直感的に使えて導入もスムーズ。工数管理でクリエイティブに充てるリソースを確保する。

株式会社ベイジ 執行役員/コンサルタント/ディレクター 今西 毅寿 氏

課題
工数管理

今年で13期目を迎える株式会社ベイジは、BtoBマーケティングと業務アプリケーションのUI/UXデザインに定評があるウェブ制作会社。蓄積されたノウハウをもとに戦略性の高いサービスを提供する同社ですが、組織が大きくなり対応する案件が増えるにつれて、経営陣だけでは実際の作業と実績の関連性を正確に把握できなくなり、リソース管理の必要性を感じたといいます。


2023年にfreee工数管理を導入したそうですが、実際どのようなところに魅力を感じ、そしてどのような結果が生まれているのでしょうか。今回はマネジメント業務にも携わり、工数管理ツールの導入を主導した同社執行役員の今西さんにお話を伺いました。

業務内容を可視化することが、働き方改革にもつながる

――株式会社ベイジの事業内容を教えてください。


弊社は2010年設立のウェブ制作会社で、BtoBマーケティングの知見と独自のメソッドを武器に、ウェブサイトや採用サイトの戦略立案、制作、オウンドメディアの構築・執筆支援などのサービスを提供しています。また、業務システムやSaaSにおけるUI/UXの改善といった業務まで幅広く請け負っています。


――ベイジのオフィスはスタイリッシュかつ居心地の良い空間作りがなされていますが、やはり働きやすい環境づくりにも注力しているのでしょうか。

コロナ禍を経て、リモートワークを増やしてオフィスを小規模にする企業も多いと聞きますが、私たちは改めてオフィスにおけるオフラインコミュニケーションのメリットも感じています。そのため、働きやすい環境を整えてハイブリッドワークがしやすいように意識はしています。


特に弊社は営業部署というものを設けておらず、社内にはクリエイターしかいないという少し変わった環境です。だから効率というよりも、社員のクリエイティブが喚起され、ストレスをできるだけ感じさせないような環境を作ることを意識しています。例えばデスクもちょっと広めにしたりとか、チームごとに島を作って会話がしやすいようにしたりとかですね。


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――ハード面で働き方改革を行う一方で、ソフト面ではどのようにして働き方改革を意識していますか?

弊社もコロナ禍の影響により、ここ数年で働き方がガラリと変わりました。完全オンラインで仕事ができるようになり、リモートでも意思疎通が図れるようになったのはコミュニケーションツールを導入した恩恵ですね。


また、私たちは頻繁に社内で勉強会を開いているのですが、そうした会でWeb会議サービスを活用することが多くなり、録画データもアーカイブとして共有するようになりました。マーケティングやデザイン、エンジニアリング、キャリア論など、さまざまな分野の話について場所を跨いで見聞きする機会が増えたことで、ナレッジが蓄積しやすくなったというのも大きな成果でした。


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――工数管理を意識しはじめたのも、やはり会社の変化、働き方の多様化が関係しているのでしょうか?

会社のいちばんの資本は社員です。しかし、抱えている案件によってそれぞれスケジュールが決まっているため、過去には納期優先で社員に対し無理を強いてしまうような場面も事実としてありました。働き方の改革を意識しているものの、どうしても時期によってムラができてしまうため、そのあたりを改善したいという思いがありました。


また、組織が小さい頃はすべての案件を経営陣が詳細に把握していましたが、組織が大きくなってプロジェクトも増えていくなかで、そうしたことも困難になりつつあったんです。全体をハンドリングできず、生産性の低下という課題も見えているなか、あらためて業務内容を可視化しなければいけないと感じはじめていました。


効率至上主義になるのではなく、仕事の負荷を減らすのが工数管理の目的

――工数管理ツールの導入で懸念していたことはありますか?


実のところ工数に関しては以前から意識をしていたのですが、ツールを使うことによって逆に生産性が下がってしまうのではないかという懸念もあり、スケジュールは個々に管理するに過ぎませんでした。人数が少ないうちはそれでよかったのですが、ここ数年のうちに社員数は倍になり、なかには経験が浅い社員もいるので、予定よりも作業に時間がかかるとか、残業で忙しそうな社員の姿が見えてきて。そのため、マネジメントをする上でまずは全体像を把握する必要性がありました。


もちろん、人数が増えるにつれてプロジェクトのリソース計画も複雑化します。なので、リソース管理をもうちょっと厳密にやらなければいけないと感じ、ようやく本格的に工数管理ツールを導入する方向で動きはじめたんです。


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――工数管理サービスの導入にあたり、他社のツールも含めて比較しましたか?


過去に他社のツールを試験導入したこともありましたが、その製品は入力の手間が多く、管理しすぎることでマイクロマネジメントのように感じる社員も出てくるのではないかということで、一度導入は見送りました。しかし、社員がストレスなく仕事ができるようにするには、やはり課題は残ったままの状態でした。


そうしているうちに、去年の夏に代表の知り合いのウェブ制作会社が「freee工数管理を使っていてすごく助かっている」という評判を耳にしました。社員の働き方を見ながら会社全体の改善点を可視化することは必要だろうと代表から命を受け、私が担当となりfreeeのトライアルを申し込みました。


――実際に試験導入してみていかがでしたか?


