社員の努力を見える化。freee工数管理でつながった研究成果と事業成果。

オリシロジェノミクス株式会社

課題
工数管理

2018年設立のオリシロジェノミクス株式会社。工数管理に関しては、もともとカレンダーに作業予定を入力するだけで、実績の確認・集計は行っていませんでした。


しかし、リソース状況が把握できていないために依頼を断れず、納期が厳しいプロジェクトに対応して残業が多くなる社員がいたことをきっかけに、工数管理の必要性を感じ、freee工数管理の導入を決めます。


バックオフィス業務全般を担う水野さんと、現場でプロジェクト管理を担い、自身も工数を入力しているという亀井さんに、初めての工数入力を定着させるために行った工夫や、工数管理によって生まれた変化や成果についてお話を伺いました。



事業について

オリシロジェノミクス株式会社

ゲノム技術を武器に、研究用試薬の製造・販売や受託開発を展開

水野さん(以下、水野) 当社は、合成生物学産業の可能性を解き放つセルフリー(無細胞系)による長鎖DNA合成技術を基とした事業を手掛けている企業です。2018年に設立されて、本社は東京大学本郷キャンパス内にあり、大学や民間企業の研究機関で使用される研究用試薬の製造と販売、受託研究事業を事業の柱としています。当社の技術は、生命の設計図であるDNAを操作する、具体的にはDNAの断片を連結したり、輪っか状のDNA(環状DNA)増やしたりできるものです。DNAの断片をECサイトで簡単に購入できる時代ですが、そのままでは使えないため、生物の組織の中に入れて役割を果たすようにしなければいけません。そのための技術を当社が持っています。セルフリーでDNA断片を連結する技術を持っているのは海外を含めても数社になりますが、環状DNAをセルフリーで増幅する技術をもっているのは当社のみになります。また、研究者向けキットを製造・販売しているものの、高度な作業が必要なものは誰もが即座に作成できるものではないため、難易度の高いものは「このようなDNAを作ってください」とお客様から要望いただいた設計図に従って、受託し、納品しています。私はバックオフィス業務全般に関わっており、亀井は研究開発や受託案件に従事しながらプロジェクトを管理する役割も担っています。


freee工数管理導入前の経理業務 /freee工数管理導入のキッカケ

オリシロジェノミクス株式会社

工数管理が未実施で担当者の稼働状況が見えないため、納期や利益を考慮した案件受注に課題があり、freee工数管理を導入



ーー工数管理ツールの導入を検討したきっかけについて教えてください。

水野 freee工数管理導入前は、工数管理を行っていませんでした。各自がカレンダーツールに作業予定を入力しているものの、作業実績を確認する方法は無いままだったのです。そのため、誰がどのプロジェクトのどの作業にどれほど時間を掛けたのかがわかりませんでした。工数管理を行っていなかったがゆえに、現場では困ったことも起きていました。詳細な作業工数が見積もれない状況で、お客様に「納期2ヶ月」を約束する案件を獲得した際に、プロジェクト担当者が「これは本当に2か月でできるのか?」と戸惑ったこともあったのです。なんとか納期に間に合わせようとした結果、担当者の残業時間が多くなってしまった時期もありました。このような背景から、作業工数やリソース状況を見える化して、手元に判断できる数字を置いて、「この案件が受注できるのか」や「納期までに間に合うのか」、「受注後、利益がいくら出るのか」を判断できるような、プロジェクト全体の工数をを考えた上で案件獲得を出来る体制を作っていく必要があると感じてていたのです。また、本格的にIPOを意識して準備を始めたタイミングだったため、監査法人から「工数管理や原価管理をしっかり行って下さい。また新収益認識基準も意識して下さい。」と指導されたこともきっかけとなりました。


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亀井さん(以下、亀井) 営業から「この金額で受注してきました」と連絡を受けた案件がありました。その金額は宣伝と、次の受注を見込んだものでもあったので、現場にとってはギリギリの状況でした。ただ受注した以上赤字にならないようにしなければと、焦りながら取り組みました。掛かった工数を後から計算してみるとなんとか利益は出ていたものの、継続的に利益を出すことができるような仕組みを整備するためにも、工数管理は必要だと現場側も感じました。



ーーfreee工数管理を導入した決め手を教えてください。

水野 ちょうど当社で検討を始めた時期に、freee工数管理がローンチされました。freee会計やfreee人事労務を利用していて、安心感があったことが大きな決め手です。定期開催されているウェビナーに参加して概要や操作感を確認したところ、freee勤怠の出退勤時間が自動連携され、工数登録が実施出来るため、当社で活用できそうと感じ、導入を決めました。

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freee工数管理導入後の効果

プロジェクトの収支や工数を見える化して、従業員の貢献を数字で示すことができるようになった

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ーーfreee工数管理を導入した後、現場で工数入力を定着させるためにどんな工夫をしましたか

