申込みいただいていて、関心の高さを感じます」
深谷「事前申し込みを7/24から開始して、その日だけで申し込みが200件くらい入りましたね。プレスリリースにしかそのURLは貼っていなかったのに。スプレッドシートがどんどん埋まっていって、あれは興奮したなー(笑)」
辻本「freeeカードがゼロからイチの事業として立ち上がって、今後は木本さんのもとで拡大していくことになりますが、今の想いはどうですか」
佐々木「期待大ですね。freeeカードは、創業期の人でもライトに始めることができる(※。
金融プラットフォームになっていく可能性を秘めていると思っています」
※クレジットカード会社による審査あり
深谷「会計データを活用して、お客様にサービスの形で還元する。融資も含め、そういうケースが増えていくことが、すなわちクラウド会計、freeeを使うメリットが増えていくことになります。日本のビジネスではまだ半分以上が現金取引といわれ、銀行の現金取扱コストだけでも2兆円とも言われます。クレジットカードがもっと普及してキャッシュレス化が進めば、そのコストを低減してその分を他にまわしていくことにもつながります」
上記のとおり、freeeカードは事業開発チームの1プロジェクトから1つの事業として独立しました。今後、freeeカード事業の拡大を担当する木本。その意気込みは。
freee開業応援パックにも通底する、特典提供へのこだわり
辻本「木本さんといえば『freee会社設立の人』というイメージでしたが、freeeカードにも関わっていたんですね」
木本「元々、『freee会社設立』のほうでライフカードさんとはおつきあいがありました。『freee会社設立』は画面の指示にしたがって必要情報を入れていくだけで、会社設立書類の作成ができるという無料プロダクトなんですが、その入力情報を使って銀行口座や法人用クレジットカードの申し込みもできるように実装していました。それで法人用クレジットカードのニーズは一定数あるということがわかっていて、そこに深谷さんが入社して、より便利なクレジットカードを作ろう!という流れになりましたね。あとは、『freee 開業応援パック』(以下、「応援パック」)を作ったときに、そちらでも色々な会社さんにパック利用者への特典提供をお願いしていて、freeeカードにも特典をつけるということで、お互いに連携して進めました」
辻本「特典のところは、freeeカードでも難儀したと聞いています」
木本「応援パックもfreeeカードも、ターゲットとなるのは小規模事業者、言ってみればまだ資金が少ないところが多い。一方で、多くの会社は小規模事業者よりも、もっと資金がある大きい企業と取引をしたいと考えるのが当然ですよね。今回、小規模事業者に向けての特典、つまり通常より良い条件でのサービス提供をお願いするということで、条件の検討や交渉は非常に時間をかけましたね。実際に申し込みがあるかはやってみないとわからないが、もし向いている方向が同じなら協力してもらえませんか?という話をして、共感いただけた各社のみなさまには本当に感謝しています」
辻本「freeeカード担当になって、何をやろうと思っていますか」
木本「freeeカードのリリース当時、こういうことできるんじゃないか?というアイデアを3時間くらいでばばばっと出したことがあるんですが、そういうものを着々と実行していこうかと」
辻本「あれ?そのときって全然freeeカードの担当じゃないですよね?」
木本「そうですね。でもブレストついでに作っちゃった。そういうところで、何やるかはわかんないけど何かやりそう、という期待をされたのかなと思います(笑)」
辻本「なるほど。最後に、今後に向けての意気込みをお願いします」
木本「大きく2つあります。まずは、事業用にクレジットカードを使うことで資金繰り上、メリットがあることを知ってもらいたい。クレジットカードを使うと、購入はその場でできますが支払タイミングは翌月とか、後のタイミングにできるため、資金繰りを良くするために使われる手段になります。創業時でも審査できるfreeeカードによって、多くのスモールビジネスの資金繰り改善のきっかけになれば嬉しいですね」
辻本「たしかに、freeeカードのプレスリリースにもあるとおり、そもそも事業用クレジットカードという選択肢を知らないことが普及率が低いことの一因でもあるので、知ってもらうことは必要ですね」
木本「もう一つはキャッシュレスの推進です。現金でのやり取りは様々なコストがかかるので、より無駄なコストを削減することに貢献できればと思っています。freeeの利用者でも、クレジットカードを利用していない方もいるため、キャッシュレス化によってコストを下げつつ作業を効率化することで、もっと多くの利用者が本業にフォーカスできるようになればいいなと思っています」
辻本「今後のさらなるパワーアップ、期待しています。本日はありがとうございました!」
本記事に関するお問い合わせ先
freee株式会社 PR
宛先: pr@freee.co.jp