私たちもUI/UXを提供する立場なので、使いやすさはとても気になるところ。システム屋さんが作ったようなごちゃごちゃしているものもあるなかで、freee工数管理は配色やデザインもすごく分かりやすいし、UIがシンプルなので迷わずに使えて、メニューも操作しやすい。工数入力も数分で済むので、これなら負担にならないだろうとポジティブに受け入れることができました。


顧客案件に使う時間を増やすために工数管理をするのに、そこでみんなの手間と時間が取られたら本末転倒ですからね。また、マネジメントする私たち側にとっても親切な機能が充実しているのも魅力です。レポートをまとめて書き出す機能が備わっているので、知りたい指標をすぐに共有できるのも便利ですし、導入の判断をするまでに時間はかかりませんでした。


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――使いはじめるまでにはどのようなステップを踏みましたか?


まず導入にあたってプロジェクトメンバーを4人で編成し、弊社内で工数管理を通して何を実現するのかといったゴールの再確認や大枠のマスタ類の整備からスタートしました。およそ1ヶ月かけて準備ができた段階で、全社員に対して30分ほど説明の場を設けました。


これまで私たちが抱えてきた課題や導入の目的、使い方をみんなに伝えるのはもちろん、工数管理をする目的が働き方の改善であること、これを元に評価したりはしないので正直に登録してほしいこと、逆に工数登録をちゃんとしないことに関しては厳しく評価する、といったことを伝えたんです。


大事なポイントは、工数至上主義、効率至上主義を目指すわけではないということ。そして、社員全員の仕事の負荷を減らすのが目的だと念を押しました。


対策をする判断材料が集まってきたので、導入してよかったと感じています

――freee工数管理の導入から数ヶ月、その後の感触はいかがでしょうか。


使い方が簡単でマニュアルを見ずとも使えたとか、社員からはポジティブな意見が届いています。工数の登録や、スケジュールの移動といった操作はカレンダーベースでできるので、これまでGoogleカレンダーを使っていた我々からすると特に操作感は変わらなくて良いし、プロジェクト名もGoogleカレンダーと自動連携できるので、ちゃんと自分のやるべきことが把握しやすいんです。


導入後、社内で「工数に対する意識が変わったか?」というアンケートを行ったのですが、7割以上の社員から「変わった」という回答が得られました。工数に対する意識が変わっているということは、組織としてとても良い影響だと思っています。


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――管理者観点として感じているメリットについて教えてください。


やはりいちばんの恩恵は、「誰が何をやっているか」「どれくらい工数がかかっているか」が見える化されたことです。顧客案件に8割、社内業務に2割を費やすことを目標にしていましたが、実際に顧客案件に費やされていたのは全体の約64%であるということがわかってきました。


また、弊社ではブログの更新や教育をするといった社内業務も大事にしているのですが、実はそこにかかる作業量が多いことがわかり、このバランスを改善しなければいけないこともわかりました。想定以上に時間がかかる工数があるならワークローを変えていく必要があるし、無駄なミーティングがあるなら減らしていこう……など、対策をする判断材料が集まってきたので、導入してよかったと感じています。


また、これまでは誰がどんな作業をサポートで入っているかというのは本人に聞かないとわからないことでしたが、それがひと目でわかるのは大きいですね。


例えば、本来Aさんの仕事じゃないBさん案件を手伝った結果、Aさんがやっているトータルでの作業時間がかかりすぎてAさんの評価が低くなってしまうような場合もあったかもしれません。しかし、こうして総体的に見えるようになったことで、Aさんの実際の働きぶりがわかり、ポジティブかつ正当に人事評価できることにもつながります。それにトレーサビリティじゃないですが、会社の健康経営状態を可視化することで、風通しも良くなるのではないかなと思っています。


――制作の現場は作業時間が読めない部分もありますが、クリエイティブ系の企業とfreeeのサービスとの相性は良いと感じますか?


特にデザインや制作をしている会社だと、見た目やツールの使いやすさなど、UI/UXが洗練されていないと抵抗を持つ場合もあると思います。その点freeeのサービスは使いやすくて分かりやすい。そしてカジュアルに使えるというところでも、相性が良いのではないでしょうか。実際私たちも制作会社の方が使っていてお勧めされたという経緯もあり、あまり慎重にならずにすんなりと導入を決めることができました。


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――今後、freeeにどのようなことを期待しますか?


弊社の代表がfreeeを導入する時に「工数管理はレコーディングダイエットに似ている」と言っていました。毎日体重を計ることで痩せていくっていうメソッドですが、freee工数管理はまるで体組成計。工数を登録していくだけで無駄なものがわかってくるんですよね。体重だけじゃなくて体脂肪率や基礎代謝を把握すれば問題点が見えていくように、さまざまな指数が分かれば改善する方法も見えてくるんです。


freeeに期待することは、我々や他の企業が導入していくことで、新しい機能や計れる指標が追加されていくことですね。私たちも要望を率直に要望を出させていただくので、それを持ち前のバイタリティで次つぎに実現していただけたらうれしいですね。


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