水野 今まで工数管理をしていなかった分、「手間が増えて面倒」だと思われるのは当然なので、工数入力をすることでどんなメリットがあるかを説明しました。伝えたのは、「仕事をこれ以上引き受けることができない理由があるなら、freee工数管理で見える化しましょう」ということです。何に対してどれくらい時間を使っているのかが把握できていないと、ついつい来た仕事を次々と引き受けてしまうものです。それでは残業続きになり、体を壊してしまいます。それでは仕事が続きませんし、お客様はもちろんのこと、プロジェクト担当者や営業担当者、また管理部門といった社内関係者にとっても良いことは有りません。工数を入力して見える化することができれば、リソース状況が把握できて今後の予定の見通しも立ち、「どのくらいの時間なら自分が稼働できるか」や「この期間の稼働は難しい」ことを根拠に基づいて説明できると思ったため、そのメリットを伝えました。

亀井 私は現場でメンバーの工数入力を推進する立場です。当社にはこれまで大学等で研究をしていたメンバーも多かったので、「企業人として、freee工数管理を使った工数入力を身に付けてください」とお願いしました。とはいえ、私も初めての工数入力だったため、初回は全員でパソコンの前に座って一緒に工数を入力していきました。工数入力が難しくないこと、それほど入力に時間が掛からないことが伝わったようで、すんなり取り組んでくれるようになりました。



ーー導入後、実感している効果について教えてください。

水野 工数管理を実施することで従業員の稼働時間が見える化されて、各プロジェクトでどれほどの利益が出ているかが可視化できるようになりました。「難しいことや新しいことに取り組んだ上で、しっかり利益を出すことができています」と数字で従業員の頑張りや成果を示せるようになったことで、従業員が正しく評価されやすい土台が整ったように思います。また、共通化することで効率化できそうな仕事が見えてきたり、多くの時間が掛かっている作業についてはシステム導入で解決できることなのか、メンバー増員によって解決できることなのかを議論できるようになったりするなど、現状を見直すきっかけにもなっています。細かい機能面では、freee工数管理で付けたプロジェクトコードがfreee会計に反映されて、freee会計上でプロジェクトごとの費用を集計することができる点は便利に感じています。

亀井 工数や掛かった費用を入力していった結果、過去のプロジェクト内容を客観的かつ正確に振り返ることができるようになりましたし、このようなデータを蓄積していくことで、営業側にも高い精度を持った見積もりを提示することが可能になりました。また、似たタイプのプロジェクト実績を参照して、前回の経験値や反省を生かすことで、前回よりぐんと利益が上がった案件もあります。プロジェクトごとの利益が可視化されたことで、メンバーの事業・会社への貢献を数字で測ることができるようになり、皆も、特に私は非常に喜んでいます。利益を重視する思想とその管理方法に戸惑いがあったり、「利益を確実に出すこと」に対して不安を持つして不安を持つメンバーもいたのですが、可視化されて「利益が出た」という事実を得たことで、メンバーに自信も付いたのではないかと思います。



今後の展望

工数管理によって、プロジェクトの継続・撤退の判断材料ができる

オリシロジェノミクス株式会社

ーー今後の展望について教えてください。

亀井 今は研究用試薬という、実験に使用するための製品を提供させて頂いているのですが、今後は医療現場で実際に使われる製品開発も手掛けていきたいと思っています。そのためには、製品の品質、安全性や有効性がこれまで以上に求められるからこそ、freee工数管理を利用してしっかりとプロジェクトをコントロールして、体制を整備していけたらと考えています。また、工数入力・工数管理を行うことで、マネジメント側が「プロジェクトを続けるか、それとも止めるか」を決断しやすくなると思っています。リソースが有限であり、利益を出さないといけない企業体でありながら、どうしても思い入れのある案件を手放せずずるずると続けてしまうこともあるものです。そんな時に、工数表が賢明な判断をするための判断材料の一つになると考えています。

水野 革新的なDNA技術を提供する企業として世界的なトッププレーヤーになるためにも、通過点としてIPOを目指しています。IPOを目指す過程では、しっかりとした企業体を作っていかなければならず、プロジェクト管理は非常に重要です。まだまだ組織が小さく、マルチタスク状態の従業員も多いからこそ、しっかりと工数管理を行い、現状を把握して改善しつつ、安定的に企業が成長していくための土台を作っていくことが必要だと思っています。工数管理がしっかりできていれば、見積もりを出すときも経営戦略を決定するときも、数字に基づいた判断ができるようになります。もちろん、最終的に判断するのは人ですが、少なくとも数字が間違っているから判断を誤ることは無くなると思っていて、それはとても大事なことです。また、数字という根拠があるからこそ、従業員も数字を武器に自身の主張がしやすくなるというメリットも生まれるように感じています。



オリシロジェノミクス株式会社

Company Profile
オリシロジェノミクス株式会社
東京都文京区本郷7-3-1 東京大学南研究棟318
店舗・ビジネス説明分:ワクチン、遺伝子治療および合成生物学を対象とした。次世代のセルフリー(無細胞系)ゲノム技術の開発と商業化を手掛ける
https://www.oriciro.com/jp-tech

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